2011年10月7日金曜日

あきれた労災の顧問医

今日の外来で女性患者さんが涙をこぼして,僕に教えてくれました.通勤途中で車にはねられ,慢性痛になった方です.労災のアフターケア制度の認定をうけるために,労災の顧問医の診察をうけたそうです.

初老で白髪の顧問医は,僕の診断書を読み終わると,患者さんが色仕掛けで僕を騙して診断書を書かせたのだろうと言ったそうです.僕が左膝に関節可動域制限があると書いたにもかかわらず,和式便所に座らせる姿勢を強要し,杖がなくては歩けないと言っている患者さんに対して,「杖を使わずに歩け!」「もっと早く歩け!」と患者さんに無慈悲に指示を出し,患者さんが痛みをこらえながら,その指示にやっとのことで従うと「それみろ,やればできるじゃないか」と罵倒したそうです.患者が天気が悪くなると,痛みが増悪すると伝えると,「それを天気病って,僕はいつも言っているだよ.」とそんなものは存在しないとでもいう風に答え,相手にもしなかった.外傷性頚部症候群に対して,頚神経後枝内側枝への高周波熱凝固を行った旨を診断書に記載し,患者さんがそのことを説明したところ,「首にそんな神経は存在しない.」とも.患者さんの痛みを楽にしてあげようと,デュロテップパッチを貼付した僕に対して「過量治療で,いつまで続けているのだ.」とバカにしたそうです.

この初老の労災顧問医は,今や日本ペインクリニック学会や日本疼痛学会でも低気圧と慢性痛の関連性は指摘されていることを知らないのでしょう.外傷性頚部症候群に椎間関節が関与し,その椎間関節に分布する頚神経後枝内側枝を遮断することで様々な頭頸部の症状が消失することも,慢性痛に対して適切に麻薬によって治療する時代であることも知らないのでしょう.書類だけ目を通して,労災に申請してくる人を詐欺扱いすることしかできない.

初めて患者さんと診察室で出会ったとき,交通事故により人生が大きく変わり,精神的苦痛を受けたことによって,全身状態がボロボロでした.1年かけてようやく治療が進んできたのに,この無知で傲慢な初老顧問医がすべてを無駄にしてくれました.今日,涙を流す患者さんの前で,僕は側にいてあげることしかできなかった.話を聞いてあげることが一番の治療だと思ったからです.

労働災害の多くは慢性痛です.慢性痛に無知な人間が医師免許を持っているというだけで労災の顧問医をしていることが問題なのだと思います.しかも労災認定という権限を持つが為に,横柄な態度をとっていることが労働災害にあった患者に2次的苦痛を与えている.労働災害において慢性痛を抱えた患者の認定には,日本ペインクリニック学会の専門医も関与すべきではないかと思います.

2 件のコメント:

  1. これは非道い!世の中、ダメ医者はいっぱいいますからねー。この患者さんは僕もブロックしたことある方ですよね?頚椎椎間関節ブロックとか。

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  2. 患者さんによれば自賠責,労災のそれぞれの顧問医はつながっていて,はじめから結果ありきの診察であったそうです.患者の親御さんもあまりの異様な診察に,「各顧問医は裏でつながっているですね.」と労災の事務員に問い詰めたそうです.黙ったまま,否定されなかったそうです.自賠責で救済されない状態になっていたために労災のほうに救いを求めたはずなのに,各顧問医が裏でつながっているようでは,本当の意味で患者救済にはなりません.

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