2011年7月30日土曜日

斜角筋間アプローチで手の手術をする.

僕は以前,従来の斜角筋アプローチと鎖骨上アプローチの中間レベル(C7レベル)で腕神経叢ブロックをすれば,肩から手の手術すべてに対応ができるとお話しました.C7レベルで神経幹が一列に配列するので,そこで表層にあるC5の神経幹に針をもってくるか,深層のC7の神経幹に針先をもってくるかでブロックの範囲が調整できるわけです.

Acta Anaesthesiol Scand 2011;55:664-69では,斜角筋間アプローチで針先をC5とC6レベルで位置を変えることで,肩の手術だけでなく,手の手術も可能であることを証明しています.C5神経根の頭側に針先を留置して薬液注入を行うと,C5レベルでの注入は筋皮神経や腋窩神経は遮断できても,尺骨神経,正中神経,橈骨神経の遮断は得られにくく,肩の手術しかできない.それに対し,C6神経根尾側での薬液注入では筋皮神経,腋窩神経だけでなく,尺骨神経,正中神経,橈骨神経まで遮断できます.ただし,薬液は30 ml必要です.

C7レベルで今まで腕神経叢ブロックをしてきて,時に肩甲上動脈が腕神経叢を横切ってくるためにブロックがしづらいことがありました.しかし,斜角筋間アプローチでC6神経根レベルでも手の手術が可能であるなら朗報です.

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