2014年2月28日金曜日

煙突掃除とプチ煙突火災

薪ストーブの調子がここ一週間おかしかった。ダンパーをあげて、二時燃焼にもっていくと、火が消えていたり、そうかと思えば、急にボワっと火が出たりした。温度も上がりにくくなっていた。今週水曜日の朝、仕事に行くと、家の二階が急に煙臭くなったと妻から連絡があった。
煙突が詰まりかけているかもしれないと思い、このまま薪ストーブを使い続けると、煙突火災を起こしかねないと思った。直ぐに薪ストーブのメンテナンスをしてもらっているおじさんに連絡したら、金曜日の昼過ぎにみてくれることになった。

昼過ぎに薪ストーブおじさんがきてくれて、玄関でお出迎えすると、開口一番。
「煙突トップが詰まってるねぇ。つららみたいに煤が付いているから、それでわかるんですよ。」
ストーブの中に手を入れて、煙突のドラフトが弱くなっていることも指摘してくれた。煙突を叩いたり、薪ストーブの中から煙突内に手を突っ込んだりした結果、煙突内は大丈夫で、トップだけの問題だと診断してくれた。

煙突の診断後、おじさんは屋根に上がって,煙突掃除をしてくれた。角トップを金型ブラシでこすると、大量の煤がデッキに落ちてきた。トップを綺麗にしてくれた後、煙突の中ももついでに掃除してくれた。

屋根での煙突掃除を終えたおじさんは,一時的に湿った薪を使ったんじゃないかと聞いてきた.煙突トップだけに付着している大量の煤をみて,一時的に集中して湿った薪を焚いた場合にこうなると教えてくれた.丸トップは煤でつまると,すぐに煙が家中に逆流するから,すぐに分かる.しかし,角トップは金網に付着した煤が風で飛ばされて,一時的に空気が流れるようになるから,状態が不安定になるけど,気付かずに使い続けてしまう危険性があることも教えてくれた.

すぐに二階のベランダで野ざらしで1年乾燥させた大量のコロ薪がどことなく,まだ充分に乾燥していないんじゃないかと思いながら,焚いたことを思い出した.

しかし,おじさんが教えてくれたことはそれだけではなかった.
煙突掃除後に薪ストーブ内に落ちてきた煙突トップの煤を手に取り,
「これは煙突トップに付着した煤に火がついた証拠だね.通常の煙突火災は煙突の中でおきて大変なことになるけど,煙突の中がきれいだったから,煙突トップだけですんだ.」と,煙突火災が起きていたことを教えてくれた.

やっぱり,薪の状態が悪いのは絶対に使ってはいけないと思った.

 



煙突トップからストーブ内に落ちてきた煤

2014年2月22日土曜日

久々の原木集め

仕事をしていたら、いつも木を頂戴する地主さんから木をとりにきてよいよと連絡があった。一月からずっと休日もなく、原稿地獄が続いていた。ここらで、一回くらい好きなことをしようと、チェンソー二台を車につんで玉切りにいってきた。木はケヤキとクヌギ。ともに薪には最高の木。一番太いところで60cm。明日は、これらを運ぶ。きっと、月曜日は傍脊椎ブロックできないわー。


医学部が複数ある場所では

2月始めに神奈川麻酔医会に参加した際に,神奈川にある4大学の麻酔科は非常に仲がよいということを知りました.研究会をするにしろ,多施設共同研究をするにしろ,すぐに足並みが揃うということでした.

愛知ではどうなんだろう.ACLSが花咲かんばかりのころに広島から愛知にきたときに,足の引っ張り合いに巻き込まれ,嫌がらせもうけた.愛知でACLS教育をしようという希望は失せ,ACLS教育の熱も冷め,とうとうACLSから足を洗った.こちらに転勤になった際に,同時一緒にやっていた先生にACLS教育を一緒にやらないかと誘われたが,すでに末梢神経ブロック中心だったのでお断りした.

愛知でいろんなことを麻酔科が一緒にやるというのは,こちらにきて12年経つが一度も経験していない.しかし,昨今はSNSの普及も相まって,お互いの垣根が低くなり,風通しがよくなっている.愛知でも神奈川のように,いろんなことを共同でやっていくようになるのだろうなと思っている.

