2011年10月7日金曜日

Ex-utero Intrapartum Treatment (EXIT)

Ex-utero intrapartum treatment (EXIT)とは,胎児が気道に腫瘍などの致死的な問題を抱えて娩出されてくることが明らかなときに,帝王切開時に胎盤血流を維持したまま,気道を確保し,気道確保後に娩出させる方法をいいます.

Korean J Anesthesiol 2010;59:S154-S157の症例報告がありましたので,EXITの流れを紹介します.
1.麻酔は吸入麻酔薬による全身麻酔.子宮収縮を抑制するため,吸入麻酔薬は2MAC投与する.胎児は麻酔がかかった状態で生まれるので,レミフェンタニルも併用.
2.体位は仰臥位にしておくが,胎児による下大静脈圧迫による血圧低下を予防するために,骨盤を左に傾けておく.
3.子宮収縮抑制が不十分な場合はニトログリセリン100 μg単回投与,0.5 - 1.0 μg/kg/minを投与.
4.収縮期血圧は100 mmHgを維持.困難な場合は,フェニレフリン 50 μg単回投与,0.05 - 0.1 μg/kg/min
5.胎児は子宮から頭から胸までを出した状態とする.滅菌した酸素飽和度モニターを装着する.
6.胎児循環を維持したまま胎児の気道を確保する.その間,産婦人科医は胎盤剥離が起きないかを超音波画像でチェックする.
7.胎児への気道確保後に,臍帯結紮をし,胎児を完全に娩出させる.その後は吸入麻酔薬濃度を下げ,長時間作用性麻薬を使用してもOK.

1 件のコメント:

  1. 2年くらい前の麻酔科学会でも取り上げられてましたね。EXITをよく用いる施設とECMOを使う施設とでパネルディスカッションしていたのを聞きに行った記憶があります。米ドラマのERでもEXITを行う様子がありました。そのドラマでは外科医が胎児(新生児?まだ胎児循環が維持されているから胎児?)に挿管していましたが、実際はその役割はわれわれに求められるのでしょうか?気切となれば外科医の役目なんでしょうが。当院ではまだ経験ありませんが、名大では今度対象になりそうな症例があるらしいですね。

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