2011年9月23日金曜日

ロイヤルファミリーの治療

ワークショップ終了後にDr Rabiah Noueihedとコーヒーとケーキを食べながらお話をしました.彼女は日本で言えば,いわゆる「宮内庁御用達のペインクリニッシャン」でした.僕が観てきたシェイクザイドモスクは2004年に逝去されたSh. Zayed国王のモスクということでした.シェイクドザイド国王は生前は腎機能が悪く,メイヨクリニックで移植を受けられました.移植を受ける前は透析を宮殿でおこなっていましたが,ある日,背中の強い痛みで公務がまったくできなくなったそうです.腎臓内科医,神経内科医,脳神経外科医,整形外科医などがCT,MRIなどを検索しても腎臓以外は痛みの原因は見つからず,当時メイヨクリニックで医学を学んだ後,UAEに戻っていたDr Rabiahに連絡があったそうです.びっくりして宮殿に行った彼女はいろんな専門医が調べ尽くしたのにと思ったそうですが,MRIを見ながらペインクリニックのことを思いついたそうです.彼女はペインクリニックに興味はあったものの,経験はありませんでした.そこで彼女は国王にトリガーポイント療法を行いながら,背中のマッサージを行い続ける治療を開始しました.数日後,それまで様々な専門医が調べても原因不明だった痛みが消えてしまったということです.
その後,ロイヤルファミリーの痛みの治療を彼女は相談されるようになったそうです.Sh. Zayed国王の妻Sh. Hessaは皮膚潰瘍に悩まされました.その時,彼女がとった治療方針は医学博士号の取得した看護師を皇后の治療に当たらせることでした.その看護師は皇后の専従医師が潰瘍にparticle steroidの局注をしていたのを見て,彼女に直ぐにやめさせて欲しいと連絡を入れてきたそうです.看護師は,代わりにドレーピングと傷の洗浄を行うようにしました.毎日,洗浄を行うことで皮膚潰瘍は治癒したそうです.

彼女のロイヤルファミリーの治療の経験談を聞いて,僕ははっとしてしまった.彼女がロイヤルファミリーを治療するときに,投薬だけでなく,理学療法も含めた広い視野に立って疼痛治療を行っていることが,今の自分には不足していると感じたからです.僕は投薬やブロックに目が向きがちでしたが,もっともっと広い視野にたったペインクリニックに舵をきっていこうと思いました.

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