NYSORA New Yorkに行きます.

今年度もNYSORA New Yorkに呼ばれました.日本心臓血管麻酔学会でパネルディスカッションの依頼が来ていましたが,これは僕のところにブロック研修にきた人に任せようと考えています.そして,現在,それを打診中.下肢の血管外科手術への末梢神経ブロックの応用についての議論ですので,面白いと思います.

2014年2月20日木曜日

腹膜の神経支配は?

腹膜の神経支配を知らない人が案外多い.そして体幹の神経ブロックを皮枝のブロックと勘違いしている人も多い.しかし,それは間違いである.皮枝がターゲットだと勘違いして,ブロックを毛嫌いして,外科医に皮下浸潤麻酔をしてもらって,前腹壁の体性痛が全くコントロールされずに覚醒してきた患者を沢山みてきた.そんなもので,腹壁の体性痛は遮断できない.

Gray’s Anatomyにも腹膜の神経支配はしっかりと書いてある.壁側腹膜は脊髄神経つまり下位肋間神経及び肋下神経支配である.それに対して,臓側腹膜は自律神経支配.よって,壁側腹膜の痛みは体幹の神経ブロックで遮断できる.そして,体幹の神経ブロックの一番の目的は皮下だけではなく,前腹壁の筋弛緩および壁側腹膜までの知覚の遮断を通してえられる.決して,皮膚の痛みだけとったら充分というわけではない.

持続浸潤麻酔があるじゃないかという麻酔科医がいるかもしれない.しかし,腹壁の持続浸潤麻酔はある意味,持続腹直筋鞘ブロックと同じである.下腹部では横筋筋膜と壁側腹膜を縫合し,その後,腹直筋と腹直筋鞘を縫合する.カテーテルは横筋筋膜と腹直筋の間に置かれる.そこには腹直筋鞘後葉がない.だから腹直筋鞘ブロックと同義語.決して,皮下浸潤麻酔を行うカテーテルではない.

2014年2月14日金曜日

大雪には勝てぬ

明日,慈恵医科大学でお話をさせて頂く予定でしたが,やっぱり大雪の影響で開催が延期となりました.名古屋は午後から雨に変わりましたが,東京は吹雪いているということでした.また,天気のよい日にお話できる機会があればと思います.がんばって,スライドを作成したんですが残念です.

2014年2月9日日曜日

な~んだ!

最近,ずっと悩んでいた.言っていいものか,悩んでいた.


CoCo壱番屋の半熟卵と鳥つくねカレーを頼むと,半熟卵がついてこないことがしばしば・・・


料金は850円のままなのに・・・


ひょっとして頼んでくれる先生が「つくねカレー」なんて略してしまうからなのか?って,思って
半熟卵がついてこないときに,頼んだ先生に「半熟卵鳥つくねって言った??」なんて訊いてみたり



それで土曜日の当直の夕飯で,CoCo壱番屋にカレーの出前を持ってきてもらった際に質問してみた.


「あの~,最近,半熟卵と鳥つくねカレーを頼むと,半熟卵がついてこないことが頻繁にあるんです.ひょっとして,鳥つくねカレーなんて,省略すると,つくねしかついてこないんですか?」



店員さんが「あ~,持ってくるの忘れたんですね.そういうことはありません.鳥つくねには半熟卵がつきますから.」笑顔で答えてくれた.

「そういうときは,電話して下さい.すぐに持っていきますから・・・今日はちゃんと持ってきてます.」と言って,手術室から出て行った.


手術室の入り口で安堵した自分・・・・


でも,ふと考えると,半熟卵代を返せ!!1回,2回どころの問題じゃない.常習犯じゃ,こらぁ!!と怒りがこみ上げてきた.

2014年2月8日土曜日

今日は名古屋も軽く積もりました。

大寒波が来ているから東京では出歩くなと、テレビで昨夜に放送されてましたが、今朝起きたら、名古屋も雪が軽く積もっていました。フレンチの大ちゃんにとっては人生初めての雪。おっかなびっくりで雪の上を歩いていた。僕はチェーンソーを使うときに履く災害用のブーツを履いて当直のために大学へ。公共交通機関を使って行こうとしたが、なかなかバスが来なかった。25分くらいしてようやくバスに乗れましたが、やっぱり遅刻した。今朝は心臓外科手術が待ってたのに、恥ずかしい。

PECS 1 blockの遮断範囲

最近,腋窩から上腕内側にかけての帯状疱疹に罹患した患者さんの治療を行っている.外来治療としてPECS 1 blockを行っている.T1,2領域であるわけだけど,案外と硬膜外ブロックしても楽になったとは言われない.それがPECS 1 blockを選んだ理由.通常,PECS1 blockには局所麻酔薬を10mlを投与するわけだけど,20mlを注入している.

