2011年5月28日土曜日

研修医に挿管困難の予測をどう教育してますか?

大学病院として将来有望な若手に麻酔管理を教えながら,緊急時の薬剤の使用方法や気道確保の方法を教育してきた.麻酔管理の一連の流れは心肺蘇生にも繋がるものであり,彼らが何科の医師になっても通用するものからだ.

しかし,日本は欧米に比べても麻酔科医の数が断然足りなくて,外科医が麻酔をしていることが多い.自分が教えた研修医がほんのちょっと麻酔をかじっただけで,外病院に出て,麻酔を担当している現実がある.

患者の中には,外科医だけしかいない病院で外科医によって麻酔をしていたら死んでしまうだろうなと思うような挿管困難,換気困難な人がいる.研修医達は,我々麻酔科医が挿管困難や換気困難な患者に対して円滑に気道確保を行っている姿を観ているので,そのうちに「自分でもできるもの」と思い込んでしまってはいないかと思っている.最近は,直ぐにいろんな手技をしたがる研修医も多いので,特に注意が必要かも知れない.僕自身を振り返ると,挿管困難の予測とそのときの対処だけを教育してきた気がする.通常の手技を身につけさせる麻酔研修だけではなく,「挿管困難・換気困難が予測される患者が麻酔科医のいない病院で手術をうけるとなったら,絶対に手を出すな.」ということを,もっともっと教育しておくべきだったと反省する.

1 件のコメント:

  1. ”挿管って思ったより簡単ですね!”と研修医や他科(外科系含む)に行った同級生に無邪気に言われたことがあります。

    挿管は簡単。そんなの当たり前だと思います。簡単な手技でなければ普及するはずがありませんから。しかし、99%の患者に挿管できることと100%の患者挿管できることとは全く次元の違う話です。

    ”挿管が簡単なのは当たり前だよ。でも先生は100人中99人に挿管できればあとの一人は気道確保できなくて死んでしまってもいいの?”と聞くとみな黙ってしまいます。

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