2011年5月5日木曜日

トラキライトが無くても

トラキライトのスタイレットをフック船長のフックのように曲げて使う方法を紹介しました.実は,この方法に慣れてくると,光ガイドが不要となります.

先端が丸く保護された普通のスタイレットを使います.気管損傷のリスクを回避するため,決して,先端が金属剥きだしのスタイレットを使ってはいけません.気管チューブにスタイレットを通した後に,フック状に曲げます.丸いスタイレットの先端を気管チューブから少しだけ出しておくと,気管に挿入されやすくなります.左手の親指で舌と顎を掴み,下顎挙上します.喉頭鏡を使わずに、舌に沿わせて,気管チューブを挿入していきます.気管に入ると,気管軟骨にチューブがあたり,コツコツと感触がして,気管挿管されたことがわかります.同時にチューブが挿入されると,気管がうねります.食道挿管の場合は,気管の横でうねりが発生します.

僕はこの方法を赤胴鈴之介の必殺技にちなんで「真空切り」と名付けています.真空切りは,麻酔研修の最後に,研修医が挿管困難に遭遇したときにのみ見せて,麻酔科医の凄みを感じてもらう手段にしています.

4 件のコメント:

  1. すごいです・・・。
    AWSなど色々便利な気道確保グッズがありますが、この「真空切り」をマジでやる場面って、あるんですかぁ^^?曲げ方は前の記事のような形ですよね?

    返信削除
  2. フック状に曲げてトラキライトを使っていると,そのうちに光がなくて,頸部の皮膚表面の動きで食道に挿入されていることがわかります.気管に入ると,気管軟骨の感触が手に伝わりますし,気管がウニョって動きますのでそれも参考になります.Difficult airwayを予測できなかったときや,歯がグラグラで喉頭展開すらままならない状況のときに使っています.

    返信削除
  3. 曲げ方は全く同じです.スタイレットはシリコンコーティングされた先が保護されたものを使用します.

    返信削除
  4. 大変参考になりました。いきなり実戦で、とはいきませんが、Airway trainerで練習してみます。これだけスタイレットを曲げると、その抜去は相当力技になるのでは・・・?

    返信削除