2011年2月13日日曜日

ケタミンによる解離状態

 ケタミンは視床皮質系を抑制し,大脳辺縁系を活性化すること(解離状態)で,痛み,音,光などの外的刺激に反応しないようにしてしまいます.これは,他の鎮静薬とも全身麻酔薬とも異なる作用です.

 ケタミンによる解離状態は以下のような特徴があります.
1)遁走状態:目を見開いたまま反応がない状態になる.
2)カタレプシー:筋緊張は維持されて姿勢を保つ.しかし,自己を保持する姿勢にしようと無意識に体動が生じることがある.
3)鎮痛:その間は全く痛みを感じない.
4)全健忘:その間は全く記憶がない.
5)気道反射維持:上気道反射は維持される.気道は通っているので気管挿管は不要であるが,時に頭の位置を調整して気道が通りやすいようにしてあげる必要はある.ヨダレがでるので吸引も必要.
6)安定した循環動態:血圧や脈拍が低下することはなく,むしろ軽度上昇する.
7)眼振を認める.
 ケタミンの解離状態は,痛みを伴う短い処置に適しています.つまり,末梢神経ブロックに応用すれば,穿刺に伴う苦痛を除去してあげられます.体動が生じることがあるのでMRI,CTなどの画像診断目的の鎮静には向かないことは麻酔科医として知っておかなければなりません.

0 件のコメント:

コメントを投稿