2011年7月8日金曜日

Echogenic needleの必要性

福井のM女史からechogenic needleの必要性についての質問がきました.Echogenic needleは胸部傍脊椎ブロック以外は必要ないというのが僕の意見です.

北米のようにmorbit obesityの患者がたくさんいるところでは別ですが,日本人の上下肢末梢神経ブロックでは,いくら患者が太っていても,通常の通電刺激針は描出されます.

針が描出されないのは,平行法を理解して実施していないからです.針とビームの方向が60度未満(皮膚面と針の角度が30度以上)で,針の描出性は低下しはじめます.しかし,1)ターゲットと刺入点の反対側に置く,2)刺入点をプローブから1cmほど離す,3)プローブで皮膚を押す力を調整して,ビームの角度を変える.この3つを駆使することで,針の描出は問題なくなります.これでも無理な場合には,1)針をTuohy針変えることで対処可能です.胸部傍脊椎ブロックはこれらの工夫をしても,時に針の描出が難しい状況が年に数回あります.

もうひとつ皆さんが冒しているミスは,針に曲がる力を加えていることです.針は刺入方向を決めたら,そこに向かって進めるだけです.刺入方向を変えたいときは,皮下近くまで引き戻してから,針の方向を変えないといけません.深く刺入されたところで刺入方向を変えようとして,針に力を加える結果,針が曲がってしまうわけです.曲線を描いた針は曲がった方向にどんどん刺入されるので,ビーム面にのらないのです.
今のechogenic needleには,針の開発者も使用者も気付いていない問題点があります.超音波ガイド法の手技の安全性を高めるために大事なことは針先の視認性です.ところが,現在市販されているechogenic needleは針のシャフトばかりを強調して描出させます.しかも針先から数ミリも離れた部分に加工を施して.術者は針のシャフトばかりに目がいき,針先に集中しなくなってしまうのです.国内ではTopのechogenic needle開発担当者が以前,僕の意見を聞きに来て,針を改良されました.しかし,他の会社は依然として針先から離れたシャフトに加工しています.もうすぐ日本でPAJUNKのSafersonicという針全体に麦の穂のような加工を施した針が販売されます.これは針先の近くまで加工が施してあるので使っても良いかもしれません.Tuohy針タイプもあるということでしたので,国内で販売されたらTuohy針タイプだけ胸部傍脊椎ブロック用に使ってみたいと考えています.

0 件のコメント:

コメントを投稿