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2011年3月31日木曜日

胸部傍脊椎腔へのカテーテル挿入

胸部傍脊椎腔へのカテーテル挿入で大事なことは超音波ガイド下に正確に針先を胸部傍脊椎腔に刺入できたことが,カテーテルを適切な位置に留置することを保証してくれないということです.また挿入時の感覚も硬膜外腔へのカテーテルと同じではありません.硬膜外腔にカテーテルを挿入する際は,カテーテルを頭側に挿入します.しかし,胸部傍脊椎腔は頭側にカテーテルを挿入するのは困難で,かなりの抵抗を感じます.正確な胸部傍脊椎ブロックのカテーテル留置についてのノウハウが症例を重ねることによって分かってきました.

2011年3月29日火曜日

名古屋も桜が咲きました.

今日,週1回行くバイト病院の帰り道で桜が咲いているのに気づきました.名古屋は場所によって咲いていたり,咲いていなかったりが極端なのですが,日の当たる暖かい道路に立っている桜は咲いていました.昨年までは桜の開花を見つけると心が躍りましたが,今年は震災と原発事故の影響か,素直に喜べない自分がいます.

きっと抗うつ薬の売り上げが伸びるんでしょうね.

Lung Ultrasound (8) COPD & Asthma

COPDと喘息の超音波画像は正常肺と同じ像を呈します.つまりA lineとsliding sign以外は観察されません.感度89%,特異度97%.

2011年3月28日月曜日

Lung Ultrasound (7) 肺炎

肺炎では,どのような超音波画像を呈するかを紹介します.大切なことは,肺炎初期の感染が一部に限局しているときは,鋭い観察力で所見を探すことです.肺全体が感染の場になっているものは誰でも探せます.また片肺だけの肺炎なのか,両肺なのかも注意すべきです.

1.sliding signがなく,B+ lineを呈する-感度11%,特異度100%
2.片肺でA line with sliding sign(正常)と片肺で前胸部でB +line(患側)-感度11%,特異度100%
3.肺硬化像-感度11%,特異度99%
4.A lineがあるが,背外側でPLAPS-感度42%,特異度96%

1~4の所見を一まとめにして肺炎を診断すれば,感度89%,特異度94%となるそうです.

2011年3月27日日曜日

A &Aが論文盗用をチェックするプログラムを導入

Anesthsia & AnalgesiaでSteve L. Shaferが盗用plagiarismについてEditorialで述べて,Cross-Checkというプログラムを導入して文章の盗用を防ぐと言っています.盗用とは何かを知ることは,英語に不慣れな我々が医学英語を書くときに重要です.盗用には,1) Intellectual theft, 2) Intellectural sloth, 3) Plagiarism for scentific English, 4) Technical plagiarism, 5) Self-plafiarismの5つがあります.

Intellectual theftとは,他の論文の分析結果をそのまま盗んだり,他の著者の特異な隠喩を使ったり,他の論文の文章の一部をそのまま使ってしまうことを言い,盗用において最も深刻で絶対にやってはいけないものです.

Intellectual slothとは,新しい表現で述べるのが面倒で他の論文の表現をそのまま使用してしまうことです.神経ブロックの手技を述べる際に多々あるようです.Intellectual slothがpeer reviewの段階で発見されるとrejectもしくはrewriteということです.出版後に発見された場合は,取り消し,修正,謝罪を要求するそうです.

Plagiarism for scientific English は,英語に不慣れなものが自分達の言わんとしようとすることを的確に述べるために他の著者の表現を一字一句そのまま使用してしまうことです.Anesthesia & Analgesiaで最も見つかるのも,これです.主にnon-nativeが冒します.non-nativeが英文を作るとき,ひとつの論文だけから表現をもらってくることはなく,ネット,いくつかの論文から部分的に文章を借りてきて,それらを校正しなおして正しい英文を作ります.Shaferは、そのこと自体はplagiarismとは考えないが,研究がコピペ文章では不正確に述べられているのではないかと心配しています

Technical plagiarismとは,引用文献をつけて,一字一句その文章を使用すること.他者の考えを盗用する意図はないものの,他者の表現をそのまま使用する場合に,その表現だけを使うのは厳密には盗用に当たります.その表現が誰のものかを"As Shibata et al. noted, ..."のような節をつけることで,Technical plagiarismを回避することができます.

