2011年11月21日月曜日

腸骨採取に対するTAPブロック

僕は前勤務先で腸骨から採骨して,骨移植する四肢の手術があり,そのときにTAPブロックで腸骨採取の術中の痛みを取ることができるということを掴んでいました.宮島セミナーのために,論文を読んでいたら,腸骨採取の術後痛にPosterior TAPブロックがよいというケースレポートを見つけました.
Regi Anesth Pain Med 2010;35:520-4.

腸骨採取は時に,本来の創部痛より強いことがあり,慢性痛に移行する割合も10 - 34%と高くなっています.筆者らは0.33%ropivacaineを15 ml投与し,皮膚分節遮断域,術後48hのVAS,初回モルヒネ要求時間,18ヶ月後の慢性痛の有無を調べています.これでT9 (95%CI: T7 - T11)からL1 (T11 - L2)までの皮膚分節遮断域が得られ,術後48hの術後痛の4分位範囲はVAS < 4で推移しています.初回モルヒネ要求時間は297 (97) minでした.慢性痛は20%でありました.

彼らのケースレポートを読む限り,posterior TAPブロックは急性痛管理として腸骨採取部の痛みを軽減させるが,慢性痛の発生を減少させることは期待できないようです.ただし,彼らも考察していますが,慢性痛のVASが他の腸骨採取後の慢性痛を調べた論文より低くなっており,TAPブロックを行う価値はありそうです.

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