2011年6月1日水曜日

手作り経鼻エアウェイによるMIA (1)

リウマチ患者で環軸椎亜脱臼,下顎の後退,開口障害も認める場合,まずもってマスク換気も難しくなる.少しだけのつもりで鎮静をしたら,後悔先に立たず状態に陥ったことがある人も多いのではないでしょうか?僕はプロポフォールとケタミンによる深鎮静:Minimally Invasive anesthesia (MIA)で末梢神経ブロックをします.当然,リウマチ患者さんもいるわけです.

MIAの考案者Barry L FriedbergMIAは口腔外科の日帰り手術でも,MIAを使用しています.僕自身はMIAで舌がん患者さんへの浅側頭動脈カテーテル留置の麻酔管理を気管挿管せずにたくさんやってきました.名古屋大学に移籍して,インプラント治療で全身麻酔がどうしても嫌という患者さんにMIAを使ったことがありました.浅側頭動脈カテーテル挿入では下顎を触ることはなかったので気道は上手く通りました.しかし,インプラント治療では,開口で下顎を押すと,気道を塞がれてしまうのです.市販の経鼻エアウェイを挿入してみましたが,その患者さんには合わず,結局,全身麻酔に切り替えました.

そこで,Barry L Friedbergに連絡を執りました.「あなたはインプラント治療で使っていると記載しているが,開口操作によって気道がふさがってしまう.どうしたらインプラント治療でMIAを使えるのか教えてください.」と質問をぶつけてみました.彼は本には記載していないコツがインプラント治療のMIAにはあることと教えてくれました.それが手作り経鼻エアウェイです.カフ無し気管チューブのサイズ5,6をお湯につけ軟らかくしておき,それを患者さんの鼻に突っ込んで,気道が通るところまで進める.チューブ先端の位置が決まったら,外鼻孔のあたりで気管チューブを適切な長さに切断する.そうすることで,すべての患者にあったエアウェイができ,MIAによるインプラント手術が可能となるわけです.

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