Self-plagiarismとは,自分が以前書いたものから,そのまま文章をもってくることをいいます.論文のすべてが以前の自分の論文と全く同じ,つまり複製が最悪のSelf-plagiarismとなります.一部分で自分の以前の文章を使うことに関しては,著者に毎回毎回,独自の表現を使うようにするのは現実的ではありません.なぜなら,毎回表現を変えると,以前の正しく表現された文章が間違ったもの変わるリスクがあるからです.自分の文章を使うのは,新しい論文の10-30%程度が許容範囲.Shaferは30%以上は認めていません.Anesthesia & AnalgesiaではMethodsでのみ許すとのことです.ある著者がself-plagiarismを理由にAneesthesia  & Analgesiaに掲載された論文を撤回したことがあるが,self-plagiarismのみで掲載論文を撤回することもないということです.その論文がAnesthesiologyでpeer reviewをうけて掲載された論文と類似しており,新しい推論がないと判断したからだそうです.

我々は英借文を作ることが多いですが,くれぐれも盗用にならないように注意すべきですね.

2011年3月26日土曜日

原発事故で思うこと

今回の原発事故で思い出したことがります.2007年に沖縄で開催された麻酔サマーセミナーで,麻酔科医で,医師になる前に原子力発電所の開発に携わっていた演者が麻酔に関して講演をされました.この方が講演の冒頭で,原発の仕事を辞めて医者になった理由をお話されました.その内容が今回の原発事故の原因を表していると思います.この先生が言われたことの主旨は,「原子力発電所の安全設計の計算値はいい加減で,当時のまじめな自分はその問題点を組織に指摘した.しかし,当時の組織は,自分が指摘した問題を直そうとすると原発が造れない.それで,自分が指摘した問題点をもみ消した.自分はこんないい加減な組織で働くことが嫌になったから医者になった.」というものでした.つまり,この先生は,はじめから原子力発電政策ありきで原子力発電所が作られ,安全が軽視されていることを倫理的に許せなかったわけです.この先生が言っていた組織がどこの電力会社かは知りません.しかし,原子力発電所の開発に携わった麻酔科医が言っていたことが,今,現実のものとなるとは思ってもいませんでした.原発事故は安全を無視してきた者による人災かもしれません.

Lung Ultrasound (6) PLAPS

TEEで心臓外科手術の麻酔管理をしている人は胸水は見慣れた画像と思います.その時に肺硬化像までは気にしている人は少ないのではないでしょうか? 胸水は壁側胸膜と臓側胸膜の間で貯まり,完全に無エコーとなって(黒くなって)いる部分です.臓側胸膜は空気の含気があるために,高エコー性にガタガタのラインになっています.肺実質は浸出液が貯まることで,tissular patternを呈して描出(肺硬化像 alveolar consolidation)されてきます.背外側でこうした像が観察される病態をposterolateral alveolar and/or pleural syndrome (PLAPS)と呼びます.

2011年3月25日金曜日

Lung Ultrasound (5) Bline 再提示

B lineが前回,今ひとつ良くなかったのでもう少し分かりやすいものを提示します.肺の小葉間隔壁に貯まった水と空気によって,胸膜から伸びる高エコー性のコメットテイルが分かってもらえると思います.このコメットテイルが呼吸性に動くので,Mモードにすると高エコーな帯と低エコーな帯ができます.

2011年3月24日木曜日

超音波ガイド星状神経節ブロックにリニアプローブを使えば・・・

iSSPSにおいて超音波ガイド星状神経節ブロックについては,Dr Narouze Samerがリニアプローブで行う方法を解説していました.リニアプローブをそのままC6レベル水平断面を描出するように当てると,総頸動脈は気管より位置します.その状況で交差法でも平行法でも内頚静脈を貫通して深頚筋膜下に注入します.25Gなので内頚静脈を貫通しても問題ないということでした.僕は,日本人にこの方法はどうだろう?と思います.彼ら欧米人は深部静脈血栓症が多く,凝血しやすい体質です.日本人なら内頚静脈貫通で皮下出血が起きると考えます.やはりマイクロコンベックスプローブで実施するのが最適であると思う次第です.リニアプローブの欠点はもう一つあります.椎骨動脈走行異常に対応できない点です.リニアプローブで外側から内側に針を進める平行法では,走行異常の椎骨動脈を避けることは困難です.

