2011年6月18日土曜日

リドカイン静注を使いこなす(2)


リドカイン静注は硬膜外麻酔も末梢神経ブロックもできない状況において麻薬と併用して実施すべき鎮痛法と言えるかも知れません.
Mingkwan Wらは,腹腔鏡下大腸・直腸切除術を受ける患者を対象に,リドカイン持続静注併用モルヒネIV-PCAが術後早期回復に与える影響について硬膜外麻酔と比較しています.

リドカインは麻酔導入前に1.5 mg/kgを投与後に,術中は2.0 mg/kg/h,術後は1.0 mg/kg/hで術後48時間投与します.モルヒネIV-PCAはバックグラウンドなし,ボーラス1.0-2.0 mg7分置きとしています.硬膜外麻酔はT7/8でカテーテルを挿入し,術中は0.25%ブピバカインを5-10 mlをワンショット後に,5.0-8.0 ml/hで持続投与し,術後は0.1%ブピバカイン1.0-15 ml/hで投与してます.両鎮痛法ともnaproxenacetaminophenも定期投与して,multimodalな鎮痛をしています.

早期回復プログラムにおける評価項目,術後初めての放屁,腸管運動,はじめての飲水,食事全量摂取の時期,ベット離床時期,PONV,入院期間など,すべてで有意差がありませんでした.術後鎮痛に関しては,大腸切除では有意差がありませんでしたが,直腸切除では硬膜外麻酔のほうが有意に低くなっていました.

体幹の末梢神経ブロックが消化器外科手術に実施できない状況というのは,かなり少ないと思いますが,もしブロックすらできない状況の場合はリドカイン静注も考慮してみるとよいですね.

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