2011年6月25日土曜日

元宇品公園の大クスノキに会ってきました.

今日は,広島で開催された第3回痛みを考える会で講師として話をさせていただく機会を得ました.僕が広島を出たのは2001年12月末,そのころは宮島の近く廿日市市に住んでいましたので,広島市内は1999年以来,散策したことがありませんでした.折角の機会なので,朝早く名古屋をでて,広島市内散策をしました.広島散策といっても,目的は元宇品公園に行くことでした.

広島大学医学生のころは広島港近くの宇品に住んでおり,よく元宇品公園(国立公園)で遊んでいました.元宇品公園は海に面した国有林の山で,自然がたくさんの残っています.山を上がりきったところには宇品灯台があり,広島の海の安全を見守っています.この灯台の側に樹齢300年の大きなクスノキがあり,学生時代は,よくここで自分の将来を考えていました.このクスノキのところまで一緒に登ってくれた人とは一緒になることはありませんでしたが,今の自分の姿をクスノキに報告しに行ってきました.300年もの間に,いろんな人達の出会いを見てきた大クスノキに会わずに広島を出てしまったことが,ずっと気になっていたのです.当時は,この大クスノキにもたれかけながら汗を拭いたもんですが,今は残念ながら近づけないようにロープが張られていました.ロープ越しに大クスノキに触れて,また元気をもらって山を降りてきました.スーツのまま山に登ったので,汗だくだくのまま,夕方6時の講演をさせていただきました.
僕の知っている大クスノキは,硬い土に根を張り,根はほとんどが土からむき出しのまま
元気に立っていました.当時から,根を人に踏まれて削れていました.その状態で
この大クスノキは,たくさんの人を温かく迎えてきたわけです.みんなこのクスノキに抱きついて
「わー大きい」と感動していました.子供達は,むき出しになった根を平均台にようにして遊んでいました.
300年もそうして人と触れあってきたのに,このままでは大クスノキが腐ると言って,
人を遠ざけるようにロープを張らせた樹木医の判断が正しいとは思えません.
大クスノキは人に触れてもらい,人に元気を与えることを天命とされたのです.
僕は人に触れられもせずに長生きすることを大クスノキが望んでいるとは思えません.
この大クスノキに耳をあてることができる日が早く戻ってきて欲しいです.
医療が時として余分な介入をすることで,患者さんの人格,尊厳を奪ってしまうことがあります.
樹木医は大樹が長持ちすることばかりを考えず,人に元気を与える大樹としての姿を守って欲しい.
それは大樹から人を遠ざけることではない.

0 件のコメント:

コメントを投稿