2011年3月22日火曜日

ガラナディナー

来年,iSSPSに参加しようと思う人のために参考になるようにガラナディナーについて紹介します.ちゃんと正装を求められます.ラフな格好をしてくる人もいますが少数です.正装とはいっても日本の学会発表するときのようなスーツ姿であればOKです.料理もとても美味しいです.料理が出てくる前に時間があり,そこでお酒を楽しみながら会話が弾みます.英語のできる人もできない人もお互いを尊重しながら,楽しい会話ができます.料理も最後のデザートになると,NYSORAのDr Admir Hadzikが自分のバンドメンバ-をニューヨークから連れてきており,ブルースで魅了してくれます.

A Spanish Nice Guy Has Joined Team Shibata!!

There is a big news. A Spanish nice guy has joined Team Shibata. I was suddenly told by a spanish handsome anesthesiologist, when I took a rest during the intermission between sessions at the workshop of iSSPS 2011.  He is the person that sent me a comment on my YouTube videos three years ago. He loves my videos, called me a "Ronaldinho" in the field of USG-regional anestheisa, and said that he wanted to join Team Shibata. I took his offer immediately. He promised that he would make a T-shirt with a logo "Team Shibata" and wear the shirt at the next iSSPS meeting. I am looking forward to seeing him next year at Hong Kong. I am now very happy to find that my videos are helpful for anesthesiologists in the world.
I let him to inform that I am writing a blog. He will search my blog in google and put a comment on this blog.

2011年3月21日月曜日

ソノサイト,GEが携帯型超音波診断装置で震災に貢献

香港にいる間に,ソノサイトやGEが携帯型超音波診断装置を災害救助のために貸し出していることをいろんなところから耳にしていました.企業として,社会に貢献しようとする各社の姿にはすばらしいと思います.超音波診断装置の重要性をまだ認識できていない麻酔科医もいると思いますので,ここで少しだけ解説します.超音波診断装置は外傷初期診断のFAST, 深部静脈血栓症や肺動脈塞栓症,心臓の状態,循環管理,肺の状態(血気胸,肺間質障害,肺炎,無気肺),骨折,軟部組織の浮腫、血腫、頭蓋内圧の推測(視神経乳頭の突出度)など、X線やCT,MRIの使えない環境で診断ツールとして利用できます.もちろん,僕の分野では神経ブロックという治療に使用可能です.

何科かわかりますか?

今回,最終日のワークショップは外傷センター3階の日帰り手術室のPACUでありました.20床のベットがありました.休憩のときにふと気付いたのがこの標識.何科を意味するのか訊いてみたところ,スポーツ外科だそうです.つまり肩関節,膝関節に特化した整形外科で,整形外科とは別に標榜しているそうです.日本ではスポーツ外傷は整形外科が診るのですが,香港では違うそうです.逆に形成外科は日本では整形外科とは別の標榜科ですが,香港では整形外科の一部だそうです.

Faculty Farewell Dinner

最終日が終わった今夕,Faculty Farewell Dinnerがありました.中華料理のフルコース.世界各国からFacultyが来ますから,みんながちゃんと食べられるようにするために14品目もありました.コースの半分くらいが終わった時点で,僕はもう食べられないと思うくらいのボリューム.なのに,みなさんペロリと平らげてしまうので驚いてしまいました.もう無理と思いながらも,僕も最後まで完食しました.きっと大幅に体重増かと思います.

今回,世界中の人と話すことができ,とても良い刺激になりました.僕は長い間留学を臨みながら,そのチャンスを与えられることなく,大学を渡り歩くことになりました.しかし,今,超音波ガイド神経ブロックを通じて世界の人と触れあえるチャンスをもらえたことは,とても幸せなことです.若い先生は,どんどんチャンスを掴んで留学してください.

来年は台湾と協力して,cadaver workshopもあるそうです.是非,日本からもたくさんの麻酔科医が参加されることを希望します.たくさんの人と知り合うにはガラナディナーと休憩時間に気軽に隣に座った人とお話すること!本当に楽しい時間を過ごすことができます.

