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2012年2月4日土曜日

肥満にも二つある

麻酔科医として,肥満患者さんは麻酔管理が難しく,我々はいつも泣かされます.しかも,相当な肥満にならないと麻酔管理料も上がらない.相当な肥満とはいかないまでも肥満の範疇に入る人でも,本当は我々は四苦八苦しているというのに,おかしなものです.

さて,肥満には「二つの肥満がある.」と僕はかねがね言っています.棘突起の触れる肥満と棘突起の触れない肥満です.どれだけBMIが高くても,棘突起さえ触れれば硬膜外麻酔もしてあげられるし,腰神経叢ブロックもやりやすいです.ところが,棘突起が触れない肥満は脊椎・傍脊椎周囲で針を刺す指標がなくなり,麻酔科医は「羅針盤を持たずに航海にでる」状態に追いやられるのです.

腰部の脊椎・傍脊椎を超音波で観察することが,最近の超音波ガイド手技のトピックになっていることはご存知だと思います.腰椎のレベル確認は通常,Running horse signと言って,椎弓の矢状断面を描出して行います.棘突起を数えることはしません.なぜ棘突起で確認しないかというと,棘突起はプローブ直下に位置するため,描出されていても同定しづらく,数えづらいのです.

これまで,「棘突起の触れない肥満」は麻酔科医にとって最も苦労させられる存在でしかなかったのですが,この腰部の脊椎・傍脊椎の超音波画像が普及しはじめて,神様に見えてくることがあります.

なぜ?

棘上靱帯より外層にもどっぷり貯まった脂肪層によって,棘突起が数えやすくなり,しかも矢状断でもコンベックスプローブがぴったりと肌に合うので,矢状断面で硬膜までの距離を簡単に把握できます.棘突起の触れる肥満では,棘突起で肌がごつごつしているので,水平断面では硬膜までの距離は把握できるものの,矢状断面ではプローブの一部が皮膚から浮いてしまい描出できないこともあります.棘突起が触れないことが,硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔の針の刺入位置や刺入長を計測するのに大いに役立っています.

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