2011年7月27日水曜日

下腿切断における駆血痛の対処は?

下腿切断術において大腿に巻くタニケットによって生じてくる駆血痛にどう対処したらよいか?

重症虚血下肢における下腿切断術では,そもそも駆血はしない(出血しないので)ので駆血痛がでること自体ありません.この場合の下腿切断術は整形外科領域の悪性腫瘍による下腿切断と考えると,この疑問に対する答えは2つです.

ひとつはブロックの選択です.僕は,下肢手術の基本は腰神経叢ブロック(大腰筋筋溝ブロック)&傍仙骨アプローチ坐骨神経ブロックであると主張してきました.これをマスターすれば,下肢のあらゆる手術に対応できます.実は,この二つのブロックを併用すれば,患者は駆血痛を訴えません.TKAを覚醒させた状態で管理していただくとご理解していただけます.二つのブロックとも超音波ガイドではなく,神経刺激ガイド法を身につけるべきです.超音波ガイド法を勧めない理由は,1)二つとも球面にプローブを置かなくてはならないのでプローブ固定が安定しないこと,2)神経刺激を併用するとtwichが大きいので針先を固定させた薬液注入ができないこと,3)高齢者では必ずしも神経を描出できないからです.

もうひとつはMinimally invasive anesthesia (MIA)による鎮静を行うことです.プロポフォールとケタミンを使ったMIAによってmultimodal approachを行えば,駆血痛で循環管理に難渋することはありません.以前,バイトに行った病院では,TKAに4時間かかっていましたが,やはり駆血痛で困ることはありませんでした.

1 件のコメント:

  1. 早速、記事にしてくださり、どうもありがとうございました。
    私は若手なのですが、ベテランの麻酔科医の凄さを思い知らされました。
    修行を積みます。まずは、出来そうなMIAを勉強してみます。
    お答とそしてモチベーションを上げてくださったこと、本当に感謝です。
    どうもありがとうございました。

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