いつも,注入した後,「先生,ブロック効いているですか?痛みが消えましたね.」と返事をされるので,今日は遮断範囲を調べさせて頂きました.もちろん,教育用に写真を撮る許可も頂きました.

Von Fray filamentで通常なら痛覚を自覚する太さで,チクチクと刺激して,痛覚鈍麻になっているところを腋窩から放射線状に調べていきました.


その結果は来週末の慈恵医科大学での講演で,写真として提示させて頂きますが



はっきり申し上げて




Serratus planeなんぞ比じゃないぞ.私は,びっくらこきました.

そして鎖骨直下は,鎖骨上神経がかぶってくるから,見事に抜けていました.

私の方法はhydrodissectionを使うので遮断範囲が広いのか,それとも薬液注入量が多いからもしれません.遮断範囲が広いのは上肢も胸部の両方に関していえました.

2014年2月7日金曜日

また統計ソフトみつけた.NCSS9

僕自身は統計ソフトというのが好きな性分.統計ソフトは最低2つあると,なんとかなる気がする.
Graphpad prismとJMPをこれまで使ってきた.最近,NCSS9というのを手に入れてみた.SPSSを購入するより遙かにお手頃で,しかもありとあらゆる解析方法がついてくる.このソフトのよいところは,解説書がソフトの中に組み込まれている.英語だけど,それを読みながら統計の勉強もできてしまう.ちょっと難しいけど.しかも,このソフトでびっくりするのはメタアナリシスができる.まだやったことないけど,そのうちやらなきゃいけなくなるので今,勉強中.ソフトはアメリカの開発会社から直接購入する.ダウンロードだけの場合と,CDをつけるかどうかで多少値段が違う.CDはダウンロードした後日に,送られてくる.

2014年2月6日木曜日

EndNote X7は使いやすいね.

今更ながら,EndNoteをX5からX7にバージョンアップした.X5までは、使いにくくて困っていた.しかも,取扱説明書もなく,自分の感覚で使っていたから,全てのボタンの意味が分かってなかったし,使いこなせていなかった.はっきりいって,これまでは単に原稿を書くときの参考文献を付けるためにしか機能していなかった.原稿のために,文献を読みあさっているときのメモはOneNoteを使っていた.

X7はまず,読みやすい取扱説明書がついてくる.それを読みながら使っていると,それまで知らなかったボタンの機能や意味が分かってきた.そして,自分が使いこなせなかった理由が見えてきた.

1.ライブラリーモードアイコンの意味が分かってなかったこと.これを切り替えないといけないことすら知ってなかった.

2.これまで,ライブラリーを作りすぎた.原稿一つに一つのライブラリーを作るものだから,毎回,文献検索をし直していた.ライブラリーは一つにして,その一つのライブラリーにグループ分けして文献を管理していく.そうすれば,一つのライブラリーで関連した原稿を書けるので,文献検索にかける時間も大幅に減らせる.

この2点が自分が知らなかったために,EndNoteを使う時にストレスを感じていたことだった.

X7で特筆すべきは,文献に5段階評価をして,自分なりの重要なものに印をつけておける.
文献を読みあさっていると,いつの間にか,今自分が考えていることがどの文献に記載されていた
内容か忘れてしまうことがある.それを5段階評価しておくことで,すぐに探せる.RCTやメタアナリシスなどは僕としては4とか5を付けている.あと,論文をPDFファイルでダウンロードした後にこれまでファイルに収容していた.そんなことをする必要がない.とりあえず,デスクトップにダウンロードしておき,EndNoteからダウンロードした文献を読み込む.読み込んで,EndNote上に添付されたら,もうデスクトップにあるPDFは捨ててしまっても,EndNoteでそのPDFは読むことができる.文献の管理も楽になった.

