2011年4月21日木曜日

超音波ガイド神経ブロックの考え方(1):自由に考えろ!

超音波ガイド神経ブロックを教えていると,形にはめて考えたがる人が多い気がします.「この手術には,どんなブロックをすべきですか?その時のアプローチは?」みたいな質問を受けます.「△術に対して,○○神経ブロックの××アプローチをする.」と言った考えで超音波ガイド神経ブロックをしていてはいけません.解剖さえ分かれば,すべては自由です

自分の病院にいる外科医が行う手術の内容はほぼ一定のはずです.例えば,どのあたりでどれくらいの切開を加えるかなど.小切開で手術をする外科医もいれば,大きな切開でやる外科医もいます.自分達の友人である彼らの癖を見抜くことも大事です.彼らの手術における痛みの伝達経路(末梢神経)を考えます.超音波ガイド法では,どのレベルでも末梢神経をブロックすることは可能です.教科書にも記載のない部位で神経を描出してブロックできるわけですから,それこそアプローチは五万とあるわけです.

例えば,下位肋間神経では,椎間孔レベルでは胸部傍脊椎ブロック,胸郭周囲では肋間神経ブロック,肋骨弓を横切るとTAPブロック,腹直筋鞘に入ると腹直筋鞘ブロックとなります.自分の技術,患者の止血機能,ブロックすべき範囲を考慮して,どのレベルで下位肋間神経を遮断するかを決めます.できるだけ広範囲に遮断できるものを選ぶべきですが,全範囲遮断できないからと言って諦める必要はありません.部分的にしか遮断していなくても,他の鎮痛薬と併用することで良い鎮痛が得られます.また局所麻酔薬が血管内に吸収された後の全身的な鎮痛作用により,神経ブロックをしていないよりしておいたほうがよい鎮痛が得られます.

膝の手術で坐骨神経ブロック臀下部アプローチをしようしていたのに,臀下部に腫瘍があることが分かった.そんな時に坐骨神経ブロックを諦める必要はありません.それより末梢もしくは中枢でアプローチすればいいのです.もちろん,腫瘍が坐骨神経を浸潤している場合はブロックをしてはいけませんけど・・・.

超音波ガイド神経ブロックほど,自由な発想でできて麻酔科医を試すものはないのです.

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