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2011年1月31日月曜日

会津からT先生来る

 今日から一週間,会津若松からT先生がブロックの研修にきています.T先生は,山形のK先生と大学の同級生ということでした.T先生は自分の手技を確認したいと研修にいらっしゃいましたが,その通りで基本はすでにできていました.二人で仲良く持続傍脊椎ブロックのカテ入れをして,K先生もいつも以上に楽しそうでした.

危険な穿刺とは

 平行法で動脈穿刺が起きるのはなぜか?針が描出されてこないときに,刺入を続けながらプローブを調整するからです.そもそも原因は悪い姿勢で手技を開始し,良くない刺入点で穿刺しているからです.針を描出しようとプローブを大きく動かす.その結果,勝負すべきベストな超音波画像から外れ,刺入経路上に動脈が位置するような画像になってしまう.その時に,術者は針の描出に集中しすぎて,動脈の存在に気づかない.僕が唱えるベストな画像上に針を描出させてくるための平行法の三原則,これが一番大事です.

2011年1月30日日曜日

超音波ガイド神経ブロックの教育法(2)

 僕のプログラムでは,超音波局所解剖,平行法,針の描出方法,鎮静法,全身麻酔に併用させるための流れ,mutimodal approachを教育するようにしています.しかし,もう一つ重要なものがあります.それはセンスです.
 センスとは何か?超音波画像は部位は同じでも,患者が違えば全く違います.解剖学的変異や生活習慣による筋肉や皮下脂肪の量が違うから,見え方が違います.僕は同じブロックをするにしても,患者毎に異なる超音波画像を見て,この画像であるなら針先をどこにもっていくべきか常に考えています.岩登りの人が,岩を登るときにどのルートから攻めるか,登る前に岩山を見上げながら考えているのと同じです.
 K先生が,少しずつであるが僕が考えている「ここに針先をもっていこう」という所に何も言わなくても針先をもってくるようになっています.彼のブロックのセンスが僕のブロックのセンスに近づいてきているのです.まだまだ違うこともあり,注意することがありますが,着実に近づいています.神経ブロックのセンスは教科書にも記載されていません.一緒にやっていくうちに体得していくものなのかも知れません.

2011年1月29日土曜日

超音波ガイド神経ブロックの教育方法

 どうやって超音波ガイド神経ブロックを教育していくかを僕なりに考えています.何を教えなければいけないかを決めていかなければなりません.特に,自分が感覚として身につけている部分は言葉にするのは難しいです.指導方法については,一般的には,ブロックの難易度の低いものから行わせて教育していくという方法があります.これに関しては,僕は懐疑的です.ただ,独学で神経ブロックを開始する人が難易度の低いものから始めるということには賛成です.K先生に関しては,この指導方法をとりませんでした.K先生は全くの初心者でしたが,最高難易度の持続胸部傍脊椎ブロックから開始しました.そして,しばらくしてから難易度の低いTAPブロックや腹直筋鞘ブロックをやり始めました.K先生の目標が「胸部傍脊椎ブロックのカテーテル挿入ができるようになりたい.」ということだったからです.面白いことに,一ヶ月ほどした段階で,K先生は胸部傍脊椎ブロックは上手にやるのに,TAPブロックや腹直筋鞘ブロックでは全く針が描出できませんでした.これはブロックの種類によって,プローブ固定に必要な技術が全く異なることを意味しています.指導者は,個々のブロックにおいて何が危険で何が安全であるか見極められなければなりません.指導者がいれば,あまりブロックの難易度に固執する必要はないと思います.ありとあらゆるブロックを一緒に行いながら,たくさんのブロックの技術を磨いてもらえばよいと思います.

2011年1月28日金曜日

進級テストの意味

 今日,子供達が水泳の進級テストを受けた話をしてくれました.その際,進級テストのあり方にgeneration gapを感じてしまったので紹介します.僕も子供のころは書道,剣道,そろばんと階級制のある習い事をやってきました.僕の感覚では,“5級のテスト”とは,合格したら5級になれるテストでした.ところが,子供達の感覚では,“5級のテスト”とは,合格したら4級になれるテストのことだそうです.「5級でできなければならないことができるようになったから4級です.」ということらしい.両者の意味は同じように見えて,同じでない.僕らの時代は,“無理かもしれないが,上の級に上がるために突破してやろう”とか,“実力以上に背伸びして受けてやる”というハングリー精神が進級テストにはあった.つまり,前向きな進級テストだ.それに対して,今の子供達にとっての進級テストにはハングリー精神を感じない.“これできるようになりましたね,ハイ次に行ってください.”というのは,後ろ向きな進級テストだ.こんな進級テストを合格してもうれしいのだろうか?

名古屋大学超音波ガイド神経ブロック教育プログラムについて

 大学ホームページに紹介がないことを疑問視するメールを何通か頂きました.こちらも説明不足だったかもしれないので,この場で補足します.大学ホームページに記載しなければならないというものでもないとは思っています.私自身,すでに学会で講演するチャンスがある際は,紹介してきたのですが・・・.

 教授の許可を得て開始したプログラムで,私ひとりが指導します.名古屋大学麻酔科のスタッフ全員が指導できるわけではありません.プログラムを始動させた理由は,超音波ガイド神経ブロックが普及してきた現在,充分な技術を持たない指導者が初心者に教えて問題が生じていることを知ったからです.学会のワークショップの画像説明だけの教育では不充分で,誰かがこのような教育の場を提供しなけれならないと考えたからです.一緒に繰り返しブロックをすることでしか,身につけられないものもあります.実際に,私のところに胸部傍脊椎ブロックを見学にきた先生は多々いらっしゃいますが,実際にその後,ひとりでやっている先生はいません.つまり見るだけでは何も学べないのです.技術が未熟であるがために,神経ブロックができないという麻酔科医を一人でも多くサポートするためのプログラムです.欧米に目を向けると,見学して説明をうけるだけで十万円以上の研修費をとる施設もあります.私は,そのようなことはしていません.
 大学という場で,月単位で行うプログラムである以上,受け入れる際の給料の問題がでてきます.山形のK先生は在籍出向(いわゆる国内留学)の形をとっています.在籍出向の形ですと,完全に自由に研修ができます.名大の医員として受け入れる形もあります.医員の場合は当直業務というdutyが発生してしまいますが,ほぼ自由度のある実習が行えるようになっています.

BISで何をみるか(2)

 BISのEMGは鎮痛モニターにもなります.EMGとは筋電図のことです.手術中の侵害刺激をコントロールしていないと,体動が生じます.実は,EMGが体動が生じる2-3分前に急上昇します.この現象は,整形外科の四肢手術を末梢神経ブロックと自発呼吸を残した全身麻酔で管理しているときに,体動があると観察できます.
 手術中の侵害刺激は,術野に加わる侵害刺激,気道確保(気管チューブ,LMA)による咽頭・喉頭への侵害刺激,同じ体位をとり続けることによる侵害刺激の3つがあります.さらには,術者が末梢神経ブロックの範囲外に侵害刺激を加えてしまう場合もあります.末梢神経ブロックにより術野に加わる侵害刺激を取り除いても,残りの侵害刺激を抑えられていないと体動が生じてしまうわけです.
 BISのEMGを鎮痛モニターとして使うという話はもっと身近な話に言い換えることができます.皆さんも,リウマチ患者さんの膝手術を硬膜外ブロックと鎮静のみで管理していて,術中にモゾモゾをよく動かれて,その対処に疲れてしまった経験をされたことがあるのではないでしょうか.患者さんに聞くと,同じ姿勢をとり続けることが辛いと言われます.このモゾモゾをとるには鎮静薬を投与するより,麻薬や非麻薬性鎮痛薬を投与するほうが効果的です.BISのEMGを鎮痛モニターとして使うという話は,昔から我々が経験則でやっていたことです.EMGが上昇してきたら,筋弛緩薬を投与する前に,鎮痛レベルを再評価してみましょう.
上腕骨骨折に腕神経叢ブロック+プロポフォール&ケタミンによる全身麻酔で管理.気道確保はLMAで自発呼吸を温存していました.術者が偶然にも術野とは関係のない部分に身体を預け続けたことが引き金となって体動が生じました.BIS値が上昇する2-3分前にEMGが上昇しています.フェンタニル25μgを投与して対処し,体動が治まり,BIS値も低下しました.BIS値の推移とEMGの推移が連動していることが分かりますか?

