2011年1月3日月曜日

超音波ガイド神経ブロックの穿刺法(6)

 僕が超音波ガイド神経ブロックをする際に頭の中で射的競技をイメージしているとお話しました.それは「安定した構えから,的を狙い,矢を射る.矢を射った後も構えを崩さない.」ということでした.今日は「矢を射った後も構えを崩さない」ことについて話します.
 実は正しい刺入点で穿刺できない理由の多くは,この部分に原因があります.繰り返しますが,正しい刺入点とは,穿刺直前に自分が「よし!この画像でブロックするぞ!」と決めた超音波画像に一発で針が描出されてくる刺入点のことです.神経ブロック初心者は,針を穿刺すると同時にプローブが大きく動いてしまいます.刺入点での穿刺が雑なため,針を穿刺する力でまわりの皮膚を押してしまい,結果としてプローブがずれてしまうのです.これでは,いくら穿刺前に正しい刺入点を思い描いても無駄になってしまいます.丁寧な穿刺を心がけてみてください.穿刺時にプローブがずれてしまう現象は,皮膚がたるんだ肥満患者に対する神経ブロックで特に起きやすくなります.この場合,針をもっている利き手の中指でたるんだ皮膚を牽引し,テンションをかけてから,刺入点を見極め,丁寧な穿刺するとよいでしょう.

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