2011年6月10日金曜日

神経内注入(4)

末梢神経ブロックによる経損傷の原因は,神経内注入から神経束注入へと現在は変遷しています.

Fernando Rらはブタの腕神経叢と大腿神経にUSとNSを使って24本の神経内注入をした後,組織学的検討を行っています.針にはStimuplex Bを使用して,超音波ガイド下に神経の真ん中にまで針先がくるまで刺入してインディアインクを注入しています.神経内注入の超音波画像と神経の組織像を見比べると同時に,NSの最低刺激閾値および注入圧も調べています.神経内注入の超音波画像は,薬液の注入と同時に神経が膨化していきます.組織学的には,神経内注入を示していましたが,神経束注入になっているものはありませんでした(95%CI, 0 - 16.3%).神経内に穿刺した時の最低刺激閾値は0.2 - 3.3 mAで,注入圧は0.07 - 31.5 psi (80%は0.61 - 15 psi)という結果になっています.

最低刺激閾値に関しては,これまでのヒトの研究と同様,0.2-0.5 mAは神経内注入になっていないという安全神話が当てにならないことを示す結果になっています.注入圧は,一般的に20 psi以上では神経内注入になっていると言われてきましたが,それより随分低い注入圧でも神経内注入が起きていることがわかります.この論文から言えることは二つ.神経刺激ガイド法におけて安全を保証してきた手段(刺激閾値,注入圧を指標)でも,神経内注入が起きていた可能性が高いこと.しかし,神経内注入は神経束注入にはなってないということです.

この論文は,欧米のUSG-RAの指導者達には「神経内注入と神経束注入は超音波では区別が付かない.」ことを証明するものとして受け取られています.そうでしょうか?

3 件のコメント:

  1. 鈍針で行う場合、画像上は神経内注入でもそれはepineurium内への注入でperineurium内に入ることはない、という認識でもよいでしょうか。

    Bigeleisenの"Ultrasound Guided Regional Anesthesia and Pain Medicine"でも先生のように述べてあり、以降epineurium内への注入にあまり躊躇しなくなりました。よく効く、気はします。

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  2. 返事は,明日以降のブログでね!T@福島先生.

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  3. はい!楽しみにしておりますm(_ _)m

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