とても気になる自転車

とても気になる自転車があります.自転車と言って良いのかわかりせんが,見てるだけでわくわくします.そのうちに日本にも輸入されるようになるのかな.これで大学まで通ったら,楽しいだろうなぁ.

2011年1月27日木曜日

Ghost Needleの対処(2)

 針の刺入角度を小さくすれば,針が超音波ビームに対して垂直に近づいた角度で刺入できます.この場合の刺入角度とは,皮膚面と針のシャフトでできる角度と定義します.よく心臓超音波診断のテキストをみると,自分が見たいターゲットを画面の真ん中に置くように解説してあります.しかし,これと同じようにターゲットとなる神経を画像の真ん中に置いてしまうと,針の刺入角度が大きくなり,針は消えてしまいます.よって,刺入点の反対側にターゲットを置くようにしてください.

ターゲットを画像の中央に置くと刺入角度が大きくなり
針は消えてしまう.

ターゲットを刺入点の反対側に置くと,刺入角度は
小さくなり,針は映りやすくなる.


2011年1月26日水曜日

学生講義が終わりました.

 今年は学生講義を二つ受け持っています.その一つ,急性痛管理の講義が今日,終わりました.プレゼンに関しては“スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン”や“プレゼンテーションZen”で普段から勉強をしていました.アイデア,コンセプトを伝えるのは,シンプルなスライドによるプレゼンで上手いき,学生も目を輝かせながら聴講してくれました.基礎的な話,たとえばポリモーダル受容器の話をしたりすると,やはりシンプルなスライドではなくなり,学生さんのリアクションは面白いもので,途端に寝てしまう人が出てきました.より専門的な内容を話すときに,どうすればシンプルになるか,もう少し自分の中で考えなければと思った次第です.

BISで何をみるか(1)

 みなさんは,BISで何をみていますか?最近は,BIS値だけではなく,脳波の波形も意識して観察するように言われていますので,みなさんもこの二つはよく見ていると思います.脳波ではsleeping spindleといって,人が睡眠状態に入ったときに観察される脳波が麻酔のときにも観察できます.僕はこれをよく見ています.
 SR (Suppression retio)が表示されていることも存知でしょうか?SRとはburst and suppressionが一分間に何%占めるかを示す値です.鎮静レベルが深くなったときに数値が上昇します.鎮静レベルが深くなることでSRが上昇する状況は,心臓手術で低体温にもっていくときに観察できます.H大学H教授は,SRを脳虚血を診断する指標にもなるとおっしゃっています.H大学からのcase reportですが,内頚動脈のトラブルで脳虚血が生じたときに,鎮静レベルを変化させていないのにSRの数値が上がったということです.

2011年1月25日火曜日

結局、大学で朝を迎えました。

昨夜は、クタクタになりながら、学生講義の資料作りをしました。朝3時の段階で帰る気力を無くし、医局のソファで朝を迎えました。。朝6時に、オペ室のシャワーを浴びて、そのまま代務に行きました。

Ghost Needleの対処(1)

 Ghost Needleの対処は超音波の物理的特性を知ることで解決策は見つかります.超音波はターゲットに当たった反射波がプローブに多く戻れれば戻るほど,よい画像を構築できるわけです.つまり,ターゲットに斜めに当たると,プローブに帰ってくる反射波が少なくなって,ターゲットがぼけてしまうわけです.このぼけ画像がGhost Needleの正体です.Ghost Needleの対処も,たった3つの工夫をすればOKです.その3つを今後,お話していきます.

2011年1月24日月曜日

絶えず麻酔以外の仕事を抱えて多忙にすること

 H大学麻酔科は,前教授のM木先生の教訓をとても大切にされている大学で,その教えを基にとても優秀な麻酔科医がたくさんいます.神経ブロックの縁で,僕は同門でもないのにM教授の教訓を学ぶことができます.僕が名古屋大学に来る前に沖縄で開催された学会で,現教授のH先生から頂いたM木先生の教訓は,「麻酔は忙しいほうがよい.忙しくしているからこそ,書くことができる.」というものでした.これをいつも頭にいれて生活しています.今日は夜9時まで麻酔をしておりました.明後日,学生に授業を行うのですが,まだストーリーができておらず,机に向かったままフリーズしています.神様,降りてきて・・・・

VASをAUCを使って比較する

 二つの治療法で痛みの評価を経時的に調べて,それを群間で比較したときに2要因の反復測定分散分析や混合モデル分散分析を使う話は,統計ソフトのところで話をしたと思います.これらの解析手法は治療法の違いによるVASの変化パターンに差があるかをみるときに使います.これらの解析手法を使用したときは,PCAポンプを使って塩酸モルヒネの累積使用量から術後鎮痛の優劣を付けたり,サンプルサイズを算出しています.逆に言うと,PCAポンプがあることが臨床研究に必要だったわけです.

 ところが,違った解析手法で術後鎮痛を評価する論文もあります.単純に,術後の観察期間内で,どちらの治療のほうが患者さんが痛がっていないかを調べるのに,Area under the curve (AUC)を使っているのです.AUCの概念は,もともと薬の血中濃度推移を評価するときに使われます.薬剤血中濃度のAUC値が全身に吸収された薬剤量ということになります.VASでは,観察期間内の痛がっている程度を意味することになります.個々の患者でAUCを計算して,比較すればよいわけです.AUCの良い点は非劣性,同等性の検証もできることです.AUCの欠点は,各時点の変化パターンが分からないことです.術直後は無痛で,術翌日は痛みが強くなる鎮痛法と,術直後から総じて中等度の痛みがある鎮痛法をAUCで優劣をつけてしまうことへの評価も必要でしょう.

2011年1月23日日曜日

超音波ガイド神経ブロックの普及と安全性

 今日は,東京で超音波ガイド神経ブロックオタクの集まりがありました.本当の名前はエキスパートミーティングです.超音波ガイド神経ブロックが普及期に入り,オタク集団(エキスパート)の役割も終わったかにみえたのですが,普及期に入ったことにより我々が想像だにしなかった問題が起きるかもしれないということになったわけです.つまり,経験数の少ない指導者が,講習会を受けたというだけで高難度の手技を未経験者に行わせてしまうことで,合併症が起こりやすい状況になりつつあるのではないかと.そういうわけで,今まではHow to perform で行動してきたが,How to teachに舵を切ることになりました.
 

2011年1月22日土曜日

ひさしぶりの結婚披露宴

 ひさしぶりに結婚披露宴に出席してきました.新郎は僕の恩人とでも言える人で,彼がいなければ僕は麻酔科医を辞めていました.ひとが苦渋の選択を迫れれたときに,苦渋の選択を最高の選択に変えるのはそのひと自身なのだと彼は教えてくれました.いつもは洞察力の鋭い目をした彼ですが,今日だけは緊張が緩んだ照れくさそうな顔をしていました.披露宴は,エスパー伊東が余興としてサプライズで登場し,大盛り上がりでした.

