2012年2月9日木曜日

持続末梢神経ブロックのカテ入れ

腕神経叢ブロックや大腿神経ブロックで,カテーテル挿入方法についてですが,最近,新しい試みを行っています.平行法で行うことは変わりありません.ただ薬液を入れる前にカテーテルを挿入してしまいます.針先をターゲットとなる神経まで持って行き,そこでカテーテルを挿入し,針先から4-5cmだけ進めます.その後,薬液を1mlずつ注入しながら,薬液が神経を包み込む広がりをするところまで引き抜いてきます.

これまでは薬液を最初に針から注入して,その後,カテーテルを挿入していました.しかし,この方法はカテ先の位置がわかりません.hyperechoic flashの位置で神経とカテ先の位置関係を把握していきます.何度も空気入りの薬液をいれているうちに解剖が分からなくなる問題がありました.しかし,カテを薬液注入前に挿入すれば,薬液の広がりでカテ先と神経の位置関係が把握できます.three hand techniqueとすると,一連のカテーテルの動きを描出することができ,精度が上がります.

今度,この画像をアップしたいと思います.

2012年2月7日火曜日

藤子先生が贈るStimuplexのリモートコントローラーの持ち方

僕は,下肢の神経ブロックでは,神経刺激ガイド法で腰神経叢ブロック&傍仙骨アプローチ坐骨神経ブロックを行うことをまず身につけるべきだと伝えてきました.この二つのブロックで下肢のすべての手術に対応ができるうえ,二つとも超音波ガイド法より神経刺激ガイド法のほうが圧倒的に簡単にできるからです.

神経刺激ガイドで今,一番使いやすいと思っているのはB.BraunのStimuplexです.神経刺激では,電流閾値を下げながら,針先を神経の近くまでもっていきます.電流閾値の調整を介助者にやってもらうこともできますが,電流閾値を下げることと,針先を神経近傍までもっていくという二つのことを術者一人で行うと,神経刺激ガイド法での末梢神経ブロックの精度が格段にあがります.そのため,Stimuplexにはリモートコントローラーがオプションでついています.Stimuplexのリモートコントローラは手に装着させます.

しかし,いかんせん,巨人族ともいえるゲルマン民族向けのリモートコントローラーのため,日本人の我々が手に装着させると,でかすぎて使えません.僕は身長があるのでよいのですが,たいていの日本の麻酔科医は使いこなすのに苦労しています.このリモートコントローラーは指にかける黒い輪っかが二つあるのですが,これに指を通してしまうと,電流域値を調整するボタンに指が届かなくなるのです.僕は,輪っかに指を通さない方がよいとアドバイスをしますが,それでもボタンを指で押すのに苦労します.

今,僕のところに研修にきている藤子先生が画期的な装着方法を見つけたので紹介します.写真のようにリモートコントローラーを手のひらにおいて,手袋をします.ポイントは黒い輪っかを小指側に置きます.すると電流閾値を下げるボタンが上にきて,域値を上げるボタンが下にきます.これにより親指で電流閾値の調整が格段にやりやすくなります.もし輪っかを上に置いてしまうと,電流閾値を調整する二つのボタンが横にならび,親指が届かなくなります.これを題して,「藤井握り」と僕は名付けます.

2012年2月6日月曜日

薪ストーブライフのためのチェーンソー

薪ストーブライフを始めて,薪を自分で自給自足しようとがんばっています.今は,薪ストーブライフを自給自足している方に弟子入りをして,チェーンソーでの木の切り方の指導を受けています.自分が教えてもらった内容を忘れないためにも,薪ストーブライフを自給自足でやりたいと思っている麻酔科医のためにも,ここに書き留めておきたいと思います.

薪ストーブは,その木が生きている間に吸収したCO2を薪ストーブで排出するだけで,地球温暖化の要因にはならず,最もエコな循環型エネルギーを使用している.薪には建築廃材は使わず,地域の人達との信頼関係を数年かけて築き,地域の人の思いが入った木を切らせて頂く.薪ストーブがあっても,建築廃材などを使用するようでは焼却炉と変わりない.薪ストーブを持っているだけでは駄目で,薪ストーブを焚く人のセンスが薪作りには問われる.自分の家を訪れた人がいいなと思って貰えるような薪を作らないといけない.ちゃんと薪置き場における美しい薪を作るには,木を切る際に何も考えずに切っていては,見た目も美しくない薪ができてしまう.

美しい薪を作るためには,
1.太さの均一な部分で40cm長の玉木が作れるよう,木を切っていく.
2.均一な太さの薪を作る基準点を探す.
3.基準点は,曲がっている部分の両サイド.
4.主幹の枝に分かれる部分も基準点となる.
5.小さい枝は,焚き付け用薪として使用できるので,捨てない.

