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2012年4月12日木曜日

CFNBの落とし穴

周術期抗凝固療法の重要性から,人工膝関節置換術で持続大腿神経ブロックを取り入れる施設が増えていると思います.学会でも耳にするのは,関節可動域が大きくなるとか,リハビリが進む,もう片側の人工膝関節を患者がすぐにやってほしいと言うようになったと,良いことばかりが多です.ただし,やはり注意すべき点もあります.The Knee 16 (2009) 98-100で,持続大腿神経ブロックで大腿四頭筋の筋力低下により転倒し,創離開や人工関節周囲で大腿骨骨折を起こした5症例を報告しています.

3年間で3000件の人工膝関節術を行っている施設で,92%を硬膜外麻酔でこなし,ここ最近の流れから8%(250例)に持続大腿神経ブロックを行いはじめた,いわゆる持続大腿神経ブロックを導入開始してしばらくした施設からの報告です.

薬液は1回注入で0.5%レボブピバカインもしくは0.2%ロピバカイン15-20mlを使用していますが,持続大腿神経ブロックのレシピは書かれていません.discussionでは多くの文献にあるようなレシピを使っていたとは記載があります.1例にはクロニジンも添加しています.

60歳代2人,80歳代3人で特に合併症をもった患者ではありません.術後1-2日目に転倒をしています.状況は,シャワー中,ベットから起き上がったとき,トイレ中もしくはトイレに行こうとして.意識レベルが立ち上がった瞬間に落ちて転倒したわけではありません.つまり,持続大腿神経ブロックが原因ということ.そして,注目すべきはBromage scaleが全員,0もしくは1であったことです.そんなにmotor blockに関して,心配いらないと判断される状況だったわけです.

筆者らは,「非ブロック側の下肢が充分に動くために,まだブロック側は筋力が低下し,関節の固有感覚も戻っていないにも関わらず,患者が介助なしに歩けると間違った自信を持ってしまう.」と警告しています.こうしたトラブル以降,クロニジンは禁止,彼らは0.025%レボブピバカインで持続注入,ベットサイドに転倒に関する注意喚起のボードを設置,術後48時間は介助なしでの歩行を禁止,外科医とリハビリスタッフが運動機能が完全回復したと判断するまでは術後48時間内に動かさないように医療者を教育,運動機能が完全に戻るまでスプリント装具を装着,など工夫をされているそうです.

金鯱病院のH先生が今,持続大腿神経ブロックの導入に奮闘されていますが,これがよいアドバイスになればと思います.もう彼女と一緒にブロックをするのも,あとわずかです.

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