麻酔科医の麻酔科による麻酔科医のための育毛治療

 深夜にテレビを見ていたら育毛用に低出力レーザーがでる櫛が紹介されており,司会者がたくさんの論文があるのだと言っていました.僕は本当かなと思って,PubMedでLaser AND hair growthで検索して確認してみたところ,本当にたくさんの論文がヒットしました.そのうち,reviewを読むことができたので紹介します.

 レーザーによる育毛では,生体深達度のよい600nm波長の低出力レーザが頭皮の皮膚乳頭血流を改善させ育毛効果をもたらす.レーザー脱毛で逆に毛が生えてきた症例やもともとPUVA療法が完全脱毛症の治療に使われてきたことなどがヒントになった.毛質が変わり,髪の感触が変わる効果が認められる.
 
 低出力レーザーと聞いて,麻酔科医が思い出すものはあれしかありません.外来においてある赤い光を放つあれです.波長もちょうど600nmあたり,ということは・・・育毛にも使えるはず・・・.
生え際が気になる世代の麻酔科医にとって朗報.あれを育毛に使うプロトコール.ちゃんとreviewからピックアップしてきました.
1.はじめの2-4週間は2日おきに,1回15-30分照射します.
2.その後は週1-2回の照射を半年から1年続けます.
3.最終的には2週に1回,もしくは一ヶ月に1回の照射を継続していく.
(The current role of laser/light sources in the treatment of male and female pattern hair loss. Journal of cosmetic and laser therapy. 2007;9:27-8)
*外来業務終了後に撮影

2011年1月21日金曜日

2月半ばから空いてます.

 名古屋大学超音波神経ブロック教育プログラムですが,K先生が少し早めの終了となる予定です.それ以降であれば,いつでも受け入れ可能です.オペ室をブロックをしながらはしごする日もあれば,じっくり一例を自分で麻酔しながらブロックを取り入れた全身麻酔を堪能してもらう日もあります.週一回,ペンクリニックにおける超音波ガイド神経ブロックを学んでいただきます.それと関連病院において神経刺激腰神経叢ブロック&傍仙骨坐骨神経ブロックを学んでいただくことも可能です.基本的には一人ずつ受け入れて,ブロックをマンツーマンで教えていくようにしています.
 
 全くの未経験から開始したK先生をみて,技術を身につけるには3ヶ月あると理想的だと思います.K先生がブロックをスイスイと終わらせるようになったのは2ヶ月目の終わりあたりでした.スイスイとできるようになると,朝一入室の手術でも,2-3件ブロック行脚のはしごができるようになります.

腕神経叢ブロックはひとつでOK

 超音波ガイド腕神経叢ブロックでは,斜角筋間アプローチと鎖骨上アプローチの二つで上肢の手術すべてに対応ができます.Andre P. Boezaartは超音波ガイド神経ブロックが普及する以前から,Cervical paravertebral block(CPB)というアプローチであれば,肩から手までの手術すべてに対応できると言っています.このアプローチは肩甲挙筋後縁と僧帽筋前縁の交点を刺入点として,後外方から前内方に向かって,ちょうど胸骨切痕に向けて刺入し,肩の手術であれば針先をC5の筋収縮を,手の手術であればC7,8の筋収縮を得て局所麻酔薬を注入します.超音波ガイド法でBoezaartのCPBを見直すと,ちょうど斜角筋間アプローチと鎖骨上アプローチの中間,C7横突起の横断像が描出されるようにリニアプローブを置きます.この画像では腕神経叢が一列に並び,C7の内側に椎骨動脈が描出されてきます.この画像上で,肩の手術ならC5に,手の手術ならC7に針先を進めていけばよいのです.僕は,ひとりでやるときの超音波ガイド腕神経叢ブロックはCPBを行っています.だた刺入点がCPBと違い,プローブに合わせた刺入点になります.斜角筋間法より尾側,鎖骨上より頭側レベルでの腕神経叢ブロックなので,Low interscalene brachial plexus blockと勝手に呼んでいます.

2011年1月20日木曜日

Ghost Needleとは

 超音波ガイド神経ブロックおよび腋窩静脈カテーテルの話をしてきました.平行法の基礎,平行法はどうあるべきか理解していただけたと思います.僕がやっている平行法とみなさんがやっている平行法が似て非なる物だと感じた人も多いと思います.しかし,短時間で超音波ガイド神経ブロックをやりとげる人は自然と僕と同じ感覚を持ちながら,ブロックをしていると思います.
 今後は,超音波ビーム面上に針を乗せていても,針が消えてしまうGhost Needleへの対処について解説していこうと思います.ちなみにGhost Needleの名付け親は私です.

2011年1月19日水曜日

英文ライティングの技法

英文ライティングのルールが分からずに,医学英語を書く自信がないという人は少なくないはずです.そこで,僕がいつも机においているを紹介します.NASAの英文ライティングの技法を解説した和書です.コンマ,ダッシュ,文の語順,分かりやすい英文にするためのコツなど,一回読むと,その内容のすばらしさに驚くと思います.ちょっとした間違いで文意が自分の言いたいことと全く違うものになってしまった経験をした人は,NASAが同じ問題を認識し,それを解決するためにどのように科学英語として記載すべきか詳細に述べています.

2011年1月18日火曜日

耳の中で騒ぐもの

 日曜日の夜から急に右耳の中でカサカサ音を感じるようになりました.耳掃除しているのに,おかしいなと思いながら,耳かきをしても,何もとれませんでした.しかし,それ以来,突然としてカサカサ音がして不思議でした.月曜日に神経ブロックをしている最中でもtカサカサ音がしてました.今日,仕事から帰る途中も.何でカサカサと音がするのですが,理由が自分では全くわかりません.家に帰って,医者でもない妻に耳鏡で耳の中を見てもらいました.妻は「虫でもいるんじゃないの?」と一言いいながら,僕の耳の穴を覗くと,「なんかあるよ.」と叫びました.妻はデジカメで証拠写真を撮ると,そこには黒い線のようなものが写っていました.なんと2センチ程度の髪の毛1本でした.
 よく考えてみると,先週の土曜日の昼,急に右耳のあたりが痒くなりました.しかし,全くどこが痒いのか分かりませんでした.耳の穴に指を入れても,耳たぶをか掻いてみても,右のほっぺを掻いてみても,痒いポイントを見つけられませんでした.きっと,そのときが髪の毛が僕の耳の中に入り込んだ瞬間だったのだと思います.それ以来,耳がカサカサいっていたので・・・

超音波ガイド腋窩静脈カテーテル挿入,気胸の確認

 超音波ガイド腋窩静脈カテーテルの挿入後,胸部レントゲンを撮影をして気胸がないことを確認していると思います.胸部レントゲン撮影より超音波診断装置のほうが気胸を診断する能力は高いでのです.Lung ultrasoundと分野があります.通常の肺はsliding signと言って,胸膜が呼吸性にスライディングしている像が観察できます.気胸ではsliding signが消失します.胸部レントゲンで検出できない少量の気胸を検出できるのです.しかし,最上部にプローブをあててないとsliding sign消失を見逃してしまう可能性があるので注意してください.最上部周囲でブローブをいろいろ当てて,胸膜がスライディングしているか確認したほうがよいでしょう.
 運悪く気胸を起こしてしまったとき,人はsliding sign消失を目の当たりにして所見を否定してしまうものです.必ず,まわりの人と一緒に気胸の確認をしましょう.

