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2012年5月25日金曜日

Posterior TAP論争の決着か!

TAPブロックの元祖,McDonnellらはposterior TAPブロックの皮膚分節遮断域がT7からL1と主張しています.これに対して,僕やHebbarはT10からL1,つまり下腹部しか遮断できないと主張しました.このposterior TAPブロックの守備範囲論争にとうとうが決着がつくような気がします.

Regional Anesthesia and Pain Medicine 2012;37:294-301で,posterior TAPブロックの局所麻酔薬の拡がりをMRIを使って,経時的に検討しています.片側には0.375%ロピバカイン30mlでposterior TAPブロックをします.もう片側にはposterior TAPブロックとsubcostal TAPブロックを0.375%ロピバカイン15mlで行っています.

注目すべきなのは2つ.subcostal TAPブロックは半月線より内側で刺入している点です.そしてもう一つは,ここでいうTAPブロックは「点で捉えるTAP」であること,つまり,腹横筋膜面を針先が貫いたら,そこで局所麻酔薬を注入してしまいます.腹横筋膜面の中で針先を進めていくような「面で捉えるTAP」ではないということです.

結果としては,三時間かけて局所麻酔薬は腹横筋膜面の中を拡がっていくことが確認されました.
30mlの大量の局所麻酔薬を注入しても,posterior TAPブロックでは,半月線までしか拡がらない.
一番,広く局所麻酔薬が拡がったのは,posterior TAPブロックとsubcostal TAPブロックを組み合わせたとき.しかし,二つの局所麻酔薬の拡がりがどこかでつながることはない.

点で捉えるTAPブロックでは,どうやら半月線が堤防の役割を果たしていると考えて良さそうです.ただし,これはあくまで超音波ガイド下TAPブロックの話です.つまり,前腹壁で局所麻酔薬が拡がっていることを前提にしています.もし,元祖,盲目的TAPブロックはかなり背部よりで刺入します.よって,ひょっとすると局所麻酔薬が前腹壁でなく,後腹壁で拡がっている可能性があります.そうなると,また別の話になってきます.

2 件のコメント:

  1. McDonnellたちも2011年のAnaesthesiaで、MRIを使ってTAPブロックの薬液の拡がりを報告してますよね。それによると、いわゆる元祖盲目的TAPブロック(これのことを彼らは"posterior approach"と言っています。我々が普段行っているposterior approachは彼らの言う"mid-axillary approach"に近いです)では薬液が傍脊椎腔にまで到達することがあり、非常に広範囲に効くと主張しています。しかし個人的には、確実にそんな広範囲に効かすことはできないのではないかと思います。実際に超音波ガイド下で同じアプローチを試してみましたが、そのときは遮断域がはっきりしませんでした。

    McDonnell JG et al. Anaesthesia, 2011, 66, pages 1023–1030
    Studies on the spread of local anaesthetic solution in transversus abdominis plane blocks.

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  2. ジャイアン.そうなんだよ.後腹壁から傍脊椎腔に拡がるという理論はおかしんじゃないかと思います.実際,そんな画像を彼らは出していないですしね.

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