2011年2月16日水曜日

正気(笑気)にさようなら

Anesthesia & Analgesiaの2月号が届きました.The Enigma of ENIGMA-I(ENIGMA-Iの謎)というEditorialを読まれたでしょうか?どうやら笑気の使用を科学的根拠をもってNOとする動きが加速しそうですね.僕が麻酔科医を引退するころには,「僕は笑気を使ったことがあるよ」なんて自慢するようになるのでしょうか.そんなことをいう自分はとうの昔に笑気は使わない麻酔科医ですけど.

笑気に暴露されることで,メチオニン合成酵素が阻害され,ホモシステインが増加する.このことが血管内皮障害を起こして心イベントを増やすそうです.ENIGMA-Iという笑気暴露による長期予後をみたRCTでは,全身麻酔による笑気暴露後,平均3.5年の経過観察で心筋梗塞の発症が増加することが明らかになっています.ただし,心イベントによる死亡率は増えてないので,その部分が議論(題名のとおり謎)になっています.

加えて,笑気使用の弊害として,創感染,重症嘔吐,無気肺,肺炎のリスクが上がることも知っておきましょう.

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