2011年8月16日火曜日

平行法:自分の土俵

超音波ガイド神経ブロックで,自分が勝負したいベスト画像に一発で針を描出させてくることを僕は「勝負師になれ.」とか,「居合いのようなものだ.スパッと決めろ!」と表現してきます.そのような平行法では,弓道やアーチェリーなどの射的競技に似たものを感じます.つまり手技を行うにあたり,「型(かた)」があるわけです.超音波診断装置の画面と針の刺入経路が自分の正中にあるように手技を行います.穿刺前にテーブルの高さ,体幹や肘をロックしてプローブを固定した姿勢を確認しながら,ベスト画像が描出されるプローブ位置にマーキングします.また、この段階で針の刺入経路もイメージしています.僕はこの一連の穿刺前の確認を「自分の土俵に引き込む」と表現しています.要するに,人間工学的に楽な姿勢で超音波ビーム面がイメージできて,尚且つ,理想とする針の刺入経路をイメージするのです.平行法での穿刺は,この段階ですでに勝負がついてしまいます.僕のところにきた先生達には,「いつもアプローチするならここだよ.」と彼らが出したベスト画像での針の刺入経路を共有するようにしています.

上下肢の超音波ガイド神経ブロックは多少姿勢が悪くても,刺入点があいまいでも,プローブを操作することで,針も神経も描出できます.ペインクリニックでは,このような「針にプローブを合わせる」ような技術は通用しません.平行法がちゃんとできない時は,自分の土俵に引き込む「型」がなく,何となくプレスキャンして,そのまま手袋をはめて手技に入ってしまうことが多い.

1 件のコメント:

  1. これはある意味先生の会得した極意ということになるのでしょうね。初心者ほどすぐに穿刺したがるのですが、このため型がいいかげんなまま穿刺して失敗というのをよく経験します。

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