この香港では,たくさんのお悔やみをいただきました.次回,香港を訪れたときには「日本はすごい回復だね.」と言ってもらえるように,みんなで助け合って頑張っていきたいと思います.日本の良さは助け合いと自制心です.世界中の人がこの2点で日本を尊敬していました.

群馬の麻女,スープ盗まれる!

今日一日の中で一番大きなニュースは,群馬の麻女がセルフサービスの昼食で,自分で汲んできたトマトスープをデザートを取りに行っている間に盗まれたことです.でも,本当は給仕の人が持っていってしまったんだと思いますけど・・・

次なる狙いは・・・

Team Shibataの次なる狙いは,TAPブロックと胸部傍脊椎ブロックに関する臨床研究です.倫理委員会の承認を得られたTAPブロックがまずは活動の中心になります.TAPブロックと言えば,ご本家のDr Peter Hebbard! そこで,Peterにお願いをしてAkiko Akaneと一緒に写真をとらせていただきました.Akiko Akaneは誰か芸能人と写真を撮っているような気分で喜んでいました.Akiko Akaneは香港に来てから,どんどん調子をあげ,最終日にはUSG-SGBは僕が開発したマイクロコンベックスによる平行法のアプローチが断然良いと主張するまでに成長をしておりました.頼もしい限りです.Hebbardご夫妻はとても日本びいきであることが,今回一緒に食事をしてわかり,うれしくなりました.

2011年3月20日日曜日

なんとかワークショップも終わりました.

今日は一日中,ワークショップで胸部傍脊椎ブロックと肋間神経ブロックのことをお話ししました.はじめの一組目は,自分で言いたいことがうまく言えませんでした.しかし,さすがに8グループ相手に何回も同じことを言っていると,言いたいことが言えるようになりました.一番最初のグループに日本から来た先生もいたので,変な英語で申し訳なかったなと思いますm(_ _)m.
後半にテーブルにきた日本の先生には満足していただけたのではないでしょうか.このワークショップでたくさんのお友達ができました.留学させて欲しいという先生もいました.僕のアプローチは論文にしていないのかと聞かれて,エジプト革命のため寸断中とお答えもしました.とにもかくにも,無事に終わって良かったです.

群馬の麻女

iSSPS2011で群馬の麻女の美しさが際だっていました.群馬の麻女は肩関節手術の術後鎮痛として,鎖骨上アプローチ持続腕神経叢ブロックが効果があることを発表をしました.鎖骨上アプローチは,現時点では肩関節の適応はないことにとなっています.実は,僕はこのことはクリーブランドクリニックで研究をしていた大瀧先生から聞いて知っていました.しかし,その真偽はつかめずにいました.Dr Vincent Chanにも,このことを尋ねたところ,クリーブランド,ニューヨークあたりの麻酔科医が鎖骨上アプローチでカテーテルを挿入して,持続腕神経叢ブロックを行っているということでした.横隔神経麻痺がないことがメリットのようです.

アメリカからいろんな麻酔科医が来ていましたので,手当たり次第に同じ質問をしてみましたが,鎖骨上アプローチで肩関節手術の術後鎮痛ができることを常識としている人はいませんでした.恐らくは,ここ数年で鎖骨上アプローチ持続腕神経叢ブロックの見解が変わってくると予想されます.群馬の麻女は最先端をいく美女だったのです.

Dr Akane won the award for the best poster presentation!!

iSSPS2011のポスターセッションで,名大麻酔科コンシェルジュことDr Akiko Akaneが最優秀演題賞を頂きました.あまりに突然の発表だったのと最優秀演題賞を獲得したことに驚いて,Dr Karmakerが“Akiko Akane"と呼びだして賞状を手渡すまでに,僕はデジカメをカバンから取り出すことができず,晴れ舞台を写真に撮ってあげることができませんでした.
連れてきた親分としては,これでは日本に帰れないと,ガラナパーティーで再度,Dr Karmakerと一緒に写真を撮りました.彼女は今年の日本麻酔学会総会でも優秀演題賞に選ばれており,彼女の今後の飛躍がとても楽しみです.
Dr KarmakerとDr Akiko Akaneのツーショット
手に持っているのは最優秀演題賞の賞状です.

