2011年6月26日日曜日

サンプルサイズの計算(5) 2グループの平均値の比較1

僕は統計を勉強しようとしているうちに,サンプルサイズが計算できるパソコンソフトとしてJMP,StatMateを,iphon用アプリでBioCalc,SamleCalc,Sample size calculator for clinical researchと買いそろえていました.実はサンプルサイズの計算式にはたくさんの種類があり,ソフトによりどの計算式を採用しているかことなります.よって,同じ条件を入力しても数値が異なってきます.まずは値段も手頃なので,iphoneアプリを使ってサンプルサイズを計算してみようと思います.

Regional Anesthesia and Pain Medicine 2011;36:261-5で,Brian Mらがサンプルサイズ計算をどうおこなったかをみてみましょう.この論文は,足の手術をうける患者に超音波ガイドに膝窩部坐骨神経にカテーテルを留置する際に針先から0 - 1 cm挿入した群と5 - 6 cm挿入した群で鎮痛効果を比較したものです.0 - 1 cm挿入群のほうが鎮痛効果がよいだろうと仮説をたてました.primary EndpointとしてNumbering Rate Score (0 - 10)を使って評価しようとしています.そこでCan J Anaesth 2010;57:919-926を基に,両群のNRSの差を1.5,両群のSD(標準偏差)を2.5と見積もっています.αエラーを5%,検出力1-βを80%と設定しました.

この論文では,両群のNRSの平均値が掲載されていません.この場合はSampleCalcを使ってみましょう.なぜなら両群の平均値ではなく,差とSDを入力するようになっているからです.
SampleCalcを起動し,平均値を使ってサンプルサイズを計算するために下段にある「μ mean」をタップします.次に,2群平均値の比較をするので上段の「2Mean」をタップします.


αに0.05,βに0.2,予測される差としてμ2-μ1に1.5,両群のSDとしてσに2.5を入力します.そこまで入力すると,Nに45と出力されます.このサンプルサイズはそれぞれの群に45人必要だという意味です.合計で90名の患者さんに臨床研究に参加してもらうことになります.
最終的には,Brian Mらは臨床研究を始めてみたときに,SDが見積もりより大きな値をとったときにさらに多い人数がいないと検出力を担保できないので,最終的にサンプルサイズを各群50人,合計で100人としています.
SDが2.5から3.0に増えたときは
サンプルサイズが45から64に増えます.

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