2011年5月29日日曜日

術後遷延痛のコンサルト

ペインクリニックでは,術後1週間程度経過した患者が依然として強い痛みが持続しているとコンサルトされることがあります.こうした場合は,術後急性痛の段階にあるのか,術後遷延痛 postoperative persistent painに移行する段階にあるのか見極める必要があります.術後遷延痛とは術後2ヶ月以上持続し,特別な原因があげられないものをいいます.持続する炎症,神経損傷,持続する痛みがあると術後遷延痛が生じると言われています.

術後の急性痛も遷延痛も,共に中枢性感作central sensitizationが関与します.中枢性感作には二段階あります.初期の中枢性感作はいわゆる術後の急性痛の段階を意味し,安静時の自発痛,創周囲の痛覚過敏,体動時の痛みの増強を特徴とします.この初期段階の中枢性感作は短期間しか持続せず,元に回復していきます.初期の中枢性感作で強い痛みが持続していくと,末梢神経の異所性発火,シナプス機能変化,脊髄膠様質での軸索発芽,抑制系ニューロンのアポトーシス,ミクログリアの活性化が生じ,第二段階に入ります.第二段階の中枢性感作は術後遷延痛の段階を意味し,自発痛,アロディニア,痛覚過敏,残感覚などの特徴を有します.

よってアロディニアがあるかないかで中枢性感作の段階が違うわけです.もしアロディニアがないならば,まだ術後急性痛の段階ですから,できるだけ早急に炎症と痛みを抑えるように抗炎症薬や区域麻酔で,中枢性感作が生じなくなる時期まで鎮痛をしっかりと行う (preventive analgesia)ことが重要です.アロディニアがある場合には,ケタミン,プレガバリン,ガパベンチンを使といったantihyperalgesicsを使用していきます.

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