2011年3月19日土曜日

講演終了

 今日は,胸部傍脊椎ブロックの講演がありました.朝からずっと緊張して,3時には目が覚めました.行く前に同僚でアメリカ麻酔学会専門医資格のあるA先生から20回は練習しないといけませんとアドバイスを頂いていたので,ちょうど20回,空で原稿が言えるように練習をしました.香港に来てからも,ホテルの洗面所の鏡の前に立ち,自分に語りかけるように練習を繰り返しました.講演時間は25分.練習では25分を超えてしまうことが度々で,大丈夫かなと心配していました.

 僕は今日,4人目の演者.演者席に着いてからは前の演者の時間を使って練習を繰り返すこと三度.ようやく自分の順番がまわってきました.僕のことが紹介され,壇上に立ち,Dr Karmarkerへの感謝の意を述べ,次に大震災で世界中の人が直ぐに援助の手をさしのべてくれたことへの感謝の意を述べました.とは言っても,ガチガチになり,練習したときのような流暢さもないものの,ジャパニーズイングリッシュにならないように,意味のある文節までを話すようにしました.講演時間も,心配していたのとは裏腹に25分以内で終わらせることができました.この講演で,もっとも失敗だと思ったのはMBTシューズを履いてきたことです.緊張から脚が振るってしまったのですが,MBTシューズに脚の振るえが伝わり,身体が揺れてしまい,バランスをとるのに苦労しました.
はじめは緊張していたのですが,途中からは講演慣れしているいつもの自分に戻って話すことができました.僕の英語が良かったのか,よほどスライド作りが上手だったのか,他の演者より僕のスライドの写真をとる先生が多かったと思い,まずまずの発表だったのではないかと思っています.

こんな貴重なチャンスを僕に与えてくださった先生方に感謝します.またひとつ成長させていただきました.講演終了後,すぐにドバイの先生から9月にドバイである学会に来て欲しいと依頼を受けました.うれしい依頼です.

2011年3月18日金曜日

Welcome Addressで突然,名前を呼ばれ・・・

 iSSPS2011の開催式(Welcome Address)でDr Karmarkarが挨拶をしていました.恥ずかしながら,僕はワークショップの準備のために,用語の復習を一生懸命していました.日本での地震のことを言っているなと思ったら,突然,僕の名前が呼ばれ,慌てて立ち上りました.彼は,日本が困難な状況下に来てくれたと感謝の意を述べていました.立ち上がったのはいいのですが,手には右手にはシャープペンとノート,左手にはISPPSとは無関係の神経ブロックの本.慌てて,座席の下に手に持っているものを隠して,周囲に一例.そしてみんなが拍手.一例をしたのはよいのですが,こういう時に海外の人はどうするのだろう?と思いました.名前を呼ばれ,主催者と抱き合っている姿をテレビで見たことがあるなぁなんて思いつつ・・・やっぱり自分は日本人だからお辞儀でよしと思って,前後左右に一例を繰り返しました.

ところで,僕の名前“やすゆき”は世界の人々には絶対に呼んでいただけません.みなさん,自己紹介でぼくが名前を言った途端に眉をひそめます.そして,おもむろに"やしゅゅき”と小さな声で言います.しかし,次の瞬間,"Dr Shibata”で行こうと決断するのか,“ドクターシバタ~”とはっきりした口調で呼んでくれます.

香港で新しい風を感じます.

 今回のiSSPSの発見は,整形外科を専攻する日本人が参加されたことでしょう.まだまだ,日本の整形外科医の中には末梢神経ブロックに理解がない先生がいるのが現状です.そうした先生の中には,自分がやる脊麻が良くて,坐骨神経ブロックが駄目という人もいます.不思議な言い訳です.病棟管理の問題で生じた神経障害の原因を末梢神経ブロックに求める姿も不思議です.
末梢神経ブロックが世界でどう捉えられ,どう整形外科領域に貢献しているのかを若い整形外科医に知ってもらうのはとてもよいことだと思います.彼がリーダーとして科をひっぱっていく10年,15年先がとても楽しみです.

iSSPS2011の第1日目終了

 香港のiSSPS2011の初日が終わりました.何故かはじめは言われていなかったのに,香港に着いたら,下肢のワークショップを担当することになっていました.とりあえず解剖学用語の復習と使われる表現を見直して臨みました.はじめの2グループには上手に説明できたとは言えませんでしたが,残りの2グループにはなんとかコミュニケーションをとりながら説明できました.こういうものは普段から機会がある度にやっていると違うものです.日本で英語で開催されるワークショップには全く関与していなかったのが痛かったです.
 明日は胸部傍脊椎ブロックの講演です.何度も,何度も練習をして明日に臨みたいと思います.脱ジャパニーズイングリッシュになるか!?とにかく,がんばります.