2011年1月17日月曜日

超音波ガイド腋窩静脈カテーテルは二人でやるとよい

超音波ガイド腋窩静脈カテーテル挿入は一人でもできますが,二人でやったほうが楽しいです.一人でやると,ガイドワイヤーを挿入するときに,どうしてもブローブから手を離さないといけません.二人でやる時は,術者はブローブと針をもったまま,助手にガイドワイヤーを挿入してもらいます.利点は,腋窩静脈内に挿入されたガイドワイヤーが鎖骨下静脈に進んでいくのを観察できます.一人でやる場合の初歩的なミスは,ガイドワイヤーに手を伸ばしているうちに,針先が腋窩静脈から抜けてしまうことです.慣れない人は二人でやったほうが,常に針先を画像で確認できますので,手技の精度が上がります.
絵は二人で,腋窩静脈カテーテルを入れているところ.
助手にガイドワイヤーをいれてもらっている.

銀世界

心配になって早起きしました,辺り一面銀世界.今日は車は使わずに地下鉄とJRで出勤する予定です.岐阜はよく大雪が降りますが,名古屋は滅多につもることはありません.大変な出勤になりそうです.市中の病院では,きっと骨折の緊急手術が増えちゃうんでしょうね.

2011年1月16日日曜日

名古屋も雪が積もりました

今朝から雪が降り続け,久しぶりに雪が6cmほど積もりました.珍しくパウダースノウでした.市内で見るパウダースノウは僕が大学受験した時以来じゃないかと思います.寒さに耐えながら,子供達と一緒に雪ダルマを作りました.
追記,雪だるまを作ってからさらに雪が降り続け,どんどんつもっています.明日は手術室の当番(スーパーバイザー)なので遅刻しないようにいかないといけません.しかし,その自信がないです.

腋窩静脈カテーテル長の決定

 腋窩静脈カテーテルがちゃんと心臓に向かったとしても,カテーテル先端の位置がどこにあるかが重要です.カテーテル先端が深すぎて,右房の中に入ってしまうと不整脈の原因になります.浅すぎると,カテーテル先端が静脈壁に当たって詰まりの原因になります.カテーテルを固定する長さをどうやって決定するか説明します.カテーテル長は手技に入る前に見当を付けます.
 カテーテル先端の位置は体表のランドマークで見当がつきます.両側の乳首を結んだ線と正中線の交点Aと胸骨切痕レベルの正中線上の点Bとしたとき,ABの中間点Cがおおよそのカテーテル先端の位置です.清潔操作に入る前のプレスキャンで,腋窩静脈がもっとも綺麗に描出されるプローブの位置と刺入点をマーキングしておきます.清潔操作の段階で,中間点Cから刺入点までを通り,だいたいの腋窩静脈-鎖骨下静脈-腕頭静脈までの走行に沿ってカテーテルを置いてみます.その時の刺入点の位置がカテーテル長で何㎝かをみます.20cm前後のことが多いです.
カテーテル長のシミュレーションをしている図
右手中指先端がカテ先,左手人差し指が刺入点となります.
(なかなか上手に描けてるでしょ?)

2011年1月15日土曜日

iphone4で巻き返し

 僕の職場では若手がみんなiphone片手におしゃべりをしています.僕はpalmまでは時代の先端を行っていたと自負していましたが,iphoneにはついて行っていませんでした.そんな折,ペインクリニック外来で薬を調べようと,山形から来ているK先生に本を渡して,骨粗鬆症治療薬のページを出してくれるように頼んだら,iphoneで今日の治療薬を出して見せてくれました.その瞬間,このままでは自分は麻酔科医として時代遅れになると不安になりました.人間,攻めなくなったらおしまいです.その週末にソフトバンクに行き,iphone4 16Gに機種変更をしました.手元にiphoneが届くまで2週間と言われ待ちました.今日,とうとうソフトバンクから連絡があり,iphoneが届いたということでした.早速,受け取りにでかけ,いろいろ楽しんでいました.
 iphoneを手に入れてから気付いた困ったことが見つかりました.もともとの携帯のアドレス帳をiphone4に入れてもらいました.帰宅してパソコンにiTuneをダウンロードしてiphone4と同期させたら,パソコンに入っているメールのアドレス帳も入力されて,パソコンのメールのアドレスと元々の携帯のアドレスがごっちゃごっちゃになってしまって,すぐに連絡相手を見つけられないのです.あと,JR西日本のEXカードによる新幹線の予約ですが,携帯だと簡単にアクセスできたのですが,iphoneによるネットからだと,いちいち12桁のIDから入力しないといけません.便利さと不便さが混在してます.

ドロペリドール5mgと7.5mgの差

 日本麻酔科学会学術総会の演題採択通知がなされたと思います.術後鎮痛は術後回復に影響を与えます.術後鎮痛の主役が麻薬である今日,麻薬による術後悪心嘔吐対策は重要です.悪心嘔吐対策として,海外で使える5-HT受容体拮抗薬が日本では抗がん剤の悪心嘔吐でしか使えません.多くの人は,ドロペリドール,メトクロプラミド,デキサメサゾンを使用しているのが現状でしょう.
 ドロペリドールは致死的不整脈との関連性から使用を控えるようにFDAが勧告を出しましたが,その後,FDAはドロペリドールの承認適応外使用として術後悪心嘔吐への使用を認めるコメントを出しています.ドロペリドールが術後悪心嘔吐に使用できるようになったものの,錐体外路症状の合併症の懸念から,やっぱり使用しないという麻酔科医もいます.ドロペリドールの錐体外路症状がどういう条件がおきるか具体的なものを教示する文献はありません.そんな中,ドロペリドールの使用量で悪心嘔吐の予防効果がどうであったかを後ろ向きに調べました.術後30時間でドロペリドールを5mg投与していたり,7.5mg投与していたりしたのですが,少ない量で効果が一緒であるのなら,少ない方に越したことはないと考えたからです.検出力分析もした上での抄録でしたが,不採択でした.これを調べてくれたN先生は不採択だったことをメールしてきました.採択通知で不採択理由が述べてあることは,とても良いことですね.どうして不採択だったのかわかります.その理由は「投与量5mgと7.5mgの差2.5mgを比較することに意義があるのか疑問である.」ということでした.N先生は,本当に2.5mgの差を比較することに臨床的に意義がないのかを必死になって考えてくれるでしょう.

超音波ガイド腋窩静脈カテーテル,ガイドワイヤーの確認

 腋窩静脈,鎖骨下静脈に中心静脈カテーテルを挿入する際,カテーテルがちゃんと心臓に向かっているかが一番の問題です.誰しもが,カテーテルが頭に向かってしまい,「頭を栄養するつもりか?」と先輩医師に揶揄されたことがあるのではないでしょうか.盲目的にやっていた時代は,最後に胸部レントゲン写真を撮影しないとわかりませんでした.それを避けるために透視下で実施する医師もいます.患者,術者共に被爆する問題がありました.超音波ガイド法では,被爆することなく,手技中にカテーテルが正しく留置されたか分かります.ガイドワイヤーを挿入した段階で鎖骨上窩にプローブを置き,内頚静脈と鎖骨下静脈が腕頭静脈(無名静脈)に合流する部分を描出します.腕頭静脈に向かうガイドワイヤーを確認したらOKです.
今回は趣味の絵画で解説用の図を描きました.

2011年1月14日金曜日

腕の良い整形外科医と坐骨神経ブロック

 麻酔科医は毎日,たくさんの手術の麻酔を担当する.一人の外科医が年間に手術をする症例数をはるかに上回る手術件数をこなしているので,次第に目が肥えてくる.若い麻酔科医でも,外科医の腕を見抜く心眼ができます.
 僕は3つ大学病院を渡り歩き,手術の麻酔をこなしてきました.そんな中でバイトで行った八施設の整形外科手術で末梢神経ブロックをたくさんの患者さんに実施してきました.整形外科医は膝関節手術や股関節手術の終了後に坐骨神経の機能を確認するのが基本です.ところが,末梢神経ブロックで坐骨神経をブロックしてしまうと,術後に坐骨神経の機能を評価できなくなります.腕のよい整形外科医は,手術にリズムがあり,手術時間が短いという特徴があります.実はもう一つ特徴があると思います.腕のよい整形外科医は術直後の坐骨神経機能評価に固執しません.むしろ,患者さんに痛みが少ないほうがよいので末梢神経ブロックをどんどんやってほしいと言われます.自分の手術で坐骨神経を傷つけないという自信の表れでないかと思います.自分が出会った整形外科医にはこのような傾向がありました.みなさんの御施設はどうでしょうか?

