2012年5月10日木曜日

軽度外傷性脳損傷とペインクリニック

もうすぐ東海北陸ペインクリニック東海地方会です.昨年,AA先生が中心?になってやった会からすでに一年が過ぎたと思うと,月日が経つのが早く感じます.昨年は会の幹事をしていた関係で,座長はしませんでしたが,今年は座長を任されることになりました.

症例報告を読んでいて注目したものが,軽度外傷性脳損傷です.ネットでもアメリカリハビリテーション医学議会が定義したものの和訳を読むことができます.定義は以下のようになります.
1.ある一定期間の記憶喪失 
2.事故の直前,直後の記憶喪失 *
3.事故発生時の精神状態の変化
4.一時的または恒久的な局所神経障害
それぞれについて,注意事項が書かれています.
昔はむち打ち,外傷後症候群,外傷性頭痛,心的外傷後症候群といっていた部類のものを定義づけたようです.WHOが2004年に定義していますので,恐らくは米国の戦争と関係があって,外傷後の帰還兵の状態から新しい疾患概念として,今まで放置していたものに名前をつけたのではないかと思います.ペインクリニックでは,交通事故の身体の各所の不調を訴え,精神的にも肉体的にも苦しんでいる患者さんが来院されます.この疾患概念ができたというものの,まだ治療が確立されたとは言えず,これからという状況.EBMとしては否定されている脳脊髄減少症との兼ね合いはどうなのでしょう.新しい疾患概念ができたことで,患者さんにとっては,誰も理解してくれなかった自分の苦しみを疾患として理解してもらえるので,良いことだと思います.

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