2011年3月17日木曜日

時差を忘れておりました.

夕方18時からRoyal Park Hotelで,Welcome Coctailがありました.自分の時計を見ながら,時間通りに行かないと恥ずかしいと思いつつ,会場に行ってみると,もぬけの空.常駐のスタッフに,"A welcome party will be held here?"と言ってみると,"at six o'clock"と返事がありました.もう6時じゃないかと思いつつ,待てばよいさとイスに座ってテレビを見ていました.ところが,いくら待てど誰も来ない.おかしいなと思いつつ,どうせなら買い出しにでも行こうとホテルの外に出てみました.目の前の巨大ショッピングモールに入ってみました.いろいろお店を見ているうちに,あるお店の時計が遅れていることに気付きました.その瞬間,時差という言葉がぼくの頭に浮かびました.僕は1時間も早く会場に行っていたのだと,そこでようやく気付きました.Japan crisisの影響か,自分もいつもの自分ではないような気がします.
Welcome coctailでは,会う人会う人に,"I am from Japan"というと,みなさん優しい言葉をかけてくれます.

佐藤先生へ,先生のご友人には先生が元気である旨を伝えました.

香港に到着しました.

予定時刻より遅れて出発したJAL5113便に乗って,香港に到着しました.空港でリムジンタクシーが待っていてくれたのですが,そこで偶然にもDr Ki Jinn Chinと一緒にリムジンに乗ることになりました.彼はUltrasound for Regional Anesthesiaで僕と一緒に胸部傍脊椎ブロックの原稿を書いてくれた人です.開口一番,地震と原発事故のことを訊かれました.

こちらにきて気付いたのですが,海外の報道陣はすでに日本海側の秋田に避難して放送しています.日本政府の発表する避難地域よりもっと遠くに離れているのでしょう.

2011年3月16日水曜日

予定通り,香港に行くことにしました.

今週末に香港でInternational Symposium of Spain and Paravertebral Sonographyが開催されます.この未曾有の大地震により,中部地方で緊急手術が増えるかもしれなかったので,主催者のDr Karmakarに行くか行かないか今日まで結論を待っていただいていました.今のところ,そうした状況にはなっていないため,当初の予定通り,香港で胸部傍脊椎ブロックの話をしてくることにしました.一人の日本人として,頑張ってこようと思います.

2011年3月15日火曜日

福島会津T先生の近況

 福島県会津のT先生のところは,内陸部であったために津波からは難を逃れています.ライフラインは復活したものの,ガソリン、灯油,食料品が店頭から消えてしまったということで,物流が回復していないようです.水道も復活していないために,本来は大学病院で行うはずの急性期医療ができず,対象となる患者さんの一部は関東に広域搬送しているとのことでした.T先生もK先生も,それぞれの現場で必死になって勤めを果たしています.

山形のK先生から近況報告,そしてK先生へのエール

東北関東大震災の被災地で,がんばっているK先生からメールがありました.K先生の病院は災害拠点病院です.各地域の病院毎にどういう患者を搬送するか決まっているので,一概には言えませんが,現時点では外傷患者より低体温症や内科系疾患の患者さんが多いとのことです.これは,今回の地震の被害が津波によるものであり,阪神大震災のように家屋崩壊が原因でないためかも知れません.K先生の遭遇している問題は,ガーゼやCPB回路などの手術資材が底をつきつつあるということです.しかも,酸素はあと3日分しかなく,災害拠点病院であるのに手術ができなくなる状況にあるとのことでした.

K先生!かのマッキントッシュ喉頭鏡を開発したRobert Reynolds Mckintoshは,空気で全身麻酔をすることの重要性を説いています.今,求められるのは酸素のある最高の麻酔ではない.目の前の患者を救う麻酔だ.プロの麻酔科医として,がんばれ.

