2011年2月9日水曜日

意地悪な質問

 麻酔科医として一歩を踏み出してくれた後輩S先生に意地悪な質問をしてみました.うちでも美人で,結婚前は宝塚の女優のような優雅な名前をお持ちの麻女R先生をダシに使ってしまいました(R先生ごめんなさいm(_ _)m).

僕:「先生は乳がんで手術をうけるとしたら,R先生に麻薬を使った全身麻酔にしてもらいたい?そ 
れとも僕に胸部傍脊椎ブロック併用の全身麻酔をしてもらいたい?」 
S:「へー,傍脊椎って・・・全麻だけでいいんじゃ・・・乳腺にわざわざ,そこまで・・・」

S先生はすでに僕の術中にはまってしまいました.

僕:「ほ~,先生は全身麻酔のみでいいですか~?」
S:「・・・・・・」
横からT部長:「S先生!pnbsiva先生の言葉にひっかけがないわけないだろ!?」

僕:「S先生,もし自分の選択が一年後の自分の乳がんの再発率に大きな影響がでるとしたらどうする?手術までの乳がんの進行具合や術後の治療も同じ条件でだよ.さぁ~どうする?」
S:「へぅ,そんなことあるんですか?」

困惑するS先生に下の図の内容を説明しました.
「後ろ向き研究の結果だけど,ハザード比が0.21だから,全身麻酔と麻薬で乳がんの手術を受けたときの癌の再発率を100%としたときに,胸部傍脊椎ブロックでは再発率が21%まで低下していたことを意味するんだよ.」

尚,RAPM2010;35:490-495では胸部傍脊椎ブロックをしたほうが,がん細胞の浸潤や転移に関わるIL-1βやmatrixmetalloproteinase (MMPs)の上昇が麻薬で鎮痛するより抑えられたと報告されています.

Anesthesiology 2006;105:660-4改変


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