2011年5月22日日曜日

胸部傍脊椎ブロックの鎮痛効果と局所麻酔薬使用量

British Journal of Anaesthesia  2009; 103: 626-36で呼吸器外科手術の術後鎮痛としての胸部傍脊椎ブロックをメタアナリシスした論文があります.その中で局所麻酔薬,ブピバカインの術当日24時間使用量と術後24時間のVASの関係を19のtrailから調べています.

術後24時間で325-472.5 mgのブピバカインが投与された試験より,890-900 mg投与された試験のほうがVAS at restが統計学的に有意に低い.VAS at restが術後8hで26.9 mm (95%CI; 7.5-46.3 mm),術後24hで21.1 mm ( 95%CI; 8.5-33.6 mm),術後48hで17.4 mm (95%CI; 8-26 mm)低くなります.VAS at coughに関しては,低い傾向はあるものの統計学的に有意差があるとは言えない.

僕自身は呼吸器外科手術で0.5%ropivacaine 20 mLを執刀前と手術終了後の2回投与し,0.2%ropivacaine 6mL/hで持続投与しています.当院の呼吸器外科は手術が上手で,手術時間が3時間30分,麻酔時間は5時間でほぼ安定しているので,このおきまりパターンでロピバカインを投与できます.僕のプロトコールによる24時間のロピバカイン使用量は約428 mgとなりますが,ロピバカインがブピバカインより安全性が高いので,もう少し多く使用しても良さそうです.単回注入の量を増やすのは,一気にロピバカイン血中濃度を上げてしまいますから,持続投与の濃度を上げても良さそうです.プロトコールを直ぐにでも変えたい気がしますが,まずは,このプロトコールでのロピバカイン血中濃度を調べて安全性を検討するのが先です.名古屋大学では高速液化クロマトグラフィーを絶えず動かしています.一緒に臨床研究をしたい人は,ぜひ名古屋大学のチーム金曜日に参加してください.

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