2011年1月13日木曜日

肢端紅痛症と大学入試センター試験

今週末は,センター試験があるのに寒波で厳しい寒さになりそうです.多くの受験生は大変でしょう.実は,この寒波が追い風になる受験生もいるのです.世の中には,きっと,肢端紅痛症に罹患した受験生がいると思います.肢端紅痛症は身体を温めてしまうと激烈な痛みが出現しますので,その子にとっては試験会場が暖房されていることは,耐え難い痛みの中で試験問題を解くことになります.当然,実力が発揮できるはずもありません.恐らくは,診断書を書いてもらって別室で受験となるでしょうが,そこにも試験官がいます.センター側は試験官のためにある程度の暖房はすると言うでしょう.肢端紅痛症の受験生は,そのちょっとの暖房でさえ,痛みが出てしまいます.肢端紅痛症の患者さんは,冬場でさえ,痛みから逃れるために窓を全開にします.布団に入ることさえ嫌うのです.今週末の寒波はそのちょっとの暖房も打ち消すくらい寒いでしょう.全国の肢端紅痛症を抱えながら,がんばっている受験生よ.今年は神様が君たちにエールを送っているのだ.がんばれ!!

統計ソフトについて

 あまり超音波ガイド関連のことばかり書いても,うんざりくるので,今日は統計ソフトについて書きます.僕は,現在,統計ソフトを3つ持っています.SPSS, JMP, Graphpad Prismです.SPSSは高額なので科学研究費を獲得したときに購入しました.JMPとGraphpad Prismは自費でした.もっぱら使っているのはJMPとGraphpad Prismです.
 JMPは大学勤務であれば通常より安いアカデミック版で購入でき,その後のバージョンアップも安価にできます.JMPを使うのは,様々な臨床データから何か関連性がないか,探索的にデータ解析をしたいときに使っています.統計解析の手法を選択しなくても,とにかくデータの関連を調べられるのがJMPの利点です.思わぬ発見にワクワクすることもしばしばです.統計解析の手法を選択しなくてもよいので,臨床研究を始めたい人が統計解析の面白さを知るうってつけのツールですが,解析結果を正しく解釈するには統計解析の勉強は必要です.JMPのもう一つの利点は,サンプルサイズの計算ができることです.
 それ対して,Graphpad Prismは解析する前に,どんな解析手法を使うかをあらかじめ決めていないといけません.Graphpad Prismは日本の代理店で日本語版を購入することもできますが,大変高額なのでお勧めしません.その代わり,アメリカのホームページからオンラインで,わずか450ドルで購入できます.英語にアレルギーのある方でも大丈夫です.英語版を解説した本(GraphPad Prism5による生物統計学入門)も出ていますので問題なく使いこなせます.Graphpad Prismの利点は、統計解析の結果に加えて,とても綺麗なグラフが作れることです.Graphpad Prismにはサンプルサイズを計算する機能はついていません.アメリカの同じ会社からStatMateというソフトが75ドルであり,これを使うとサンプルサイズ計算ができます.JMPとGraphpad Prismがあれば,いろいろできます.
 では,SPSSは何に使っているか?僕は経時的データを扱うときに使います.麻酔科関連の臨床研究は痛みや血中濃度など経時的なデータ解析が多いと思います.通常,Visual Anaglogue Scale,血中濃度は2要因の反復測定分散分析を使う人が多いですが.2要因の反復測定分散分析は欠損値があると,解析できません.欠損値がある場合は,混合モデル分散分析を使う必要があります.SPSSを混合モデル分散分析のときに使ってます.
 JMPはエクセルで入力した形のまま統計解析ができますが,SPSSとGraphpad prismの難点は,統計解析の手法によってデータの入力が異なることです.

2011年1月12日水曜日

名古屋大学超音波ガイド神経ブロック教育プログラム(2)

 山形のK先生がこのプログラムに参加して2ヶ月が経過しようとしています.途中,僕の年休と正月休みが入ってしまったので,その分症例が少なくなってしまいました.経験した症例数は以下の通りです.K先生は全くの経験なしで開始しましたが,今では腹横筋膜面ブロックや腹直筋鞘ブロック安全に実施できるところまで上達しています.この場合の安全にというのは,僕が書いてきた平行法を実施できるという意味です.胸部傍脊椎ブロックのカテーテル挿入も難しい症例では,アドバイスがいりますが,痩せている患者さんには全く問題なくカテーテルを挿入できる状況です.正月休みの影響で,整形外科下肢手術が減ってしまったので,神経刺激ガイド腰神経叢ブロック&傍仙骨坐骨神経ブロックの症例数が少なくなっています.スカルプブロックは当たり前ですが,盲目的手技です.神経ブロックをするためにオペ室を渡り歩く日もあれば,実際に症例をあてて一例に対してじっくり神経ブロック併用全身麻酔の全体の流れを経験してもらう日もあります.
 この教育プログラムでは,僕と一緒に末梢神経ブロックをするだけではなく,実際に僕が各科の手術にどのような工夫をして全身麻酔に末梢神経ブロックを組み込んでいるか,そのノウハウを学んでいただいています.ケタミンの使い方も勉強できます.

胸部傍脊椎ブロック(ほとんどカテ入れ) 24例
腹横筋膜面ブロック               33例
腹直筋鞘ブロック                10例
星状神経節ブロック                               18例
腕神経叢ブロック斜角筋間アプローチ     3例
                             鎖骨上アプローチ      4例
                             鎖骨下アプローチ   1例
                             腋窩アプローチ         1例
腰神経叢ブロック                                    3例
坐骨神経ブロック傍仙骨アプローチ          5例
                             膝窩アプローチ          3例
大腿神経ブロック                                    4例
肩関節注入                                            3例
深頚神経叢ブロック                                 2例
スカルプブロック                                      2例
腋窩静脈カテーテル挿入                         5例
腰椎椎間関節注入                  3例

他流試合をしない

 麻酔科医は中心静脈カテーテル挿入の他科依頼をうけます.ほとんどは,他科の医師では中心静脈カテーテル挿入が困難で,且つ合併症を最も避けなければならない患者さんです.僕は麻酔科外来で超音波ガイド下腋窩静脈カテーテル挿入を指導しています.一番に言うことは,いくら超音波ガイド下に安全にやれる自信がついても,他流試合をしてはいけないと教えています.どんな環境でも,どんな姿勢でも超音波ガイド法であれば,どんな患者でもカテーテル挿入ができると思い込んではいけない,自分がいつもやっている環境で中心静脈カテーテル挿入を行いなさいという意味です.我々の手技を熟知しサポートしてくれる看護師,使い慣れた高さ調整のできるベット,ベットと超音波診断装置と自分との位置関係・・・すべての条件が揃わないと,状態の悪い患者さんに安全な手技を提供できないと考えます.よって,必ず,患者さんに病棟から麻酔科外来に来ていただいくことにしています.病棟看護師は麻酔科医に病棟で中心静脈カテーテルを入れるように依頼してきますが,その理由を問い合わせると,必ず病棟でというわけではないようです.単に患者さんが歩けないだけで,ストレッチャー移動やベット移動であれば,麻酔科外来に来ていただくことができます.病棟で実施しなければならないのは無菌室に入っている患者さんくらいです.「われわれにどうしてもカテーテルを入れてもらいたいなら,患者さんを麻酔科外来に連れてきてください.」と病棟看護師や主治医にPHSで伝えます.PHSを切った後,「他流試合はしちゃいけないんだよ.」とまわりにいるスタッフに向かってつぶやきます.