2011年3月12日土曜日

K先生は無事

 山形のK先生とようやく連絡がとれました.ちょうど腕神経叢ブロックをしようとプロポフォールとケタミンで患者さんを鎮静しはじめているときに地震に遭遇したそうです.名古屋大学病院で身につけた超音波ガイド神経ブロックが,地域のたくさんの被災者の治療に役立ってくれるのではないかと思います.K先生,これから数日大変でしょうが,がんばってください.
 福島のT先生のことも心配です.

2011年3月9日水曜日

自分の母子手帳を読み返す

いろいろ書類上の記載を変更するために,自分が実家に住んでいたことを証明する必要があり,
母親から自分の母子手帳を借りてきました.医師になって,自分の母子手帳を見直してみると,いろいろ気付くことがありました.

僕は母親のお腹に41週もいた挙げ句,母親を妊娠中毒症にさせ,出てきたときには3700gでうまれました.自分の娘達は僕より1000g以上軽く生まれてきたのに,妻はこめかみの血管をブチぎれんばかりに踏ん張って出産していました.それを思うと母が僕を産む際にどれほどの陣痛を味のだろうと申し訳なく思いました.

出生時の状況は,臍帯が首回りに巻絡,蘇生処置なしと記載がありました.今なら,帝王切開で出産かと思います.無事だったのが幸いです.思えば,幼稚園でトラックにはねられ,小学生1年で鉄棒から真っ逆さまに首から落ちて気絶,小学校3年生でトラックに自転車が巻き込まれ,大学時代はボート部のボート転覆で川底に引き込まれ,研修医時代は中国道で自動車事故に巻き込まれながらも,間一髪で生き延びてきました.実は,生まれる瞬間から僕は強運の持ち主だったのだということが分かりました.

乳児検診のところでは,
生後6ヶ月で,物を近づけると,手を出して取りに来る.
生後1歳5ヶ月で,パパ,ママ,イタイと言っていた.言葉がないが,こちらの言うことは,ほとんど分かる.
どうやら僕の人見知り傾向は小さいときには,すでにあったようです.

しかし,一番,驚いたことは,自分が3種混合ワクチンを受けていないことに気付いてしまったことです.あまりのことに,妻に伝えたら,何故か妻は「お母さん,あなたは予防接種をほとんどしていないって言ってたわよ.」って.僕が知らずに妻が知っているなんて,どういうこと?一時期,発展途上国で医師として仕事をしてみたいと思っていましたが,行かなくて正解でした.行っていたら,死んでいたかも・・・

2011年3月6日日曜日

Lung Ultrasound (4): B line

B lineは胸膜から放射状に出る明瞭なコメットテイル・アーチファクトです.ちょうど,雲の隙間からこぼれ出る太陽の光のように見えます.B lineは呼吸性変動し,B lineがあると,A lineは消失します.B lineは,空気と水というインピーダンス差の大きいもの同士が混在していることで発生します.つまり,胸膜下の肺小葉間中隔が水分を多く含んだ病的な状況(肺炎,肺水腫)で観察され,1肋間隙で3本以上のB lineが観察されます.これを B+linesと表現します.B lineが2本以下のときは,病的意義はありません.
アスペルギルス肺炎におけるB line. B lineは高エコー性で
呼吸性に変動し,スクリーンの端まで伸びて拡がります.

2011年3月5日土曜日

Lung Ultrasound (3) :気胸

正常肺では壁側胸膜と臓側胸膜のsliding signと胸膜の多重反射によるA lineが観察されます.気胸では,sliding signがなく,A lineのみとなります.さらにプローブを移動させながら観察すると,壁側胸膜が臓側胸膜と接している境(lung point)が呼吸性変動しているところが観察できます.この3所見は感度81%,特異度99%です.もし,Bモードだけで気胸を診断しにくいときは,Mモードを使うとよいでしょう.正常肺では肺が呼吸性変動することで,肺実質が砂状パターンを呈します.気胸では呼吸性変動がないために,A lineが水平線を作るのみです.
Mモードでは肺実質は呼吸性変動によりsandy patternを呈します.
胸膜も呼吸性変動により乱れた不明瞭な線になります.
気胸ではsliding signがなくなるために,胸膜も明瞭な線となります.
肺実質でもsandy patternを呈さずに,水平線がたくさん観察されます.
ちょうど,lung pointのところでMモードをみているので,Mモードの中央部分は
肺実質を捉えてsandy patternとなっています.

