2011年11月10日木曜日

麻酔科学の受容と発展

弘前大学名誉教授の松木明知先生著の「日本における麻酔科学の受容と発展」が臨床麻酔学会の時に新著として店頭に並んでいたのをご存じでしょうか?受容なんて言葉を見ると,受容体を連想して難しそう・・・と思って,手に取らなかった先生もいたかもしれません.実は,この本はとてもおもしろいので紹介したいと思います.

華岡青洲が麻沸散(通仙散)を使って,世界で初めて全身麻酔で乳がん摘出術を行った日はいつなのか,その記録である乳巌治験録が華岡青洲自身が記載したものではないのではないか,松木先生がそれらの疑問をどのようにして解明していったかについて詳細な経緯が述べられています.松木先生ならではの洞察力に驚いてしまします.さながら,名探偵の心の中を覗いている気がします.

それだけではありません.「麻酔」という言葉を誰か初めて使ったのは誰か?
麻酔科医として知っておきたいものです.


Jacoby線という名称は,欧米では使われておらず,日本だけしか使っていない.Jacoby線という名称はどのようなルーツで日本に来たのでしょう?

特筆すべきは,2010年の福岡で開催された13th Asian and Australasian Congress of Anesthesiologistsで松木先生が華岡青洲について英語で講演されたスライドとその発表原稿がそのまま掲載されています.海外からきた要人に華岡青洲について説明する機会がある人にとっては最適の教材になっています.

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