2011年1月6日木曜日

両側胸部傍脊椎ブロック

 今日,担当した上腹部開腹術の症例はAPTTが延長しており硬膜外ブロックは禁忌でしたので,胸部傍脊椎ブロックのカテーテルを超音波ガイド下に両側に留置しました.全身麻酔導入後に,体位を側臥位として両側ともT7レベルに留置し,0.375%ロピバカイン15mlを左右それぞれに投与しました.執刀時の血圧,脈拍は安定しており,開腹後は適宜フェンタニルとレミフェンタニルを投与していきました.手術終了時に再度0.375%ロピバカイン15mlを再度,左右それぞれに投与し,全身麻酔から覚醒させました.
 抜管後の患者さんに軽度の痛みがあると言われました.そこで創部を押しながら,痛みがあるか訊きました.傷を押しても「痛くない.」ということでした.どんな痛みを感じているのか尋ねたところ,患者さんは「どこが痛いかわからないけど,痛い.」と返事をされ,重い痛みがあるのかと尋ねたら,「そう.」と返事がありました.患者さんは内臓痛を自覚していると判断し,フェンタニルを投与しました.退室時には痛みなく,病棟に帰室されました.
 このように末梢神経ブロックを開腹術に応用すると,開腹術における急性痛を前腹壁の体性痛と内臓痛の二つの要素にわけて評価ができるので,開腹術の痛みを理論的に対処する技術を身につけることができます.創部にカテーテルを留置することを外科医にお願いしてしまうのも良し,自分でカテーテルをいれる技術を磨くもよしです.みなさんは,どちらを選びますか?

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