2011年1月11日火曜日

気付かれました.

 とうとう,僕がブログをやっていることを週一回で行っている関連病院の先生に気付かれてしまいました.僕が名古屋大学に移動して,初めて末梢神経ブロックを仕込んだN先生が見つけたそうです.みんな,僕が朝8時にブログの記事をアップしているのを不思議がっていました.8時にアップしている記事は,仕事を怠けて書いているわけではありません.実は書きためたものを自動でアップしているだけです.
 僕がブログをやっていることに気付いた先生達はこぞって,「筆無精じゃないじゃん.」と言われます.おっしゃるとおりでした.

超音波ガイド腋窩静脈穿刺, tentingへの対処

 腋窩静脈を穿刺するとき,針先が静脈壁に当たっても貫けず,静脈壁はTentingを起こします.それに対して,患者さんに息こらえをしてもらうことをお話ししました.Tentingへの対処ですが,患者さんに息こらえをしてもらっている間に術者もひと工夫します.
 術者は腋窩静脈がTentingするまでは刺入角度を変えずに刺入していきます.Tentingが生じたところで,針を皮膚に平行になるように寝かせつつ刺入していきます.針先で腋窩静脈をすくってくるイメージです.この状況で息こらえをしてもらうと,安全に腋窩静脈を穿刺できます.大事なポイントはTentingしてから刺入角度を変えるということです.刺入角度を変えることで,Tentingしつづけた腋窩静脈を貫いた瞬間に,肺も穿刺してしまうことを回避できます.烏口突起より内側になればなるくほど,腋窩静脈(鎖骨下静脈)と胸膜が近づくので,刺入角度を変えなければなりません.脱水が強く,腋窩静脈の虚脱が強い患者への穿刺では,このように針先で腋窩静脈をすくってくるような穿刺が有効です.Tentingしていないのに刺入角度を変えると,針先が腋窩静脈の上を滑るだけで,腋窩静脈を一向に貫くことができないので気をつけてください.

2011年1月10日月曜日

お千代保稲荷

 今日は「おちょぼさん」として親しまれ,日本三大稲荷のひとつ,お千代保稲荷神社に参拝に行ってきました.実家が酒屋であるため,母親の希望で商売繁盛と家内安全を祈願して我が家の毎年の行事になっています.参道には様々なお店,出店でたくさんの参拝者でごった返していました.30円でアゲとろうそくを購入して参拝しました.

 おちょぼさんの中に名刺を挟んで参拝するほこらがあります.昨年,そのほこらに自分の名刺を挟んだら,出世を果たしましたので,今年も何か御利益があるかもしれないと,名刺を挟んできました.お参り後は,参道でいろいろ食べ歩きました.
 毎年,おちょぼさんの参道で気になるお店があります.ウナギならぬナマズの蒲焼きを食べさせてくれるお店があるのです.毎年,挑戦してみようかと思いつつ,挑戦していません.

患者と二人三脚で行う超音波ガイド腋窩静脈カテーテル挿入

 超音波ガイド腋窩静脈カテーテル挿入は患者と二人三脚で穿刺を行います.針先が腋窩静脈(もしくは鎖骨下静脈)の壁に当たっても,針先は簡単には静脈壁を貫きません.針に押されて静脈壁がテントを張ったような状態(Tenting)になります.Tentingした状態のまま刺入していき,静脈壁を針が貫いた瞬間に,肺も穿刺してしまう危険性があります.そこで,針先が静脈壁に到達したら,患者に息こらえをしてもらいます.息こらえで静脈が膨らんだところで,丁寧に刺入していくと静脈内に針先が刺入されます.症例によっては,息こらえした瞬間に針先が静脈内にスッと刺入されます.しぼんだ水風船に針先が鋭くない針で刺しても,なかなか破裂させられないですが,パンパンに膨らんだ水風船なら簡単に破裂させられるのと同じです.Tentingに対する針の操作は次回,お話します.

2011年1月9日日曜日

自転車修理

 僕は片道11kmを月曜日から金曜日まで自転車通勤しています.雨の日,風邪を引いた日以外はツーキニストです.自転車は今は亡きNationalのAlairというママチャリで,3段変速で,夜暗くなると勝手に電灯がつきます.とても頑丈で,愛知医大に勤務していた当時,コンビニから飛び出してきた車に側面からぶつけられた時も,前輪が歪んだだけで,フレームは歪みませんでした.
 名古屋大学に移ってからの2年を走り続け,最近は自転車をこぐとカシャーン,カシャーンと音が鳴っていました.まだまだ使えると,ブレーキだけ点検してもらいながら使い続けてきました.しかし,今日,とうとうチェーンが壊れました.自宅から2kmほど離れた長久手図書館のところで,壊れてしまいました.2kmを重たい自転車を引きながら,自転車屋さんに修理に持って行きました.1時間後に,修理代わずか1880円で,新品の如く綺麗になって戻ってきました.本当はロードバイクが欲しいのですが,まだまだママチャリによる自転車通勤は続きそうです.

超音波ガイド腋窩静脈カテーテルでの針の持ち方

 超音波ガイド腋窩静脈カテーテルを平行法で実施するときの針の持ち方は鉛筆持ちにします.体表ランドマークによる穿刺では血液の逆流を確認するために,注射器のプランジャーに指をかけ陰圧をかけながら穿刺していると思います.しかし,超音波ガイド法では,陰圧をかけつつ穿刺をすると,針先がぶれて安定した穿刺ができません.このことは,神経ブロックが穿刺する人と薬液を注入する人を分けることで,安全な穿刺をすることと共通しています.

2011年1月8日土曜日

超音波腋窩静脈カテーテル挿入での腋窩静脈の描出

 超音波腋窩静脈カテーテル挿入を平行法で行うときのポイントをお話していきます.コツは神経ブロックと同様にプローブに針を合わせること,つまり,最も綺麗に腋窩静脈から鎖骨下静脈までの移行部長軸像を描出したら,その画像上に針を描出する能力が要求されます.
 最も綺麗な「腋窩静脈から鎖骨下静脈までの移行部長軸像」とは,超音波ビーム面が静脈短軸像(円の形)の中心点を通る像です.中心点を通らないと,静脈壁に垂直に超音波ビームが当たらないので静脈壁が不明瞭になります.さらには前後径の細い静脈として描出され,針先が静脈壁を貫く時の安全域も少なくなります.
 もう一つ重要なのはベットの高さです.腋窩静脈をプローブの圧迫でつぶさないようにプローブを当てる力を調節する必要があります.ここが神経ブロックと違う点です.神経ブロックでは静脈をプローブで圧排してから行うので,手技の感覚が違うのです.プローブをもつ側の肘をベットに置いて固定すると,プローブを皮膚に当てる力を調整できるようになります.術者はイスに座り,肘を楽な姿勢でベットに固定できるように,ベットの高さを調整するとよいでしょう.もちろん,肘が不潔にならないように大きめの滅菌コンプレッセンを使います.

