2011年6月17日金曜日

リドカイン静注を使いこなす(1)

リドカイン静注は鎮痛作用,抗痛覚過敏作用,抗炎症作用があることがわかり,現在はmultimodalな急性痛管理のひとつとして捉えられています.

僕が研修医の頃,リドカイン静注は不整脈の治療以外に,気管支喘息や虚血性心疾患がある患者さんへの気管挿管で交感神経を抑制する目的に使っていました.気管支れん縮や頻脈や血圧上昇を防いでくれました.でも,当時の僕はリドカイン静注の意味を理解していませんでした.麻薬の薬物動態シミュレーション簡単にできるようになると,気管挿管時の交感神経を麻薬で抑えることが簡単になり,リドカイン静注を使うことはなくなりました.

その後,広島から愛知に転居し,バイト先の病院で大先輩の麻酔科医が大腿骨頚部骨折をプロポフォール持続投与とリドカイン静注100 mgを使って,自発呼吸下に全身麻酔する姿を見て,こんな使い方があるんだと驚きました.その時に「もし大災害で麻酔薬がなくなったら,リドカイン静注で全身麻酔をすればいいんだよ.」と教わりました.その時に初めて,リドカイン静注と全身麻酔が自分の頭の中でリンクしました.でも,リドカイン静注を鎮痛薬として理解するのには,もっともっと時間がかかりました

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