2011年5月10日火曜日

超音波ガイド神経ブロックの考え方(8):麻薬を使いこなせない者は手を出すべからず

超音波ガイド神経ブロックと麻薬の使い方は,車の両輪の関係があります.つまり,どちらにも精通していないと上手くいきません.

超音波ガイド神経ブロックは,すべての痛みの経路を遮断する必要はないと話してきました.部分遮断をして患者さんが痛みを訴えた場合には,とにかく患者さんに触ってブロックした領域の鎮痛は得られているのかをチェックする.それで他の神経領域が伝達経路として関与しているかを把握する.経験を重ねて,自分ができるブロックの種類を増やし,すべての伝達経路を完全遮断することを狙う.もちろん,体幹の末梢神経ブロックのように,開腹術や開胸術では腹壁・胸壁の体性痛しか遮断しておらず,内臓痛は守備範囲でない場合もあります.

いずれの場合にせよ,痛みの伝達経路をすべて遮断できていない状況に対しては,麻薬の使い方がポイントになってきます.しかし,こういった麻酔科医も見かけます.

1.手術終了=麻酔終了と勘違いしている
折角,薬物動態シミュレーションをしていても,手術終了と同時に麻薬の投与を止めてしまい,覚醒時には効果部位濃度が痛みを抑える濃度より下げてしまっている.

2.めんどくさがり屋?
麻薬伝票を書くのが嫌,麻薬のための金庫を置くのが問題だからと,手術に麻薬を一切使わない.
こういう状況で,超音波ガイド神経ブロックをしても,その良さを感じることはないでしょう.特に2に関してい言うと,外科医が自分達の道具にこだわるように,麻酔科医も自分達の武器である鎮痛剤にはこだわってほしいと思います.

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