2011年2月5日土曜日

神経ブロックはawakeの患者のほうが安全か?

 北米では,末梢神経ブロックを患者と会話できる状態でやったほうがよいということになっています.数年前のトロントであった国際シンポジウムでも,この話題が出て,アイルランドの先生が「超音波画像で見えているし,神経刺激も併用しているのに,awakeでやらなければいけないのか?自分はdeep sedationでやっている」と発言をされていました.これに対して,Vincent Chan先生が「北米では医療裁判という特殊な事情がある.」と答えていました.せめて,神経内注入における注入時痛を確認しておきたいということなのでしょう.日本でも,これに右にならえしている雰囲気があります.
 僕はawakeの患者にブロックをするのは,ペインクリニック外来の患者くらいです.手術麻酔はすべて全身麻酔下もしくはdeep sedationで行っています.deep sedationをするようになったのは,僕が神経刺激ガイド腰神経叢ブロック&傍仙骨坐骨神経ブロックからブロックを始めたからです.0.2~0.5 mAまで刺激を落としながら針を神経に近づけていった時に,患者が動いてTiwchが消失してしまったり,局所麻酔薬注入中に不用意に動かれてブロックが失敗してしまったりした経験をたくさんしたからです.そんなときに,Berry Friedbergのアメリカ美容形成外科麻酔のホームぺージをたまたま見つけました.プロポフォールとケタミンを使ったDeep sedationで患者を鎮静することの利点を知りました.プロポフォールとケタミンによるdeep sedationは僕のブロックの成功率を格段に上げました.この方針でずっと末梢神経ブロックを行ってきましたが,手技が原因による神経障害には遭遇していません.体位による圧迫による神経障害は2人ほど経験しています.患者をawakeでブロックすることに注意するより,病棟ナースに腓骨頭での総被骨神経麻痺(坐骨神経ブロック後)や尺骨神経溝での尺骨神経麻痺(腕神経叢ブロック)にならないように配慮するように伝えることのほうが,よっぽど大切かと思います. 

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