効率的に家を暖めるには,
1.薪ストーブは「いかに非効率的にストーブを焚くか」が重要.
2.効率的に焚いてしまうと,あっという間に薪を消費する.
3.空気を絞り,薪ストーブ本体を暖めるには,薪が乾燥していないと駄目.
4.水を含有した薪は水の蒸発にエネルギーをとられて,ストーブは暖まらない.
5.よって,薪を2年乾燥させる.
6.細い薪を作ってはだめ.薪ストーブを焚くことと,五右衛門風呂や釜の薪炊きとは違う.
7.太い薪をつくる.
8.腕~下腿の太さの薪は割らない.太ももの太さで半分に割る.胴体の太さで4分割.
9.薪は常に二年分を蓄え,半分が1年薪,半分が2年薪になるようにしておく.
10.二年分の薪には,胸くらいまで薪を積んで駐車場2台分のスペースが必要.

2012年2月4日土曜日

肥満にも二つある

麻酔科医として,肥満患者さんは麻酔管理が難しく,我々はいつも泣かされます.しかも,相当な肥満にならないと麻酔管理料も上がらない.相当な肥満とはいかないまでも肥満の範疇に入る人でも,本当は我々は四苦八苦しているというのに,おかしなものです.

さて,肥満には「二つの肥満がある.」と僕はかねがね言っています.棘突起の触れる肥満と棘突起の触れない肥満です.どれだけBMIが高くても,棘突起さえ触れれば硬膜外麻酔もしてあげられるし,腰神経叢ブロックもやりやすいです.ところが,棘突起が触れない肥満は脊椎・傍脊椎周囲で針を刺す指標がなくなり,麻酔科医は「羅針盤を持たずに航海にでる」状態に追いやられるのです.

腰部の脊椎・傍脊椎を超音波で観察することが,最近の超音波ガイド手技のトピックになっていることはご存知だと思います.腰椎のレベル確認は通常,Running horse signと言って,椎弓の矢状断面を描出して行います.棘突起を数えることはしません.なぜ棘突起で確認しないかというと,棘突起はプローブ直下に位置するため,描出されていても同定しづらく,数えづらいのです.

これまで,「棘突起の触れない肥満」は麻酔科医にとって最も苦労させられる存在でしかなかったのですが,この腰部の脊椎・傍脊椎の超音波画像が普及しはじめて,神様に見えてくることがあります.

なぜ?

棘上靱帯より外層にもどっぷり貯まった脂肪層によって,棘突起が数えやすくなり,しかも矢状断でもコンベックスプローブがぴったりと肌に合うので,矢状断面で硬膜までの距離を簡単に把握できます.棘突起の触れる肥満では,棘突起で肌がごつごつしているので,水平断面では硬膜までの距離は把握できるものの,矢状断面ではプローブの一部が皮膚から浮いてしまい描出できないこともあります.棘突起が触れないことが,硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔の針の刺入位置や刺入長を計測するのに大いに役立っています.

2012年2月3日金曜日

ケタミン&ミタゾラムによる鎮静

先日,卵アレルギーのある患者さんが人工膝関節置換術を受けることになりました.いつもはプロポフォールとケタミンによるminimally invasive anesthesiaによる鎮静で,腰神経叢ブロックと傍仙骨アプローチ坐骨神経ブロックをしていますが,はじめてプロポフォールをミタゾラムに変えてみました.おかしなもので,卵アレルギーのある患者さんを僕が整形外科手術で担当することが,ここ数年ありませんでした.

ミタゾラム2mgを適宜投与し,呼びかけに応じなくなるのを確認しました.そこで,さらに2mg追加投与した後,ケタミン50mgを投与しました.MIAより末梢神経ブロックに取りかかる時間は早くできました.
神経刺激ガイドでブロックを行いましたが,その間の患者さんの状態はMIAと全く同じで,動くこともなく,自発呼吸もしっかりと温存できていました.ブロック後はigelを挿入し,吸入麻酔薬による全身麻酔(AOS)に移行しました.

手術が終わって,麻酔から覚醒させようとしましたが,MIAより覚醒に時間がかかりました.ミタゾラムを2mg追加する必要はなかったかなと思いつつ,就眠に時間を要するか,覚醒に時間を要するかの問題で,在室時間という点では同じかなというのが僕の印象でした.術後の状態などの比較は行っていませんが,覚醒後の患者さんの意識レベルはMIAのほう良い印象があります.ミタゾラムを減らせば,覚醒後の意識レベルはもっとクリアになるかもしれません.