2012年10月31日水曜日

臨床麻酔学会と福島の復興

明日から日本臨床麻酔学会が福島で行われます。福島に到着された麻酔科医のみなさん、朝日新聞の福島版を読まれたでしょうか?

学術総会の会場のひとつであるビックパレッドふくしまは、東日本大震災で深刻な被害をうけ、応急処置をしながら避難所としても使われていました。その後、少しずつ事業を再開してきて、明日から全面再開だそうです。つまり、福島の復興シンボルの全面再開のひとつに、日本臨床麻酔学会がわるわけです。すばらしい!!

敗北

火曜日は週一でいく病院での麻酔です。そこには日立の超音波診断装置2台を整形外科診察室、救急処置室、手術室で共同で使用しています。いわゆる超音波診断用の装置であるため、非常に細かい設定ができます。毎週、ここで肺の手術があり、超音波ガイド下傍脊椎ブロックを行っています。日立製では、実施前のプレスキャンでかなりの時間を費やします。非常に細かい設定を適切に行わないと、内肋間膜が描出されてこないのです。

今日、僕はとうとう超音波ガイド傍脊椎ブロックができませんした。横突起は描出されるものの、外肋間筋や肋骨挙筋、内肋間膜、傍脊椎腔、胸膜が明瞭には描出されませんでした。vascular、artery, breast, throid,orthopedicなどの設定は変えては、コントラスト、フォーカスをいじっているうちにとうとう、横突起まで分からない画像に・・・。デプスは4cmで充分であったので、本来なら解剖が明瞭に描出されてこなければなりません。これ以上、プレスキャンに時間を費やすのはよくないと判断し、しかたなく、従来法で行いました。

従来法とは、傍矢状面上で針を盲目的に操作し、傍脊椎腔にカテーテルを挿入する方法です。背部皮膚に垂直に刺入される針から挿入されるカテーテルは、傍脊椎腔前面に衝突する形で挿入されるために非常に抵抗が強く、挿入するのが大変でした。挿入された後のカテーテル先端もどこにあるか、分かりません。案の定、効果発現に時間を要し、必要とされる皮膚分節遮断域も不完全でした。超音波ガイド下に切開レベルに確実にカテーテル先端を留置できる、超音波ガイド下法の完成度の高さを実感した次第です。

この病院は、僕が赴任するようになり、麻酔科医の超音波ガイド手技が増え、院長も新しい携帯型超音波診断装置の購入にOKを出して頂きました。装置が病院に搬入されるのが今年の12月なので、それまでは何とかしのぐしかありません。

2012年10月12日金曜日

GraphPad Prismがバージョンアップ

きれいなグラフとしっかりとした統計解析をしてくれるGraphPad Prismがバージョン5からバージョン6にアップデートしています.バージョン5を持っている先生は149ドルでバージョンアップできます.
http://graphpad.com/scientific-software/prism/#whatsnew

新しいものが好きな僕はすぐにバージョンアップ.パソコンにはバージョン5も残っているのでサポートセンターに問い合わせたところ,アップデートすると,バージョン5のほうは無効になるので,パソコンから削除してよいということでした.しかし,普通にバージョン5も使えるんじゃないか・・・・

2012年10月4日木曜日

eZONO

最近,フェイスブック中心に発言をしているために,とんとブログの更新をしておりませんでした.

パーカー気管チューブのK社がドイツのベンチャー企業が開発したeZONOという超音波診断装置を取り扱うということで,事前評価をして欲しいと来訪されました.
http://www.ezono.com/eng/select-your-language
超音波診断装置には,リニアプローブ,マイクロコンベクスプローブ,コンベクスプローブの3つのプローブが使用可能.

金属ケースに入れられたeZONOをみて,僕の目に飛び込んできたものはeZONOではなく,マイクロコンベクスプローブでした.これはソノサイトやGEが持っているマイクロコンベクスとはサイズが異なり,指3本分くらいの幅,つまり僕が一番,脊椎・傍脊椎領域で必要だと主張しているコンベクスプローブのサイズでした.すぐに,そのマイクロコンベクスプローブの画質を確かめたくなり,説明も充分に聞かずに,マイクロコンベクスプローブを自分の腰に当てました.残念ながら,画質は初期のLOGIQeのコンベクスプローブレベル.自分が観たいものは観ることができませんした.

リニアプローブの画質も確認しました.周波数は10MHz.ソノサイト180以上,初期(5年前)のLOGIQe以下といったところ.中心静脈穿刺程度でしか,超音波ガイド手技をしない人には問題ないかもしれませんが,今の超音波ガイド下神経ブロックには追いついていない画質だと判断しました.タッチパネル形式ですが,まだ超音波診断装置の概念から抜け出せておらず,治療手段としての超音波機器としてタッチパネルの内容を再検討する必要があると思いました.

ただ,eZONOはドイツのベンチャー企業で,行動力のある企業ということで,画質に関してはバージョンアップが期待できるようでした.eZONOの最も良い点は,診断装置の中に教育ツールが入っており,プローブの当て方,局所解剖のイラスト,超音波画像,動画などが入っており,それらを観ながら,自分の画像と比較できる点です.今後の画質の向上に期待したいと思います.
臨床麻酔学会で展示するということでしたので,触ってみたい先生はK社ブースをのぞいてみるとよいと思います.「あ~これか~」を合い言葉に・・・