2011年2月26日土曜日

Minimally Invasive Anesthesiaの利点

 ここまでケタミンについて説明をしてきました.そこでMinimally Invasive Anesthesia (MIA)について紹介してみたいと思います.MIAの利点は何か?Friedbergの立場で言えば,気管挿管をせずに全身麻酔に近い状態で麻酔管理ができる.しかも嘔気嘔吐を抑えられるという2点でしょう.では,我々のように美容形成外科以外の領域の手術麻酔も管理するものにとっての利点は何か?それはMIAを取り入れることで,自然とmultimodal analgesic techniqueを達成している点だと思います.ご存知の通り,今や一種類の鎮痛手段で急性痛管理するのではなく,侵害刺激が伝達される経路:侵害受容体~脊髄後角~視床~大脳皮質に至るまでにおいて,様々な鎮痛薬を使って鎮痛をする.しかも痛覚過敏が生じない時期まで鎮痛をする(preventive analgesia)が急性痛管理の理想となっています.MIAでブロックを行い,その流れのまま,麻薬を投与して気管挿管する.術開始直後からNSAIDsを投与する.こうした一連の鎮痛薬投与の流れによって,自然とmultimodal approachができてしまうわけです.preventive analgesiaについては,その後の急性痛管理体制が各施設各病棟で異なってくるので難しいとは思いますが,術中の急性痛管理の理想に近づくことができます.

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