超音波ガイド神経ブロックの穿刺法(7)

 今回が超音波ガイド神経ブロックの平行法のコツについて最後となります.プローブをしっかりと固定し,正しい刺入点を見極め,丁寧に穿刺するためには,術者は身体を固定しないといけません.よく見かけるのは,背中を丸め,プローブを持っている側の腕も,針を持っている側の腕も宙ぶらりんの姿勢でブロックをしている姿です.針が描出できないと言っている人の多くは身体が固定できていないのです.プローブを持っている側の肘が90°近く曲がる状態で手技ができるように手術台の高さを調整します.腰もしくはお臍あたりでベットに身体を預けて,身体を固定します.つぎにプローブを持っている上肢の脇をしめます.そうすると,上腕部が側胸部で固定され,自然と肘が90°近くに曲がった状態になります.僕のところに手技を習いにくる麻酔科医の多くはベットの高さを調整することに驚かれることが多く,いかにみんな身体を固定することを意識していないかが分かります.乳児への神経ブロックでは,針の操作がミリ単位になるので,術者は座って両肘をベットに置いて固定します.

2011年1月7日金曜日

超音波ガイド腋窩静脈カテーテル挿入

 中心静脈カテーテルの挿入でいう「鎖骨下」とは第一肋骨外側縁より内側で穿刺すると鎖骨下静脈を穿刺したことになり,外側で穿刺すると腋窩静脈を穿刺することになります.超音波ガイドではその境界を描出し穿刺することになるので,時に鎖骨下静脈穿刺になり,時に腋窩静脈穿刺になります.体位は仰臥位で,穿刺側の上肢は内転し,体幹にくっつけておきます.プローブを三角大胸筋溝に沿って起くと,プローブは第一肋骨を横切る腋窩静脈から鎖骨下静脈の連続する部分を描出します.すると,刺入点はかなり外側になります(写真).このアプローチを紹介すると,この位置でカテーテル固定が患者の行動を制限してしまうと思っている麻酔科医がいます.本アプローチでカテーテルを挿入した患者さんに話を聞くと,腕をグルグル回しながら別に気にならないと言われます.テニスや野球をするわけではないので,入院生活の活動範囲内なら,この位置でのカテーテル固定は問題がないと僕は捉えています.

超音波ガイド星状神経節ブロック誕生秘話

 ご存知ない方もいるかもしれませんが,僕はマイクロコンベックスプローブを使った超音波ガイド星状神経節ブロックを考案し、2007年にAnesthesia & Analgesiaに報告しました.今でも覚えているのは,カナダで開催された超音波ガイド神経ブロックに関する国際シンポジウムに出かけて行ったときに,突然,Facultyのひとりに呼びかけられて「君がDr Shibataか?」と尋ねられ,「君はペインクリニックの世界を変えた.」と褒めていただいたことです.実はこのアプローチが誕生した裏には一人の女性の存在があることを皆さんはご存知でしょうか?
 もともと超音波ガイド星状神経節ブロック自体は1995年にKapralがすでに報告していました.しかし,頸部に当てるには大きいリニアプローブを使っていること,針の最終到達ポイントの記載が曖昧であったことから普及するには至りませんでした.2005年当時,いくつかの論文から深頚筋膜の下で頚長筋内に局所麻酔薬を投与することがブロックを成功させる鍵であることを掴んでいました.しかし,超音波ガイドで針を刺入する方法が検討つきませんでした.そんなおり,当時,SonoSite Japanという超音波機器メーカーが「超音波ガイド神経ブロックは大きく手術麻酔を変えるかもしれない.」と踏んで,愛知医大麻酔科に話しを聞きに何度か来ました.同行されたスタッフのひとりで大石麻紀さんという女性が僕に「こんなプローブがあるんですけど,これで何かできないですかね.」と,偶然にも僕の机の上に置いていったのが小児の心臓・腹部超音波検査用のマイクロコンベックスプローブでした.当時,超音波ガイド神経ブロックに使用するプローブはリニアプローブと大きなコンベックスプローブの二つしかありませんでした.その晩,こんなプローブで何ができるだろうと思いながら,腕神経叢を見ようとプローブを頸にあてました.腕神経叢のオリエンテーションを付けるために,マイクロコンベックスプローブをC6レベルの頸部前面に軽く押し当てました.その瞬間,総頸動脈がC6横突起前結節より外側に牽引され,頚長筋とそれを覆う深頚筋膜が皮膚表面に近づくのが観察されました.マイクロコンベックスプローブを使った超音波ガイド星状神経節ブロックが誕生した瞬間です.   
 大石さんのおかげで従来の盲目的な手技に類似した穿刺で超音波ガイド星状神経節ブロックを実施することができ,局所麻酔薬を注入している途中でブロックの合併症を予測することが可能となりました.

Palm終焉

 名古屋大学附属病院手術室の麻酔器にはpalmが備えられており,麻薬(フェンタニル)の薬物動態シミュレーションができるようになっています.これは僕がこちらに移動した折,教授に提案して備えて頂いたものでした.毎日,毎日palmをみんなが使いつづけ,あるものは壊れ,あるものはコードが断線して充電できなくなり,とうとうボロボロの状態になってきました.
 palmは,研修医の先生達にたくさんのことを教えてくれました.手術の痛みを抑えるのに大切なのはフェンタニルの総投与量ではなく,フェンタニルの効果部位濃度であること.フェンタニルの総投与量は,投与中止後の効果部位濃度の低下する速度を規定すること.同じ強さの痛みでも患者さんによって必要なフェンタニルの効果部位濃度は異なること.今では,研修医の先生達は何も臆することなく,患者さんに手術による痛みを経験させないためにフェンタニルを投与し続けます.時に総投与量は10μg/kgを超えます.僕が研修医の頃,4時間の手術でフェンタニルをたった200μg投与しただけで指導医が「患者の呼吸が病棟で停止したらどうするんだ.」と怒鳴りました.
 palmによる薬物動態シミュレーションは,それまでの「手術室を生きて出て行けばOk」とした危機管理学的な手術麻酔から「快適な麻酔」という質が求められる手術麻酔への変革をもたらしました.そんな時代の立役者palmもとうとう終焉を迎えます.大学の電子麻酔記録システムに薬物動態シミュレーションソフトが組み込まれ,palmは4月を目処に不要になるということでした.palmに合掌.

2011年1月6日木曜日

両側胸部傍脊椎ブロック

 今日,担当した上腹部開腹術の症例はAPTTが延長しており硬膜外ブロックは禁忌でしたので,胸部傍脊椎ブロックのカテーテルを超音波ガイド下に両側に留置しました.全身麻酔導入後に,体位を側臥位として両側ともT7レベルに留置し,0.375%ロピバカイン15mlを左右それぞれに投与しました.執刀時の血圧,脈拍は安定しており,開腹後は適宜フェンタニルとレミフェンタニルを投与していきました.手術終了時に再度0.375%ロピバカイン15mlを再度,左右それぞれに投与し,全身麻酔から覚醒させました.
 抜管後の患者さんに軽度の痛みがあると言われました.そこで創部を押しながら,痛みがあるか訊きました.傷を押しても「痛くない.」ということでした.どんな痛みを感じているのか尋ねたところ,患者さんは「どこが痛いかわからないけど,痛い.」と返事をされ,重い痛みがあるのかと尋ねたら,「そう.」と返事がありました.患者さんは内臓痛を自覚していると判断し,フェンタニルを投与しました.退室時には痛みなく,病棟に帰室されました.
 このように末梢神経ブロックを開腹術に応用すると,開腹術における急性痛を前腹壁の体性痛と内臓痛の二つの要素にわけて評価ができるので,開腹術の痛みを理論的に対処する技術を身につけることができます.創部にカテーテルを留置することを外科医にお願いしてしまうのも良し,自分でカテーテルをいれる技術を磨くもよしです.みなさんは,どちらを選びますか?

