そんな質問を受けました.答えは明白です.S-nerveです.Venueは使用に耐えません.GEは超音波機器メーカーとしての姿勢を変えずに今まで,超音波診断装置を売り続けました.超音波機器メーカーとしての診断装置を作るノウハウをフル動員して,作ったから使ってみろという姿勢でした.
一方,ソノサイトはどうでしょう?2005年,ソノサイトの開発最高責任者のJames M. Gilmoreが僕の外来にきました.180を使いながら,SGBや大腿神経ブロックをしている無名の僕に,僕が何が見たいのか,180の画像では何故,駄目なのか尋ねてきました.僕は超音波ガイド下神経ブロックに必要な画質はなにかを大腿神経を描出しながら説明をしました.ソノサイトは,世界的に超音波ガイド下神経ブロックが普及する以前から,超音波ガイド下神経ブロックに注目し,超音波治療装置を作りはじめていたわけです.
ご存知のとおり,2005年当時,国内で購入できる携帯型超音波診断装置はソノサイトのMicroMaxxとGEのLOGIQeでした.GEは摘みをいっぱいつけ,MicroMaxxより画質がきれいでした.みんなが当時,LOGIQeのほうが画質がいいんじゃないかと小声で話していました.しかし,超音波治療装置を開発し続けたソノサイトは,MicroMaxxの画質をあっという間に,LOGIQe以上にし,さらにM-Turbo,神経ブロックに特化したS-nerveを出しました.神経ブロックに必要な条件を揃えていました.
GEも携帯型で,より摘みのないVenueを市場に投入しました.ところが,GEは,ここで致命的なミスをします.Venueもまた超音波診断装置だったわけです.このあたり,GEの開発者と話しをしたわけではないので確かなことは言えません.しかし,画像をみて思うことは,GEは超音波ガイド下神経ブロックで,心臓や腹部内臓を診断するときと同じような画像を見せたらよいと考えていたと思います.心エコーなどは,構造物が沢山の点の集まりで構成される砂絵タッチな画質より,点と点の部分を計算処理して,つなげてしまって線として描出したほうが,より直視的に観察したような画像となるので,見た目,心臓の動きがわかりやすいわけです.GEの超音波診断装置をみるとわかりますが,極端に画像処理されて,油絵のような画質です.その結果,1-2ミリの神経,深在性の非常にかすかに映る筋膜や神経が描出されないのです.S-nerveやM-turboで見える物が,GEのLOGIQeやVenueでは全く見えません.
実は,ソノサイトも極端に油絵タッチな画像に方向変換しています.機器のバージョンを上げる度に見えていた神経が見えなくなり,それをフィードバックすると直してくる.それを繰り返しています.どっかで超音波診断装置を作りはじめないかと心配しています.
GEに駄目だしをしましたが,そのGEが2005年のころのソノサイトに姿を変えつつあります.これはGE本社というより,GEの日本スタッフの変化です.日本で独自に物作りをしようという考えのようです.今後,売りに出されるGEの機器には注目すべきかもしれません.少なくとも,名古屋大学の手術室に使われずに眠っているような超音波診断装置LOGIQeを売るようなことはしないのではないかと思います.というか,期待しています.
一方,ソノサイトはどうでしょう?2005年,ソノサイトの開発最高責任者のJames M. Gilmoreが僕の外来にきました.180を使いながら,SGBや大腿神経ブロックをしている無名の僕に,僕が何が見たいのか,180の画像では何故,駄目なのか尋ねてきました.僕は超音波ガイド下神経ブロックに必要な画質はなにかを大腿神経を描出しながら説明をしました.ソノサイトは,世界的に超音波ガイド下神経ブロックが普及する以前から,超音波ガイド下神経ブロックに注目し,超音波治療装置を作りはじめていたわけです.
