2011年1月12日水曜日

他流試合をしない

 麻酔科医は中心静脈カテーテル挿入の他科依頼をうけます.ほとんどは,他科の医師では中心静脈カテーテル挿入が困難で,且つ合併症を最も避けなければならない患者さんです.僕は麻酔科外来で超音波ガイド下腋窩静脈カテーテル挿入を指導しています.一番に言うことは,いくら超音波ガイド下に安全にやれる自信がついても,他流試合をしてはいけないと教えています.どんな環境でも,どんな姿勢でも超音波ガイド法であれば,どんな患者でもカテーテル挿入ができると思い込んではいけない,自分がいつもやっている環境で中心静脈カテーテル挿入を行いなさいという意味です.我々の手技を熟知しサポートしてくれる看護師,使い慣れた高さ調整のできるベット,ベットと超音波診断装置と自分との位置関係・・・すべての条件が揃わないと,状態の悪い患者さんに安全な手技を提供できないと考えます.よって,必ず,患者さんに病棟から麻酔科外来に来ていただいくことにしています.病棟看護師は麻酔科医に病棟で中心静脈カテーテルを入れるように依頼してきますが,その理由を問い合わせると,必ず病棟でというわけではないようです.単に患者さんが歩けないだけで,ストレッチャー移動やベット移動であれば,麻酔科外来に来ていただくことができます.病棟で実施しなければならないのは無菌室に入っている患者さんくらいです.「われわれにどうしてもカテーテルを入れてもらいたいなら,患者さんを麻酔科外来に連れてきてください.」と病棟看護師や主治医にPHSで伝えます.PHSを切った後,「他流試合はしちゃいけないんだよ.」とまわりにいるスタッフに向かってつぶやきます.

0 件のコメント:

コメントを投稿