2011年4月3日日曜日

臨床研究も同等性、非劣勢試験の時代に突入

A & A2011;112:678-87に同等性試験、非劣勢試験の解説が掲載されています。我々は今まで優越性試験(治療群がコントロール群より優れていることを証明する研究)ばかりしてきました.検出力試験からサンプルサイズを出し、その結果から帰無仮説が棄却されないと、二つは同じだと見なしてきました.しかし,それは間違いです.何故なら,その結論がType Ⅱ error(本当は有意差があるのに,ないとしてしまうこと)を孕んでいるからです.優越性試験で出た“no statistically signigicant”という結果は二つが同じであることを意味するのではなく,単に今回の研究では「治療が有効であったということを証明できなかった」ということを意味します.二つが同じである(同等性)か,同じかもしくは劣らない(非劣性)を述べる場合には,今まで我々が学んできた優越性を調べる統計学手法は駄目なのです.同等性や非劣性試験をしなくてはなりません.それらの試験は信頼区間を使って検討していきますが,まだこれらの試験を自動的にやってくれる統計ソフトは存在していません.これらの統計手法もまだまだ問題があるようで,あまり詳しく解説した本もないのが現状です(今年の7月くらいに英語で本が出版されるようです).ということで,この論文は一読の価値ありです.ただ,ある程度の統計学の基礎を知っていないと読みこなせません.

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