自分が知らなかった機能があったことを考慮しても,X7がX5より飛躍的にソフトの完成度が上がっている気がします.

 

2014年2月5日水曜日

Complete TAP block

McDnellらは2013年のNYSORAでの講演でRafi's TAP block をComplete TAP blockと表現した。それは胸部傍脊椎腔へ広がって、内臓痛コントロールができるという意味からだ。

Dr Blancoが腰三角で注入した薬液が第11肋間から胸部傍脊椎腔に入り込むことをMRIで見出している.腰三角と肋骨弓の形成に関与しない肋骨の位置関係が近接していることが重要なのだ.

しかし,その薬液の広がりの確実性はどうなんだろう?内臓痛コントロールができている症例もあるが、一方でできていない症例もある。

腰三角の辺りの解剖が個人差がありすぎて、毎回同じ注入じゃない。そこにcomplete TAPブロックの不完全さが残るのかもしれない。新潟のジャイアンはどう考えているのだろう?

2014年2月4日火曜日

JB-POTって!

僕は2004年の第一回JB-POT試験に合格している。かなり合格率が低く、案外、自慢に思っている。普段からTEEにふれ、自分で画像を出し、計測して知識と経験を深めていった。実際なTEEで仕事して実践能力がないと、あの試験は受からないと、ずっと思ってきた。

ところが最近は事情が違うようだ。TEEに触ってなくても、つまり、実際の患者に問題があった時に病変を描出する能力、つまり実践能力がなくても合格してしまうらしい。なんでも、自分で画像を出せなくても、試験では最も綺麗な画像を出してくれるからだとか。心臓麻酔の経験がない人まで合格しているということらしい。

ようは役に立たない合格者がうまれているようだ。受験者資格の設定を見直してもよいのかも?考えもんだね。

2014年2月3日月曜日

向学心を沸かせる存在になれるか?

神奈川麻酔専門医会に参加してきました。たくさんの先輩麻酔科医から、業界事情やら仕事への考えなど、勉強になる話を聞かせて頂いた。そんな話の中の一つを紹介したい。

ここ数年の麻酔の進歩は著しい。それなのに、自分の経験だけの麻酔管理方法を若手に押し付け、自らはブロックも薬物動態学もTEEも学ばない中堅麻酔科医の存在が今後、組織の中で問題化してくる。彼らは若手の知識欲を満たせずに、成長の妨げになる。

現在の日本の麻酔科医をリードする先輩達は若手の向上心には、なんら心配をされていない。むしろ、今の麻酔科学の発展についてこずに経験を積んでしまった麻酔科医を心配している。そういう状況をつくらないような環境を学会としても作らないといけないし、そのために僕のように外で話をする機会を与えていただける麻酔科医は貢献しなきゃいけないのだろう。自分も成長を止めずに歩み続けなければた思った。

2014年2月2日日曜日

呼吸器外科手術1年後の遷延性術後痛

後側方切開で呼吸器外科手術をうけた患者の1年後に,慢性痛があったか、患者に質問してしらべた論文がある.
86名中,65名が解答をした.
35人(48%)に慢性痛があって,そのうち8名(12%)が神経障害性痛であった.

慢性痛のリスクファクターは,年齢,ASA分類,ドレーンの数で,年齢が若く,合併症のない人が,ドレーンを数本挿入される状況になると慢性痛になりやすい.

興味深いのは硬膜外麻酔の有無やPCEAの有無は慢性痛の発症に関連がない.
メタアナリシスでは硬膜外麻酔に予防効果があると報告した論文があるのだけど・・・

2014年2月1日土曜日

心臓外科で高用量レミフェンタニル

心臓外科でレミフェンタニルを使うようになり,胸骨縦切開や送血管をいれるために上行大動脈を処理している際に血圧上昇で悩む心配はなくなりました.若い先生達の中には,そういう手術操作で血圧が大幅に変動することを経験した人はもういないんじゃないでしょうか.

最近は,レミフェンタニルを高用量で投与されている状況もよく目にします.でも注意が必要.
高用量でレミフェンタニルを投与すると,胸骨縦切開後の慢性痛になる危険性が高くなります.

Brtish Journal of Anaesthesia 2012;109:616-22