2011年1月5日水曜日

持続浸潤麻酔用多孔式カテーテルがもうすぐ使える

 持続浸潤麻酔術後研究グループと八光によって開発されてきた持続浸潤麻酔用多孔式カテーテルの製品名,規格,価格が決定したようです.ペインクリニックセットという名前で,側孔が3,5,8,10個ついているタイプの4種類があります.これで硬膜外ブロックが禁忌となる症例の開腹術の急性痛管理が大きく変わってくると思います.外科医が創部にカテーテルを留置することに難色を示すことが予想されますので,普及するには3年程度はかかるのではないでしょう.個人的には,創部にカテーテルを留置するより,持続TAPブロックのほうが受け入れられやすいのでないかと思います.

2011年1月4日火曜日

急性痛管理の意義

 今年は医学部の学生に急性痛管理について講義をします.急性痛管理とは,手術中や術後の痛みをとることをいいます.医学生とは言え,麻酔のことはこれから勉強するわけですから,全くの素人を相手に話しをするも同然です.自分の常識が相手にとっては非常識ということもあるわけです.何を話すべきか把握するために,急性痛管理の意義について聞き取り調査をしてみました.相手は1,2年目の研修医,3年目の麻酔専修医およびと手術室看護師です.「なぜ,手術中に痛みをとらないといけないと思う?」と聞いてみました.

研修医Aさん:「かわいそうだから.」
研修医Bさん:「つらいから」
麻酔専修医Dさん:「手術中の血圧や脈拍があがっちゃうからでしょ?」
看護師Cさん:「全身麻酔って,無痛でしょ.」
 全くもって,麻酔科医が行っている努力はまわりの人達に理解されていないことがわかりました.なんと,手術室で勤務する看護師Cさんは麻酔科医が手術中に痛みをとる処置をしていることさえを知りませんでした.
 
 全身麻酔とは,手術をうける患者に無意識,無痛,筋弛緩,有害反射の抑制という4つの状態を作り出す行為です.昔はひとつの麻酔薬で全身麻酔の4つの状態を作り出せると考えられてきましたが,今は否定されています.現在の全身麻酔は,4つの状態をそれぞれの作用がある薬で作り出す「バランス麻酔」の概念で行われています.麻酔科医は必ず手術中に痛みとを取る処置(鎮痛)を必ず行っているわけです.
 実は,「手術中に痛みをとる.」という表現には語弊があります.全身麻酔中は意識がないのだから,患者は痛みを自覚しません.つまり,手術中に痛みは存在しないのです.患者に意識があれば,痛みとして自覚する有害な刺激=侵害刺激を「手術中の痛み」と表現しています.全身麻酔で意識がなくなると,患者は痛みからは開放されます.しかし,侵害刺激は神経を介して脳に伝達され,患者の身体は様々な有害な反応を起こします.この侵害刺激が脳に伝達されないようにすることを,「手術中に痛みをとる」と表現するのです.

 手術中および手術後の痛みをとることで,患者の血圧や脈拍が落ち着き,手術が安全に遂行できます.さらに,術後の合併症を防ぎ,早期回復を促します.しかし,手術中や術後の痛みを取ることの意義はそれだけではなかったのです.2008年以降,全身麻酔ひとつで手術後の患者の予後が違ってくることが言われ始めました.癌の手術では,全身麻酔の鎮痛法が癌の再発や転移に大きな影響を及ぼすことが報告されたからです.
 
 米国では全身麻酔とは別に急性痛管理に対して,全身麻酔と同等の料金を患者は支払わなければなりません.日本では,急性痛管理に対して非常に安い料金しか設定されていません.急性痛管理を安価なオプションサービスとしてではなく,ちゃんとした医療行為として,もっと格上げして欲しいものです.

2011年1月3日月曜日

正月休み最終日

 今年の正月休みは前半は依頼原稿を書くのにつぶしてしまったので,最後くらいは子供と一緒に遊ぶことにしました.高級料理よりマクドナルドが大好きな娘達の要望で,お昼はマクドナルドとなりました.昼食後,家から1kmほど北にある矢田川の堤防に歩いていき,凧揚げをしました.ほどよい風があったので,凧揚げは最高に気持ちよかったです.

超音波ガイド神経ブロックの穿刺法(6)

 僕が超音波ガイド神経ブロックをする際に頭の中で射的競技をイメージしているとお話しました.それは「安定した構えから,的を狙い,矢を射る.矢を射った後も構えを崩さない.」ということでした.今日は「矢を射った後も構えを崩さない」ことについて話します.
 実は正しい刺入点で穿刺できない理由の多くは,この部分に原因があります.繰り返しますが,正しい刺入点とは,穿刺直前に自分が「よし!この画像でブロックするぞ!」と決めた超音波画像に一発で針が描出されてくる刺入点のことです.神経ブロック初心者は,針を穿刺すると同時にプローブが大きく動いてしまいます.刺入点での穿刺が雑なため,針を穿刺する力でまわりの皮膚を押してしまい,結果としてプローブがずれてしまうのです.これでは,いくら穿刺前に正しい刺入点を思い描いても無駄になってしまいます.丁寧な穿刺を心がけてみてください.穿刺時にプローブがずれてしまう現象は,皮膚がたるんだ肥満患者に対する神経ブロックで特に起きやすくなります.この場合,針をもっている利き手の中指でたるんだ皮膚を牽引し,テンションをかけてから,刺入点を見極め,丁寧な穿刺するとよいでしょう.

2011年1月2日日曜日

今年,最初の驚き

 僕のいとこは英語が堪能で通訳の仕事なんかもこなす美人さんです.彼女の父親が僕の母親の弟です.彼女が美人なのは,彼女の母親からの遺伝子であり,決して僕の母親家系の遺伝子を受け継いだわけではないことは,医学を学んでいる僕には自明でした.そんな彼女が結婚し,お相手は東京でテレビの仕事をしている男性だとも聞いておりましたが,忙しい僕はあまり親族の集まりに参加しないので,その人が誰かは知りませんでした.今年の正月に実家に帰省して,その男性がかわかりました.本屋で手に取ったことのあるの作者でした.

超音波ガイド神経ブロックの穿刺法(5)

 このブログを見つけて読んでくれた麻酔科医はかなり平行法について理解が深まってきたのではないでしょうか.今回は,平行法の心構えについてお話しします.
 僕が平行法を使って超音波ガイド神経ブロックをしているときに頭に描いているイメージは・・・


こんな感じです.分かりますか?今までの説明を読んでくれた人はどことなく理解してくれると思います.写真はアーチェリーですが,弓道でも,射撃でも,射的競技なら何でもいいです.

 安定した構え(ブローブ固定)から,的(正しい刺入点)を狙い,矢を射る(針を刺す).矢を射った後も構えを崩さない(プローブ固定がずれない).

 超音波ガイド神経ブロックの平行法に射的競技と同じ感覚を持ちながら,僕は手技に望んでいるのです.この感覚はペインクリニックで胸部傍脊椎ブロック星状神経節ブロックを超音波ガイドで実施しているときに自然と自分の中でイメージされました.手術麻酔で上下肢のブロックしかしていなかったら,この境地には達しなかったでしょう.

2011年1月1日土曜日

新年あけましておめでとうございます.

 昨年は講師になり,いろんな学会でお話をさせていただく機会を頂いて,自分としては突っ走ってきた一年でした.あっという間に年末を迎えてしまい,年の瀬の雰囲気を楽しむ暇もありませんでした.今年はプロジェクトした臨床研究を推し進めて,自分が大学を移籍したことへの答えを出すための一年にしたいと思います.3月には香港で,International Symposium on Spine and Paravertebral Sonography for Anaesthesia and Pain Medicine 2011のfacultyとして胸部傍脊椎ブロックについてレクチャーを行います.