2011年8月30日火曜日

持続末梢神経ブロックのカテーテル(5)

カテーテルの固定とドレッシングについて,彼らは感染予防とカテーテル事故抜去を防ぐために皮下トンネルを作成することを薦めています.ダーマボンドで皮下トンネルから出てきたカテーテルを皮膚に固定し,透明なドレッシング剤で覆い,病棟ナースもそれを理由もなく取り換えることはさせないそうです.

僕は皮下トンネルは造りません.外科結紮を三回繰り返してカテーテル固定をします.一回目はカテーテル刺入部の位置でカテーテルの下に針を通して,カテーテルごと皮膚を結紮します.ここはよわく結紮しないと,あとで刺入部の痛みとして言われるので注意します.その糸を切らずに,そのままカテーテルの周りを1回まわしてから外科結紮をします.さらに,カテーテルの周りをもう1回糸を回してから,三度,外科結紮をします.はじめの外科結紮はカテーテルを介して,刺入部から薬液が漏れだしてくるのを防ぎます.次の二回の外科結紮はカテーテル固定を目的とします.これにテガダームを貼っておしまいです.もし糖尿病のコントロールが悪く,感染のリスクが高いと考える場合には,バイオパッチという消毒剤入りのパッチを刺入点においてからテガダームを貼ります.

4 件のコメント:

  1. はじめまして。いつも大変勉強になる記事をありがとうございます。結紮法についてコメントさせてください。
    外科医は重要な血管の結紮に外科結紮は用いません。締りが悪くすっぽ抜け易いからです。外科結紮は二重に巻いた糸がかさばるので締めつけることのできる最小径が大きくなってしまいます。ドレーンなど太いものの結紮には向いていますが、細いものをきちんと締めるには普通の結紮の方が向いているように思います。

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  2. コメントありがとうございます.外科結紮を三回繰り返してカテーテルを固定する方法は,Spinal Cord Stimulation: Percutaneous Implantation Techniques. Paul G. Kries著の中で,脊髄刺激電極のリードを固定する方法として紹介されています.脊髄刺激電極のリードの脊柱起立筋筋膜への固定があまいと,リードが動いてしまい,リード先端が硬膜外腔で頭尾側に動いてしまいます.それを防ぐ方法というわけです.私自身もブロックのカテーテルを男結びや女結びで固定してきましたが,すっぽ抜けの問題を多々経験してきました.外科結び三回法では,すっぽ抜けを全く経験しておらず,大変有用な方法だと感じています.一度,お試しください.

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  3. 論より証拠ですね。恐縮です。さっそくやってみます。ありがとうございました。

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  4. 大事なことは外科結紮した糸の上に外科結紮をしないことです.三つの外科結紮が横並びするように連ねていってください.

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