2011年10月14日金曜日

坐骨神経ブロックの残る道(1)

膝,股関節の手術をする整形外科医は坐骨神経ブロックを嫌う.術直後から坐骨神経機能を評価したいというのが,一番の理由.術直後に坐骨神経を傷つけたと分かっても何をするのだろうかという疑問がまっさきに頭に浮かぶ人も多いと思うが,昔から言われ続けたことを今更,気にするなとは誰も言えないだろう.教科書にも,「坐骨神経の評価をする」ことは書いてある.

世界標準で言えば膝や股関節に坐骨神経ブロックをするのがスジであるが,日本の常識は世界標準でないから仕方がない.それなら,いっそう,坐骨神経ブロックが生き残る道を探った方がよい.僕が気兼ねなくやっている坐骨神経ブロックを紹介しておこう.

1.血管外科
ASOの重症下肢虚血痛の管理では持続坐骨神経ブロックが有効である.手術適応がある患者でも下肢虚血痛で不眠,食欲不振となって,全身状態が悪くなって入院してくることが多い.こんなとき,手術数日前から持続坐骨神経ブロックで鎮痛すると全身状態が改善する.手術適応がない場合でも,壊死した足先が黒化するまでの鎮痛を行う.下肢切断までの橋渡しなど,いろんな使い方がある.手術に関して言えば,血管外科手術をうける患者の多くは糖尿病,心疾患,脳血管疾患,慢性腎不全など重篤な合併症をもつ.坐骨神経ブロック,大腿神経ブロック,腸骨下腹鼠径神経ブロック,陰部大腿神経ブロックを行うことで,全身麻酔が非常に楽になります.

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