ご存知のとおり,2005年当時,国内で購入できる携帯型超音波診断装置はソノサイトのMicroMaxxとGEのLOGIQeでした.GEは摘みをいっぱいつけ,MicroMaxxより画質がきれいでした.みんなが当時,LOGIQeのほうが画質がいいんじゃないかと小声で話していました.しかし,超音波治療装置を開発し続けたソノサイトは,MicroMaxxの画質をあっという間に,LOGIQe以上にし,さらにM-Turbo,神経ブロックに特化したS-nerveを出しました.神経ブロックに必要な条件を揃えていました.
GEも携帯型で,より摘みのないVenueを市場に投入しました.ところが,GEは,ここで致命的なミスをします.Venueもまた超音波診断装置だったわけです.このあたり,GEの開発者と話しをしたわけではないので確かなことは言えません.しかし,画像をみて思うことは,GEは超音波ガイド下神経ブロックで,心臓や腹部内臓を診断するときと同じような画像を見せたらよいと考えていたと思います.心エコーなどは,構造物が沢山の点の集まりで構成される砂絵タッチな画質より,点と点の部分を計算処理して,つなげてしまって線として描出したほうが,より直視的に観察したような画像となるので,見た目,心臓の動きがわかりやすいわけです.GEの超音波診断装置をみるとわかりますが,極端に画像処理されて,油絵のような画質です.その結果,1-2ミリの神経,深在性の非常にかすかに映る筋膜や神経が描出されないのです.S-nerveやM-turboで見える物が,GEのLOGIQeやVenueでは全く見えません.
実は,ソノサイトも極端に油絵タッチな画像に方向変換しています.機器のバージョンを上げる度に見えていた神経が見えなくなり,それをフィードバックすると直してくる.それを繰り返しています.どっかで超音波診断装置を作りはじめないかと心配しています.
GEに駄目だしをしましたが,そのGEが2005年のころのソノサイトに姿を変えつつあります.これはGE本社というより,GEの日本スタッフの変化です.日本で独自に物作りをしようという考えのようです.今後,売りに出されるGEの機器には注目すべきかもしれません.少なくとも,名古屋大学の手術室に使われずに眠っているような超音波診断装置LOGIQeを売るようなことはしないのではないかと思います.というか,期待しています.
現時点でエコーを購入するならS-Nerveですね。非常に参考になりました。貴重な意見をどうもありがとうございました。これからも宜しく御願いします。
返信削除最近、名大にいたころのTPVB動画(M-turbo)と現在新大で行っているTPVB動画(S-Nerve)とを見比べてみたんですが、なんか絵が違うなと思ってました。名大でのものの方が全体的にざらざらした質感なのです。やはり気のせいではなかったのですね。
返信削除関西に住む麻酔科医です。本日麻酔学会でGEハンズオンセミナーに参加しました。確かに新バージョンは以前のものとはかなり違う様に感じましたし、特に針の視認性に関してはあまりの鮮明さに驚きました。二社が切磋琢磨して今後もいい機械がでてくることを希望します。
返信削除Kmatsumoto先生,コメントをありがとうございます.
返信削除針を描出する際に使用したファントムはなんでしたか?お肉でしたか?それともゼリー状のファントムでしたか?もし,肉を使用したのでなければ,針の視認性の評価はできません.超音波画像は二つの構造物のインピーダンスの差で画像の質が変わります.ゼリー状のものは,お肉と違って,インピーダンスの差が大きくなるので,針は刺入角度が急峻になっても,きれいに描出されます.その当たりを注意して,再度,評価してみてください.僕の感想は,今の時点でまだS-nerveやM-turboを超えているとは思えません.
はじめまして。関東在住の麻酔科医です。S-nerveとEDGEでは、神経ブロックを行う上でどちらがおすすめでしょうか?EDGEの方がいいエンジンを積んでいるようですが。価格の違いはありますが、あくまでも神経ブロックのみに使用する事に限定してです。画像描出や使い勝手は如何でしょうかか?使用場所はオペ室とペイン外来を想定しております。宜しくお願い致します。
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