2011年8月19日金曜日

小児のラパアッペにTAPブロックをするべきか?

当院でも虫垂切除術に腹腔鏡手術が行われている.小児のラパアッペにTAPブロックを行ってますか?どうやらポート部分に浸潤麻酔をしておけば,TAPブロックをしておかなくても事足りるようです.つまり自分とこの外科医次第というのが答えのようです.

Britich Journal of Anaesthesia 2011;106:882-6では,ラパアッペをうける小児をTAPブロックを受ける群,受けない群に分けて比較検討しています.両群とも,ポート部分に浸潤麻酔(0.5 ml/kg of 0.2% ropivacaine)をして,モルヒネivPCA(バックグラウンドなし,ボーラス15µg/kg,ロックアウトタイム5 min)および経口アセトアミノフェン(15µg/kg)の定時投与を受けています.TAPブロックは0.5 ml/kg of 0.2% ropivacaineをそれぞれ左右に注入しています.リカバリーでのVASはTAP群で有意に低くなっていますが,それ以降は有意差があるとは言えません.モルヒネ消費量,モルヒネを200µg/kgより多く使用した人の割合,初回PCAボーラス要求までの時間,他の鎮痛薬の使用などに有意な差があるとは言えず,リカバリー滞在時間,入院期間は同じと言う結果でした.結局,TAPブロックは麻酔時間を14分増やしただけで何もメリットがなかったという結論になっています.

当院では,外科医はポート部分に浸潤麻酔はしませんので,TAPブロックをするメリットはあるかもしれません.

2 件のコメント:

  1. 私の施設では腹腔鏡下虫垂切除は、ポート挿入部に終了前に0.25%マーカインをルーチンで投与しています。基本OKなのですが、20歳台から下の患者ではこれでは鎮痛が不足するのでTAPブロックを行っています。小児は最初の症例が泣きながら帰ったので、以後はTAPブロックをルーチンで行っていますね。ご紹介の研究はモルヒネのivPCAが効いているのかもしれません。私は小児のラパアッペ(開腹はほとんど行ってないのですがこちらも)はTAPブロックのよい適応だと思っています。

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  2. Yasu先生
    浸潤麻酔の上手下手もあるかもしれません.ご指摘のとおり,アッペにiv-PCAをつけて帰室させている施設も少ないでしょうから,そうなるとTAPブロックをしておくほうがよいかもしれませんね.

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