2011年8月15日月曜日

肩が挙がらん

「先生,肩があがらん.」と言われたのが,肩の痛みを訴えている患者さんに肩甲上神経ブロックと腋窩神経ブロックをした後のこと.以前,紹介した超音波ガイド腋窩神経ブロックで見事に三角筋の運動神経が遮断されてしまった.論文としては三角筋の運動麻痺が生じていなかったのですが,理論的には起こりうると思っていました.案の定,腋窩神経ブロックで三角筋の運動機能を遮断してしまいました.手も動かせるし,肘の屈曲伸展も可能でしたが,肩だけは動かず.ペインクリニックでの肩関節痛には,運動神経遮断のない肩関節注射のほうがよいかも・・・.しかし,一例で結論を下すのも野暮.もう少し経験して論文を吟味したいと思います.

昨日,肩関節の神経支配について訂正をさせていただきましたが,何故気づいたかというと,この患者さんの肩甲上神経ブロックも腋窩神経ブロックもうまく局所麻酔薬を注入できたはずだったのに痛みがすべてとれなかったからです.ブロックでよい鎮痛を提供できなかったときには,原因を手技の失敗で終わらせてしまうのではなく,解剖学的な観点から見つめることも重要です.超音波ガイド神経ブロックは,そう意味でも我々をより思慮深い医師に導いてくれます.

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