2011年3月4日金曜日

大腿神経の股関節枝ブロック

International Journal of Ultrasound and Applied Technique in Perioperative Care. January-April 2010;1 (1): 13-17に大腿神経の股関節枝を持続ブロックする論文が記載されています.論文としての質に大いに問題がある雑誌ですが,参考までに紹介します.

(股関節枝の描出)
大腿神経ブロックをする画像,つまり大腿動脈の短軸像を描出します.そのまま縫工筋にそって3cm外側にプローブを移動させ,そのまま鼡径靱帯より3cm尾側のところに移動させます.すると縫工筋,恥骨筋,大腿直筋の間に囲まれた神経が描出されます.これが大腿神経の股関節枝です.

この論文は統計学的検討に間違いがあること.股関節枝の持続ブロックをしているが,手技的に通常の大腿神経ブロックと区別できないのではないかという点で問題があります.それでも,紹介する理由は,僕が以前から大腿神経の股関節枝はどこから出るのだろうと,ずっと不思議に思っていたからです.この論文を見つけてから,ネッターの解剖学図譜を見直してみると,実は大腿神経の股関節枝が載っていました.そして,その図譜の股関節枝の位置とこの論文が言っている股関節枝の位置が同じ?なので,あながちウソじゃないと思ったからです.この股関節枝の位置が本当であるならば,ペインクリニックやTHAの術後リハビリに多大なる影響を与えるでしょう.

2011年3月3日木曜日

Lung Ultrasound (2): A line, Sliding sign

 A lineは動脈圧ラインのことではありません.胸膜面にある空気によって多重反射が起き,胸膜面と平行で何本も観察される高エコー性の横線のアーチファクトのことです.A lineは正常肺でも病的肺でも観察されます.

Sliding signとは臓側胸膜が壁側胸膜に対して呼吸性に動いている像を言います.呼吸をしていて正常な肺であればSliding signは必ず観察されます.Sliding signがないことは気胸,無気肺,慢性肺気腫,無呼吸,炎症性の癒着を意味します.

2011年3月2日水曜日

Lung Ultrasound(1)

みなさんは,超音波画像診断で肺の状態を把握できることをご存知でしょうか?僕がこのことを知ったのは2008年ISURAがトロントで開催された時でした.フランスのDaniel A. Lichtenstein先生がLung Ultrasoundについて講演をしました.彼はLung UltrasoundがCTや胸部X線より感度特異度が高く,早期に異常を診断できることを症例呈示もしながら説明していました.実に話の面白い先生で,日本にもいつか来てくれないかなと思っています.彼は集中治療領域でLung Ultrasoundを確立させた第一人者で,たくさんの書物がでています.3月は,Lung ultrasoundの基礎を少しだけ紹介したいと思います.

プローブは何でも良いと思いますが,ご本家Lichtenstein先生はマイクロコンベックスプローブを使って,BモードとMモードを駆使して鑑別診断を行っています.Bモードで一見すると同じように見えても,Mモードでは全く異なる像になります.臨床でぱっとみる限りでは,Bモードだけでもよいと思います.胸郭を前胸部,側胸部,背部にわけてチェックすることをお勧めしています.

2011年3月1日火曜日

FPバイパスでの神経ブロック

血管外科手術でFPバイパスをする人の多くは,糖尿病,高血圧,虚血性心疾患,脳血管疾患がありハイリスクな患者さんが多いです.こうした症例でどのようにブロックを行っていくか?いろんな意見があると思います.凝固機能が正常で,ヘパリンを投与するまでに時間がある場合は脊髄くも膜下麻酔もOKでしょう.腰神経叢ブロック&傍仙骨坐骨神経ブロックをするのもOKです.ただ,抗凝固療法をしている患者さんが多いのも事実.そんな場合,僕はLMAによる鎮静に,腸骨下腹神経ブロック(10-15ml),大腿神経ブロック(10ml),陰部大腿皮神経大腿枝ブロック(5ml)を行っています.膝窩の操作をするときにだけ,フェンタニル1Aを投与すれば充分です.