日本麻酔科学会学術総会の演題採択通知がなされたと思います.術後鎮痛は術後回復に影響を与えます.術後鎮痛の主役が麻薬である今日,麻薬による術後悪心嘔吐対策は重要です.悪心嘔吐対策として,海外で使える5-HT受容体拮抗薬が日本では抗がん剤の悪心嘔吐でしか使えません.多くの人は,ドロペリドール,メトクロプラミド,デキサメサゾンを使用しているのが現状でしょう.
ドロペリドールは致死的不整脈との関連性から使用を控えるようにFDAが勧告を出しましたが,その後,FDAはドロペリドールの承認適応外使用として術後悪心嘔吐への使用を認めるコメントを出しています.ドロペリドールが術後悪心嘔吐に使用できるようになったものの,錐体外路症状の合併症の懸念から,やっぱり使用しないという麻酔科医もいます.ドロペリドールの錐体外路症状がどういう条件がおきるか具体的なものを教示する文献はありません.そんな中,ドロペリドールの使用量で悪心嘔吐の予防効果がどうであったかを後ろ向きに調べました.術後30時間でドロペリドールを5mg投与していたり,7.5mg投与していたりしたのですが,少ない量で効果が一緒であるのなら,少ない方に越したことはないと考えたからです.検出力分析もした上での抄録でしたが,不採択でした.これを調べてくれたN先生は不採択だったことをメールしてきました.採択通知で不採択理由が述べてあることは,とても良いことですね.どうして不採択だったのかわかります.その理由は「投与量5mgと7.5mgの差2.5mgを比較することに意義があるのか疑問である.」ということでした.N先生は,本当に2.5mgの差を比較することに臨床的に意義がないのかを必死になって考えてくれるでしょう.
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