自分が診ている大学四年生の患者さんがいます。大学一年のときに、検診の採血針によって左腕の慢性痛を抱えました。この年末、患者さんは国家試験の勉強と卒業論文用の研究や執筆で左腕だけでなく、左手、右手にまで痛みがでてきてしまい、どうにもこうにもならなくなってしまいました。左手をかばうあまりに右手も酷使しているので無理もありません。前回の診察で、どうしたらよいのか分からなくなり、患者さんは泣いていました。そんな患者さんに、僕は、自分の母が戦争で祖父が死んで母子家庭の中で、辛い中を生き抜いたこと、そんな母がどんな時も諦めなければ道が開けるということを僕にアドバイスしてくれることを話ました。そして、最後に、歯を食いしばってでも、この困難を乗り越えろと伝えました。もちろん、精神論だけではなく、右手と左手の超音波画像診断を行い、責任病変部にステロイドを超音波ガイド下に行いました。今日、その患者さんが卒業論文の発表が終わったと、発表スライドの写しをもって、笑顔で報告してくれました。箸すらもてなかった患者さんですが、ボールペンに巻きつけるデバイスを使い、この難局を乗り越えたそうです。これからも、いろんな困難が立ちはだかると思いますが、大丈夫だと感じました。こういう瞬間に出会えることが、僕にとっての幸せである。
すてきな、心熱くする話ですね。
返信削除その方は、これまで辛かった過去の話から、これからの将来を考える時間がきっと増えてくると思います。
ご苦労様でした、そして、ありがとうございました。