2011年11月5日土曜日

ワークショップの限界

日本臨床麻酔学会のワークショップがありました.僕は12時の飛行機しか予約できず,途中で会場を後にしました.誰しも正しくできる平行法を教育していく必要性を,今回の学会ほど考えさせるものはありませんでした.僕が教えている内容をエキスパートにしかできないものと誤解されていることをはっきりと認識した学会でもありました.なぜ,そんな誤解がうまれてしまうのか?その温床は今のワークショップのあり方にあると思います.

ボランティアを使って局所解剖を理解することを目的としているとは言え,あまりに臨床とはかけ離れた位置に超音波診断装置を置き,本来ならそんな立ち位置でプローブをあてることはないという立ち位置でみんな画像を描出しています.テーブルもその場にある低い机を代用し,受講者は前屈姿勢で,首をひねってやっています.きっと,受講者の中には,そんな格好でブロックをしてもよいのだと勘違いしている人もいるでしょう.実際,僕のところに研修にきた人たちは,超音波診断装置の配置や自分の立ち位置の重要性を認識していませんでした.

各ブロックに適した超音波診断装置の配置,立ち位置まで教え,机を手術台の代用として使用するのなら,本来の立ち位置で受講者に座らせて描出させるなどの配慮をして行かない限り,平行法での穿刺が容易であることを誰も理解できないでしょう.平行法は針を刺す前に勝負がついているんです.姿勢が大事!!もう少しワークショップの形も工夫していかねばと思います.

2 件のコメント:

  1.  かつては、色んな”?”状態をいかにして自分の五感に捉え、判断できるようにするか工夫していました。そんなアナログの時代にパルスオキシメーターやCO2モニター、BISとの遭遇は衝撃的で、それによって職人技?で伝えられていた「何となく**」を判断しやすく、標準化させた事は技術革新だと思いました。
    けれど、いくらデジタルを集めても最終的な判断は個人のアナログな感性に依存する部分があり、その感覚を伝達(指導)し研ぎすませる事は、昔も今も難しいと思います。
    pnbsiva先生の実施を拝見したとき、「新しい時代」の衝撃を感じました。今も Epoch Makingだと思っています。

    さて、術後鎮痛は主体を硬膜外から末梢神経ブロックに軸を移しつつありますが、末梢神経ブロックは初期除痛の一部分であって、全体をどのように組み立てるかというイメージが必要だと思います。針など道具の使い方はアナログな部分が多いため、末梢神経ブロックの実施者を増やすにはその指導者を増やす事が先だと思いますし、そこに術後鎮痛全体を描ける”ネオアナログな感性”が求められると思います。

    具体的にはワークショップを以下のようにしてはいかがでしょう。
    イ)「初学者」「指導者」コースの2部制
    ロ)指導者:「初学者」への教え方をpnbsiva先生などがチェックし合否判定

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  2. 先生のおしゃる通りです。
    私の上肢ブロックでは事前に配置を考えたのですがベストな位置に置くことができませんでしたので、まず受講生には立ち位置、超音波装置の位置、自分の姿勢についてはiPadで私の施設での写真をみせてからスタートしました。また受講生を椅子に座らせてできるだけ安定した姿勢で描出に専念できるようには配慮したつもりです。

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